6月26日の海外金融・株式・為替市場(2)

(米国株と米国債、NY外為を更新します)

○米国株:急落。月初来のダウ工業株30種平均の下げは、6月としては大恐慌以 来で最悪。最高値圏にある石油価格や信用市場の評価損、米景気減速が企業の通 期利益を脅かしていることから売りを浴びた。

自動車のゼネラル・モーターズ(GM)はゴールドマン・サックス・グルー プが売りを助言したことから3年ぶりの大幅安。この日の原油先物相場はバレル 当たり5ドル上昇した。

シティグループを中心に銀行株が下落、KBW銀行指数は約10年ぶり低水準 に落ち込んだ。ゴールドマンはシティが4-6月(第2四半期)に89億ドルの評 価損を追加計上し、減配する可能性があると指摘した。

携帯電子メール端末「ブラックベリー」を製造・販売するカナダのリサー チ・イン・モーション(RIM)は2001年以来で最大の下げ。アップルの携帯電 話「iPhone(アイフォーン)」との競争激化で利益が損なわれつつあると の懸念が背景だ。

S&P500種株価指数は前日比38.82ポイント(2.9%)下げて1283.15。3 週間ぶりの大幅安。ダウ工業株30種平均は358.41ドル(3%)安の11453.42ド ルとなった。これは2006年9月以来の安値。ナスダック総合株価指数は79.89ポ イント(3.3%)低下して2321.37で終了した。ニューヨーク証券取引所(NYS E)の騰落比率は1対9。

キー・プライベート・バンク(クリーブランド)の投資戦略部門責任者、ル ース・マケイン氏は「投資家の大半はサメがいなくなり安全かどうか、よりはっ きりするまで何も行動を起こさないだろう。評価損の規模は想像よりはるかに悪 い」と語った。

第2四半期の企業利益も減少

S&P500種の産業別10指数はいずれも下落。スポーツ用品のナイキが米国 での利益落ち込みを明らかにしたほか、ソフトウエアのオラクルが2006年以来の 低い増収率予想を示したことから、消費者も企業も景気減速にあわせて支出を切 り詰めているとの懸念が強まった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500種に採用されている 企業の第1四半期の利益は平均で18%減、減益は3四半期連続だった。4-6月 期の利益は8.9%減が予想されている。

ダウ工業株30種平均は今月に入り9.4%下落。これは6月としては世界恐慌 時に記録した18%安以来の最悪。構成30銘柄はいずれも月間ベースで値下がり している。

シティグループは6.3%安。1998年10月以来の安値だった。ゴールドマンは、 銀行業界の落ち込みのペースは当初予想よりも「はるかに悪化しているようだ」 との見方を示し、シティの株式投資判断を引き下げ、売りを助言した。証券大手 のメリルリンチも下落した。

GM、ナイキが安い

GMは11%安と、2005年3月以来で最大の値下がり。自動車シート製造大手 のリアも下落。ゴールドマンは両社の株式投資判断を「ニュートラル(中立)」 から「売り」に引き下げた。

S&P500種の一般消費財・サービス株価指数は3.5%下落した。ニューヨー ク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物8月限は前日比5.09ドル (3.78%)高の1バレル=139.64ドルで取引を終えた。リビアが産油量を削減す る可能性に言及したことに加え、石油輸出国機構(OPEC)議長は今夏に原油 相場が170ドルに上昇する可能性があるとの見方を示した。

ナイキは9.8%安。3-5月期の米国内での税引き前利益は10%減の3億 9070万ドルだった。

住宅建設のレナーを中心に住宅建設株が下落。レナーが発表した四半期決算 の赤字額はアナリスト予想より大幅だった。顧客確保のために実施した価格引き 下げが影響した。

○米国債:上昇。株価の大幅安に加え、信用市場の損失が拡大するとの 懸念で年内は米利上げが見送られるとの観測が強まった。2年債利回りは ほぼ3週間ぶりの大幅な低下。

ゴールドマン・サックス・グループは米銀大手シティグループが第 2四半期に89億ドルの評価損を計上する可能性があると指摘した。また、 この日実施された5年債入札(規模200億ドル)の需要は昨年10月以来 の最高だった。

キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズの債券共同責任者、E・ クレイグ・コーツ氏は「誰もが落ち着きのない状況だ。不安感や先行き 不透明感は非常に強い」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間 午後4時15分現在、2年債利回りは前日比14bp低下して2.67%。一 時は2.65%と、今月9日以来の低水準を付けた。2年債価格(償還期限 2010年6月、表面利率2.875%)は1/4上昇し100 3/8。

10年債利回りは前日比6bp低下し4.04%。一時は4.02%と、こ こ2週間以上で最低水準を付けた。

入札での需要

5年債相場は上昇、利回りは11bp低下の3.41%。午後に実施され た米財務省の5年債入札(発行額200億ドル)では需要が予想を上回っ た。最高落札利回りは3.44%と、入札直前の市場予想の3.461%を下回 った。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.48倍と、前回の1.84倍 を上回り、ここ8カ月間での最高水準だった。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの金利ストラテジスト、 クラシュ・ミストリー氏は「入札前でさえ大幅に上昇していたが、買い 意欲が非常に強かったようだ」と述べた。「リスクの高い資産がここ数 日、非常に軟調な展開となっていることも、明らかに米国債相場の上昇 に貢献している」と付け加えた。

