5月のコアCPIは15年ぶりの高い伸び-夏場に2%との見方も(2)

(第1段落以降に発表内容を追加します)

【記者:日高 正裕】

6月27日(ブルームバーグ):5月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)は揮発油税などの暫定税率の復活や、エネルギー・原材料価格の高 騰から伸びが加速し、消費税の影響を除くと1993年3月以来15年2カ月ぶり の高い伸びとなった。コアCPIは夏場にかけて一段と伸びを高めるとみられて おり、減速感を強める日本経済にとって一段の重荷となりそうだ。

総務省が27日発表した5月の全国コアCPIは前年同月比1.5%上昇、6 月の東京都区部コアCPIは同1.3%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまと めた予想中央値(それぞれ同1.4%上昇、同1.1%上昇)を上回った。4月は暫 定税率期限切れの影響で同0.9%上昇と3月(同1.2%上昇)から伸びが鈍化し たが、5月は暫定税率の復活に加え原油相場の高騰もあり、再び伸びを高めた。

26日のニューヨーク原油先物相場は一時1バレル=140ドル台と過去最高 値を更新した。日銀の中村清次審議委員は26日、旭川市で講演し、「世界的に インフレ懸念が高まっている」と指摘。国内の物価についても「特に購入頻度の 高い生活必需品の上昇が目立つ」として、「海外で高まっているインフレ圧力の わが国への波及等を注意してみていく必要がある」と述べた。

CPI総合指数は5月の全国が同1.3%上昇、6月の東京都区部は同1.5% 上昇した。前月はそれぞれ同0.8%上昇、同0.9%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く「米国型のコア指数」は5月の全国が同0.1%下落した。 3月は同0.1%上昇と98年8月以来9年半ぶりにプラスに転じたが、4月は

0.1%低下と再びマイナスだった。6月の東京都区部は同0.3%上昇した。

米国型コアCPIは実勢表してない可能性も

コアCPIは今後さらに伸びを高めるとみられており、「夏場にかけて2% 程度にまで上昇する可能性が高まっている」(第一生命経済研究所の新家義貴主 任エコノミスト)との声もある。米国型コアCPIは水面下にあるが、「持続 的なエネルギー・原材料価格の上昇が生じている現状では、それらを除いた 米国式のコアCPIは物価の実勢を表していない可能性がある点には十分留 意する必要がある」(5月19、20日の金融政策決定会合である委員)。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは、ガソリンだけ でなく「食品をはじめとする身の回り品の価格上昇も増勢が強まっている」と指 摘する。日興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは景気への影響 について「食品・エネルギー価格の上昇を背景とするインフレの加速は、家計所 得の実質購買力を低下させ、個人消費に下押し圧力を及ぼすだろう」とみる。

内閣府が13日発表した消費者態度指数(一般世帯)は、5月に前月比1.3 ポイント低下の33.9と2カ月連続で低下し、2001年12月(33.0)に次ぐ過去 2番目に低い水準に落ち込んだ。一方で、1年後の物価見通しが「上昇する」と の回答は87.1%と、04年4月の調査開始以来のピークを更新した。第一生命経 済研究所の熊野英生主席エコノミストは「家計の抱いている期待インフレ率が高 まっていることは要注意だ」と指摘する。

警戒モード高める日銀

日銀の白川方明総裁は13日の会見で「原油相場が最高値を更新するなど、 世界的なインフレ方向のリスクは一段と高まっている」と指摘。「消費者のイン フレ予想、企業の価格設定行動を含め、より注意深くみていく必要がある」と述 べた。5月20日の会見で「リスクが高まっている」「注意深くみていく」とし ていたのに対し、「一段と」「より」を加えることで警戒モードを高めた。

熊野氏は「インフレの弊害の第一は、社会階層の中で実質購買力の点で割り 負ける人々が不平等意識を強めることだ。新興国・途上国で暴動が頻発したり、 先進国でも政権の支持率が低迷していることは、インフレ意識の広がりと無縁で はあるまい。我が国でも、インフレの不満によって経済格差の実感が強まったり、 政府の経済運営に不満が高まることが懸念される」という。

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