債券は堅調か、株急落や信用懸念で米債上昇―重要指標発表も注目(2)

債券相場は堅調(利回りは低下)な展開 が見込まれる。前日の米国債相場は、米株価の急反落や信用リスクの高まりな どを受けて大幅に上昇しており、円債市場でも買いが先行しそう。月末接近に 伴い、投資家が保有債券の年限を長期化させる買いも期待される。一方、朝方 発表される消費者物価指数(CPI)や生産指数など重要指標にも注目が集ま っている。

日興シティグループ証券チーフストラテジストの佐野一彦氏は、前日の米 国債利回りが、ニューヨークダウ工業株の急落を受けて大きく下落したことを 指摘。「きょうの円債は堅調地合いに、このさらなる外部環境のフォローを受 ける。まずは大きく値を上げてスタートするだろう」と予想している。

東京先物市場の中心限月9月物は、前日の通常取引終値134円86銭を上 回って始まり、日中は135円00銭から135円40銭程度を中心としたレンジで 取引されそうだ。中心限月の135円台乗せは今月9日以来。26日のロンドン市 場で9月物は、東京終値から17銭高い135円3銭で引けた。

みずほインベスターズ証券の井上明彦マーケットアナリストは、海外市場 の動きを受けて、上値を試す動きを予想。ただ、「欧米に先行して金利低下が 進んでいたことや、量的金融緩和時の水準であり、買われすぎの領域とみられ る10年債利回りの1.6%割れが心理的な抵抗線となる」という。

前日の先物相場は続伸。25日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を波乱 なく通過したことを受けて、買い安心感が広がった。また来週発表される日銀 短観(企業短期経済観測調査)で景況感の悪化が示されることを意識した買い も入ったようだ。9月物の日中売買高は2兆3848億円。

この日の朝方には重要な経済指標の発表が相次ぐ。ブルームバーグ・ニュ ースの事前調査によると、5月の全国CPIは、生鮮食品を除くコアで前年同 月比1.4%上昇と、4月の同0.9%上昇からプラス幅が拡大する見通し。6月 の東京都区部コアCPIは前年比1.1%プラスの予想だ。

また、5月の鉱工業生産は、前月比2.7%増加(前月は0.2%減少)、家 計調査の消費支出は前年比2.0%減少(前月は2.7%減少)、完全失業率は

4.0%(前月は4.0%)、有効求人倍率は0.92倍(前月は0.93倍)が予想され ている。

富国生命保険の桜井祐記取締役財務企画部長は、「CPIは、ある程度上 昇していくとみるが、市場ではそれを織り込んでいる。鉱工業生産もあまりよ くないということで、指標で金利が一方向に大きく動くことはないだろう」と 予想している。

一方、市場では「どちらも債券市場にとってネガティブな数字となりそう だ」(T&Dアセットマネジメントの竹田竜彦ファンドマネジャー)との見方 もある。

新発10年債利回りは1.6%前半中心か

現物債市場で新発10年物の293回債利回りは、前日終値の1.655%を下回 る水準で始まり、1.6%台前半から半ばでの推移が見込まれる。株安に加えて、 年限長期化などの買いが入ると、節目の1.60%付近まで低下する展開も予想さ れる。

日本相互証券によると、26日の業者間取引で10年物の293回債利回りは、 前日比1ベーシスポイント(bp)低い1.67%で取引開始。午前は1.67-

1.675%で推移したが、午後に入るといったんは1.685%まで上昇。その後は、 徐々に水準を切り下げ、3時過ぎには3.5bp低い1.645%と、5月22日以来お よそ1カ月ぶりの低水準を付けた。終値は2.5bp低い1.655%。

一方、10年物国債の293回債利回りは、東京時間の前日午後3時時点で、 大和証券SMBC、日興シティグループ証券、みずほ証券、三菱UFJ証券各 社の平均値であるブルームバーグ公社債基準価格(BBYF)によると

1.646%だった。

米債は上昇、株急落や信用懸念の高まりで

26日の米国債相場は上昇。株価急落に加え、信用市場の損失拡大懸念で年 内は米利上げが見送られるとの観測が強まった。2年債利回りはほぼ3週間ぶ りの大幅な低下となった。

朝方は米自動車メーカー3位のクライスラーが破産法の適用を申請すると の憶測が広がり、安全な投資先としての米国債買いが膨らんだ。ゴールドマ ン・サックス・グループは米銀大手シティグループが第2四半期に89億ドル の評価損を計上する可能性があると指摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4 時15分現在、2年債利回りは前日比14bp低下して2.67%。一時は2.65%と、 今月9日以来の低水準となった。10年債利回りは前日比6bp低下し4.04%。

一方、米株相場は急反落。ダウ平均株価は前日比358ドル41セント安の1 万1453ドル42セントで安値引け。年初来安値を更新し、2006年9月以来の安 値となった。

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