日本株は輸出、金融中心に大幅安へ、金融不安と原油高値嫌気-円高も

週末の東京株式相場は大幅安となる見込 み。米国で金融不安が拡大した上、海外原油先物価格が過去最高値を更新した ことや円高進行で景気の先行き懸念が強まりそう。輸出関連株と金融株を中心 に幅広く売りが広がり、日経平均株価は過去2カ月間のボックス相場の下限で ある1万3500円近辺を試す可能性もある。

明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリストは、「米国は原油高と 金融不安、ドル安の中で難しい金融政策を迫られる。きょうはスタグフレーシ ョン(景気後退期の物価上昇)の行方を見極めたいとし、日本株もこれまでの レンジを下抜ける可能性がある」との見方だ。

シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物9月物の26日清算値は1万 3575円で、大阪証券取引所の通常取引終値(1万3850円)に比べて275円安。

米ダウ指数が358ドル安

26日の米国株相場は、悪材料が重なり急落した。ダウ工業株30種平均は 前日比3%安となって1月安値1万1634ドルを割り込み、2006年9月以来の 安値となった。これまで米国株指数の中では相対的に底堅かったナスダック総 合指数も1月以来最大の下げとなった。

ゴールドマン・サックス・グループは金融大手シティグループが4-6月 (第2四半期)決算で、89億ドルの純評価損を追加計上する可能性があると指 摘。同証券が売りを推奨したシティ株が6.3%安となるなど、S&P500種の 業種別10指数では金融が4.4%と最大の下落となった。KBW銀行指数は約 10年ぶりの低水準。キー・プライベート・バンクの投資戦略部門責任者、ルー ス・マケイン氏は「評価損の規模は想像よりはるかに悪い」と語った。同じく、 ゴールドマンが売り推奨した自動車のゼネラル・モーターズ(GM)も3年ぶ りの大幅安。

格付け会社フィッチ・レーティングスは26日、米金融保証会社(モノラ イン)大手MBIAとアムバック・ファイナンシャル・グループの格付けを停 止したと発表している。

また、26日のニューヨーク原油先物相場は急伸し、一時140ドル台と過去 最高値を更新するなど商品価格は上昇。リビアが産油量を削減する可能性に言 及したことに加え、石油輸出国機構(OPEC)議長は今夏に原油相場が170 ドルに上昇するとともにドルが下落する可能性があるとの見方を示した。終値 は前日比5.09(3.78%)高の1バレル=139.64ドル。

米主要株価3指数の26日終値は、ダウ30種平均が前日比358.41ドル (3%)安の11453.42ドル、S&P500種株価指数は38.82ポイント (2.9%)安の1283.15、ナスダック総合株価指数は79.89ポイント(3.3%) 安の2321.37。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対9。

幅広く売りへ

ゴールドマンによるシティの売り推奨は、ブルームバーグ・ニュースを通 じてきのうの東京時間午後1時過ぎに伝えてられていた。しかし、それを受け た米国株の反応が大きく、信用収縮が経済に与える影響があらためて警戒され るほか、原油価格の高値更新で世界景気への不安も高まりそう。さらに、ニュ ーヨーク外国為替市場ではドル売り・円買いが進み、1ドル=106円60銭台ま で円高が進んだことも輸出関連株中心に業績不透明感となりそうだ。

米国の預託証書(ADR)市場では、トヨタ自動車が26日の東京市場終 値比2.3%安、ソニーが3.7%安、三菱UFJフィナンシャル・グループが

2.8%となるなど、輸出関連や金融株が軒並み大幅安となっている。海外市場 が波乱となったことで景気懸念が高まり、幅広く売りが先行する見通し。

日経平均は4月25日以降、心理的な節目である1万3500円近辺を下値に ボックス相場が続く。インフレ抵抗力などが評価されて足元では1万3600円 台では底堅さが示されていたが、きょうはボックスの下限を試す動きが想定さ れる。市場関係者の間でも、「米ダウ工業株30種平均が年初来安値を更新し ており、投資心理は悪くなる。日経平均は75日線の1万3550円で下げ止まる かがポイント」(インベストラストの福永博之代表)との声が聞かれる。

鉱工業生産や消費者物価

取引開始前には5月の鉱工業生産、消費者物価指数(5月全国、6月東京 都区部)、家計調査、失業率などの経済指標が発表される。ブルームバーグ・ ニュースの事前調査によると、鉱工業生産は前月比2.7%増と前回(0.2%減) から改善する見込み。ただし、稼働日の少ない5月は上下に振れやすいとの見 方もある。全国消費者物価は生鮮食品を除くベースで前年同月比1.4%上昇と、 前回(0.9%上昇)からさらに高い上昇率になると予想されている。

スター精やダイキン工など下落見込み

個別に材料が出ている銘柄では、3-5月期(第1四半期)の連結営業利 益が前年同期比13%減となったスター精密、同社と中国子会社との取引にから み、大阪国税局から移転価格税制に基づく更正通知を受けたダイキン工業が下 落する見込み。日興シティグループ証券が目標株価を引き下げたライオンも軟 調が予想される。

半面、発行済み株式総数の1.33%に相当する自社株買いを行う日本トリム、 発行済み株式総数の0.82%の自社株買いを行うクレハが相対的に底堅くなる公 算が大きい。3-5月期(第1四半期)連結営業利益が前年同期比1%増とな ったもようだ、と27日付の日本経済新聞朝刊が伝えたセブン&アイ・ホール ディングスも堅調となる可能性がある。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE