5月雇用は足踏み、失業率横ばい-有効求人倍率は4カ月連続低下(2)

5月の国内雇用指標は、完全失業率が前月 比横ばいとなった一方で、有効求人倍率は4カ月連続で低下し、1倍を割り込 んだ。世界経済の減速感が強まるなかで、エネルギー・原材料価格の高騰を背 景に企業収益も弱含んでいることから、企業の採用姿勢に慎重さがみられ、雇 用情勢の足踏みにつながっている。

総務省が27日発表した労働力調査によると、5月の完全失業率(季節調整 済み)は4.0%と前月比横ばいとなった。男女別では、男性が4.2%と前月に比 べ0.2ポイント上昇し、女性は3.7%と0.2ポイント低下した。男性の失業率は 2006年1月(4.2%)以来の水準だった。

就業者数は6478万人で前年同月に比べて21万人減と4カ月連続の減少。 建設業や卸売・小売業などの就業者数が減り、04年6月(37万人減)以来の落 ち込みとなった。一方で、雇用者数は4万人増加し、4カ月ぶりの増となった。

総務省の加藤耕二・労働力人口統計室長は、雇用の改善は足踏み状態が続 く中で下振れの方向にあるとした前月の判断を踏襲すると説明。その上で「高 齢層を中心とした女性の非労働人口が12万人増加している。非自発的な理由が 増えており、女性就業者の動向を見ていく必要がある」とした。

4月の毎月勤労統計では、一般労働者数の伸びが前年同月比2.0%増と3カ 月連続で2%台の高い伸びを示し、パートタイム労働者数の伸びを上回った。 政府の6月の月例経済報告は雇用について、「厳しさが残る中で、改善に足踏み がみられる」との前月からの判断を踏襲している。

1倍割れは6カ月連続

第一生命経済研究所の中本泰輔エコノミストは発表前のリポートで、「原材 料価格の高騰や世界経済の先行き不透明感の高まりなどから、企業は雇用に対 して慎重姿勢を強めている」としながらも、「正社員を中心に企業の人手不足は 依然として強く、雇用が減少基調に転じる可能性は小さい」としていた。

また、厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.92倍 と前月から0.01ポイント低下した。1倍割れは2007年12月以来6カ月連続。 中本氏は「日雇い派遣の指導監督が強化された影響から、当面、弱含みでの推 移が見込まれる」との見方を示している。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト39人を対象にした調査によると、 完全失業率の予想中央値は4.0%、有効求人倍率は0.92倍だった。

一方、総務省が同日発表した家計調査によると、2人以上の世帯の消費支 出は28万8128円と前年同月比で3.2%減少し、3カ月連続減となった。前月比 (季節調整済み)では、実質0.9%の減少。ブルームバーグ・ニュースの事前調 査では、予想中央値は前年同月比2.0%減だった。

消費支出の減少要因について揮発油税の暫定税率復活や原油価格高騰にと もなうガソリン価格の上昇を指摘する見方もあった。これに対し、総務省の大 貫裕二・消費統計課長は「寄与度がマイナス0.12と低く、大きな影響はない。 ガソリン価格の特殊要因によるものではない」としている。

住居費、光熱・水道費などが減少

みずほ総合研究所の太田智之シニアエコノミストは発表前、「(揮発油税の) 暫定税率復活で自動車やガソリン向け支出が減少した」として、消費支出が前 年割れになるとの見通しを示していた。

消費支出で減少した項目は、高額で振れの大きい入院費や治療費などの保 険医療費や住居、光熱・水道、教養娯楽など。中国からの輸入が減少し価格が 上昇しているうなぎのかば焼きや、中国製冷凍ギョーザ中毒事件を受けて需要 が減少している冷凍調理食品などの食料品もマイナスに寄与している。

スーパーや家電量販店の店長など景気の動きを肌で感じやすい職業に就い ている人を対象にした景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、5月の景 気の現状判断は2カ月連続で悪化。ガソリンや食品価格の値上げなどを受けて 家計の生活防衛意識が高まっている。

--共同取材 亀山律子 Editor:Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 下土井京子 Kyoko Shimodoi +81-3-3201-3142 kshimodoi@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 David Tweed +81-3-3201-2494 dtweed@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE