日本株(終了)2カ月ぶり安値、金融混乱と原油高値で米景気を不安視

週末の東京株式相場は大幅続落。日経平 均株価は約2カ月ぶりに一時1万3500円を割り込み、TOPIXとともに終 値では4月24日以来の安値水準に下げた。金融混乱や原油価格の最高値更新 から米国景気の先行き不安が強まり、みずほフィナンシャルグループやトヨタ 自動車、ソニーなど金融や輸出関連を中心に幅広く安い。信用警戒の動きから、 その他金融と不動産が東証1部の業種別下落率で1、2位を占めた。

DIAMアセットマネジメントの宮田康弘シニアポートフォリオマネジャ ーは、「米国の信用不安は、投資銀行の損失拡大懸念という第1ラウンドから、 商業銀行に対する影響懸念という第2ラウンドに入った」と指摘。すでにその 兆候は、商業銀行最大手のバンク・オブ・アメリカ(BOA)などの株価底割 れとなって表れており、「金融市場の混乱が実体経済へ及ぶことで、株式市場 はスタグフレーションのシナリオを意識している」(同氏)という。

日経平均株価の終値は前日比277円96銭(2%)安の1万3544円36銭 で、7日連続安。昨年11月13日までの8日続落以来、約7カ月ぶりの連続下 落記録となった。TOPIXは24.11ポイント(1.8%)安の1320.68と3日 続落。東証1部の売買高は概算で19億6578万株、売買代金は同2兆2759億 円。売買代金は2週間ぶりの高水準。東証1部の値上がり銘柄数は328、値下 がり銘柄数は1329。

東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種が電気・ガスと水産・ 農林の2、値下がり業種は31。TOPIXに対する下落寄与度が大きいのは電 気機器、銀行、輸送用機器、機械、医薬品、不動産、保険、卸売など。

スタグフレーションの足音

世界景気の先行きに対する不安感が高まり、株式市場は世界連鎖株安の様 相を呈してきた。米ダウ工業株30種平均はこれまで下値めどとされていた1 月安値1万1634ドルをきのう大きく下回り、今週に入って3月安値を割り込 んだダウ欧州株価指数も下値を模索。アジア株も底割れ色が強まっており、相 対的な底堅さを示してきた日本株も、過去2カ月間のボックス相場を下放れた。

ゴールドマン・サックス・グループは金融大手シティグループや自動車の ゼネラル・モーターズ(GM)の売りを推奨。一方、26日のニューヨーク原油 先物相場は急伸し、一時140ドル台と過去最高値を更新するなど商品価格は上 昇した。景気減速とインフレが進むスタグフレーションにより、企業業績への 不透明感が強まっている。

節目を割り込んだ米ダウ指数は、チャート上からは06年7月の1万683 ドル近辺まで下値めどが見当たらなくなっている。損失不安を抱えた投資銀行 の株価下落というこれまでの構図から、BOAなど商業銀行、米生保2位のプ ルデンシャル・ファイナンシャルといった保険会社まで株価が底割れするなど 状況は悪化。年内の米国景気回復に対する期待は後退しつつある。

また、原油価格は投機筋の買いポジションの減少、米国の原油在庫が例年 と比べて少ないことから、高値が継続することもあり得るとの不安感は強い。 トヨタアセットマネジメント投資戦略部の浜崎優シニアストラテジストによる と、「現在のインフレは年金など投資家の資金が入っているのが原因で、利上 げは需要を減少させたとしても資金の動きには影響を与えられない」そうだ。 景気が悪化傾向にある時期に米欧がインフレ抑制のために利上げに動くことに なれば、「世界景気を壊すかもしれない」と浜崎氏は警戒している。

東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、「米国株はこれまでの 金融不況から、景気後退へ対応する2番底を探る動きとなってきた」と指摘。 その上で、「第2次オイルショック以来となるスタグフレーションが起こって いることに、市場はとまどっている」と話す。隅谷氏は当時の景気と株価の状 況と照らし合わせると、この夏場にも2番底を模索しやすいと予測する。

下落率比較からは底堅さも

一方、きのうの米国株はおおむね3%の調整となり、きょうのアジア株も 中国の上海総合指数やインド・ムンバイSENSEX30種指数は東京株式市場 の取引時間中に4-5%の下落を示した。その中でこれまで相対的に堅調だっ た日経平均の下落率はきょう2%にとどまった。

DIAMアセットの宮田氏は、「先進国で懸念されている信用不安とイン フレによる影響度では日本は小さい。アジア諸国に比べると経済や政治は安定 している」と強調する。「先進国から日本」、「アジアから日本」という2つ の流れでマネーは日本を選好しやすいとして、日本株は今後も海外株をアウト パフォームする可能性があると予想していた。

その他金融と不動産安い

クレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場でも世界的な信用不安が 広がっており、きのうの欧米市場、きょうのアジア太平洋地域で社債保証コス トが上昇傾向にあった。信用の質が劣化したことを示すこうした動きは、資金 収縮の影響を受けやすく、足元の業況が厳しいセクターへの売り圧力を強めさ せている。東証1部の業種別下落率の1、2位はその他金融と不動産。不動産 株では、300億円のCB発行を決議したアーバンコーポレイションが急落して 上場来安値。シーズクリエイト、パシフィックホールディングス、アトリウム も急落した。その他金融株では、アイフルや武富士が最安値。アイフルは、自 社の不良債権問題を指摘したリーマン・ブラザーズ証券に対し、法的措置視野 に入れた対応を検討していると発表した。

ソニーが反落、東電は続伸

個別銘柄では、きのう新中期経営方針を発表したソニーが、想定通りの内 容とされて急反落。中国子会社との取引にからみ、大阪国税局から移転価格税 制に基づく更正通知を受けたダイキン工業も安い。国内市販用タイヤの再値上 げをきのう発表したブリヂストンは、値上げ後も今期の減額修正懸念は払しょ くできないと受け止められ7日連続安。3-5月期(第1四半期)の連結営業 利益が前年同期比13%減となったスター精密は大幅安となった。

半面、野村証券が減配リスク後退として投資判断を引き上げた東京電力が 売買を伴って3日続伸。高齢化を背景に主力の鎮痛貼付剤「モーラステープ」 が伸びて今期も最高益が期待される久光製薬は上場来高値となった。メリルリ ンチ日本証券が格上げした日本水産、クレディ・スイス証券が格上げしたコー エーが急伸。大和総研が投資判断を最上位に引き上げた松田産業は続伸した。

マザーズ指数は3月安値割り込む

国内新興3市場は下落。ジャスダック指数の終値は前日比0.37ポイント (0.6%)安の61.74と反落。東証マザーズ指数は20.20ポイント(3.6%)安 の546.88、大証ヘラクレス指数は20.97ポイント(2.2%)安の915.59とそれ ぞれ7日続落。マザーズ指数は3月17日安値を割り込み、52週安値を更新。

第三者割当先の高野友梨氏が経営には直接関与しない考え、と27日付日 本経済新聞が伝えたラ・パルレが大幅安。3-5月期(第1四半期)の連結純 損益が赤字となったアルバイトタイムス、今期連結純利益予想が一転して赤字 に転落する見通しとなったセラーテムもそれぞれ急落した。半面、発行済み株 式総数の3.36%に相当する自社株買いを行うエフアンドエムが、変わらずを含 めて7営業日ぶりに上昇した。売買代金上位ではセブン銀行、フェローテック、 エス・エム・エスなどが上げた。

--共同取材:Patrick Rial  Editor:Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE