5月のコアCPIは暫定税率復活で伸び加速-夏場に2%との見方も

【記者:日高 正裕】

6月27日(ブルームバーグ):5月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)は揮発油税などの暫定税率の復活やエネルギー・原材料価格の高騰 から、伸びが再び加速した。コアCPIは夏場にかけて一段と伸びを高めるとみ られている。身近な製品の値上がりは家計の購買力を奪っており、減速感を強め る日本経済にとって一段の重荷となりそうだ。

総務省が27日発表した5月の全国コアCPIは前年同月比1.5%上昇と8 カ月連続でプラスとなった。6月の東京都区部コアCPIは同1.3%上昇した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は、全国コアCPIが同1.4% 上昇、東京都区部コアCPIは同1.1%上昇だった。4月は暫定税率期限切れの 影響で同0.9%上昇と3月(同1.2%上昇)から伸びが鈍化したが、5月は暫定 税率の復活に加え、原油相場が高騰を続けたこともあり、再び伸びを高めた。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは統計発表前、「暫定税率 復活によるガソリン価格上昇の影響が出ることに加え、食料品価格の上昇が引き 続き押し上げ要因になる」として、5月の全国コアCPIは同1.5%上昇を予想。 今後も「石油製品価格や食料品価格による押し上げが続く」として、「夏場にか けて2%程度にまで上昇する可能性が高まっている」と指摘した。

CPI総合指数は5月の全国が同1.3%上昇、6月の東京都区部は同1.5% 上昇した。前月はそれぞれ同0.8%上昇、同0.9%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く「米国型のコア指数」は5月の全国が同0.1%下落した。 3月は同0.1%上昇と1998年8月以来9年半ぶりにプラスに転じたが、4月は

0.1%低下と再びマイナスだった。6月の東京都区部は同0.3%上昇した。

消費者マインドは一段と低下

日本銀行が18日公表した5月19、20日の金融政策決定会合の議事要旨によ ると、どのような物価指標をみていくことが適当かについて議論が行われた。 ある委員は「持続的なエネルギー・原材料価格の上昇が生じている現状では、 それらを除いた米国式のコア消費者物価指数は物価の実勢を表していない可 能性がある点には十分留意する必要がある」と述べた。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「食品をはじめ とする身の回り品の価格上昇も増勢が強まっている」と指摘。「日本はもはやグ ローバル・インフレの例外でなくなりつつある」という。日興シティグループ証 券の村嶋帰一チーフエコノミストは「食品・エネルギー価格の上昇を背景とする インフレの加速は、家計所得の実質購買力を低下させ、個人消費に下押し圧力を 及ぼすだろう」と指摘する。

内閣府が13日発表した消費者態度指数(一般世帯)は、5月に前月比1.3 ポイント低下の33.9と2カ月連続で低下し、2001年12月(33.0)に次ぐ過去 2番目に低い水準に落ち込んだ。一方で、1年後の物価見通しが「上昇する」と の回答は87.1%と、04年4月の調査開始以来のピークを更新した。第一生命経 済研究所の熊野英生主席エコノミストは「家計の抱いている期待インフレ率が高 まっていることは要注意だ」と指摘する。

警戒モード高める日銀

日銀の白川方明総裁は13日の定例会見で「原油相場が最高値を更新するな ど、世界的なインフレ方向のリスクは一段と高まっている」と指摘。その上で、 国内物価の先行きについて「消費者のインフレ予想、企業の価格設定行動を含め、 より注意深くみていく必要がある」と述べた。5月20日の定例会見では、単に 「リスクが高まっている」「注意深くみていく」としていたのに対し、「一段 と」「より」という表現を加えることで警戒モードを高めている。

熊野氏は「インフレの弊害の第一は、社会階層の中で実質購買力の点で割り 負ける人々が不平等意識を強めることだ。新興国・途上国で暴動が頻発したり、 先進国でも政権の支持率が低迷していることは、インフレ意識の広がりと無縁で はあるまい。我が国でも、インフレの不満によって経済格差の実感が強まったり、 政府の経済運営に不満が高まることが懸念される」という。

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