株価の動向

米株式相場は下落。ダウ工業株30種平均は2006年9月以来の安値 を付け、債券への買いを誘った。ダウ平均は前日比3%安で取引を終え た。

バンガード・グループ(ペンシルベニア州バレーフォージ)で750 億ドルの米国債運用を手がけるデービッド・グロック氏は「市場参加者 は株式市場から逃げ出すように、債券市場に資金を移している」と指摘 した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で取引されている原油先物 相場は一時、バレル当たり140.39ドルと過去最高値を付けた。リビアが 減産の可能性を表明したことに加え、石油輸出国機構(OPEC)議長 が原油相場が夏場に170ドルに上昇する可能性を指摘したことが材料だ った。

朝方は米自動車メーカー3位のクライスラーが破産法の適用を申請 するとの憶測が広がり、安全な投資先としての米国債買いが膨らんだ。 同社は破産申請は検討していないと表明し、憶測を否定した。

○NY外為:円とスイス・フランがほかの主要通貨すべてに対して上昇。株式 相場の下落を受け、低金利の日本やスイスで資金を調達し、高金利通貨で運用 するキャリー取引が解消された。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が8月に利上げを実施するとの思惑が 後退し、ドルは対ユーロで約2週間ぶりの安値を付けた。イングランド銀行 (英中央銀行)のキング総裁はインフレ率を押し下げるため必要な措置を取る と表明。ポンドはドルに対して7週間ぶりの高値を付けた。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの世界市場グループ担当グローバル 戦略ディレクター、サマルジット・シャンカー氏は「リスク回避傾向が強まっ ており、それが円買いにつながっている。米国の金融政策の方向性について懸 念する声が多い」と語った。

ニューヨーク時間午後4時23分現在、円は対ドルで前日比1%上昇し、 1ドル=106円71銭(前日は同107円80銭)。ユーロに対しては0.4%上 げ、1ユーロ=168円15銭。一時は169円46銭と、最安値を更新する場面 もあった。前日は168円90銭。ドルはユーロに対して0.6%下落し、1ユー ロ=1.5758ドル(前日は同1.5666ドル)。一時は1.5767ドルと、9日以 来のドル安・ユーロ高水準を付けた。

コロンビア・ペソは対ドルでほぼ4カ月ぶりの安値を付けた。コロン ビア中銀の1日当たり2000万ドルのペソ売り・ドル買いを実施する計画が、 年初から10%近く上げているペソの上昇を抑制するとの思惑につながった。ペ ソは5.4%安の1ドル=1873.40ペソ(前日は1777.50ペソ)。一時は

1888.80ペソと3月7日以来の低水準となった。

円高

円は南アフリカ・ランドに対して2.4%高となり、スイス・フランは対ブ ラジル・レアルで2%上昇した。S&P500種株価指数が2.9%安と、ほぼ3 週間ぶりの大幅安になったため、キャリー取引が解消された。

1カ月物のドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(IV、 予想変動率)は3日ぶりに上昇、10.66%となった。通貨の変動率が高まると、 キャリー取引で得た利益が縮小する可能性がある。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト11人を対象にした調査では、 日銀は2009年9月まで政策金利を0.5%で据え置くとみられている。スイス の政策金利は2.75%、南アは12%、ブラジルは12.25%。

ポンドと英中銀

イングランド銀行のキング総裁が議会証言で英国のインフレ率が数カ月内 に4%を超えるとの予想を示し、ポンドが上昇した。総裁が「インフレ率は現 在上昇しているが、中銀は必ず目標の2%までこれを低下させる」と述べると、 ポンドは一時、0.7%高の1ポンド=1.9895ドルと、5月2日以来の高水準 を付けた。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場の動向によると、FOMCが次回8月5日の会合で利上げを実施する確率は 22%と、前日の36%から低下。1週間前の44%も下回った。これを材料に対 ユーロでドルが下落した。

ニューヨーク原油先物相場は一時、140ドル台と過去最高値を更新した。 リビアが産油量を削減する可能性に言及したことに加え、石油輸出国機構(O PEC)議長は今夏に原油相場が170ドルに上昇する可能性があるとの見方を 示したことが買い材料。インフレがドルの価値を弱めるとき、ドル安に対する ヘッジとして商品買いが入る傾向が強い。

FOMC

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、マシ ュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)は「そもそもFOMCに利上げに踏み 切る勇気があるのかどうか疑問の声が上がり始めている。ドルは来月にも1ユ ーロ=1.60ドルを試す可能性がある」と述べた。

トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は25日、欧州議会で証言し、現行 4%の政策金利を7月3日に0.25ポイント引き上げる可能性があるとの認識 をあらためて表明した。

クレディ・スイス・グループの為替ストラテジスト、マーカス・ヘッティ ンガー氏は「ECBが来週、利上げを実施するとの見通しがユーロの支援材料 になっている。ECBはインフレに注目しており、それがユーロを支えている。 ユーロ高を主導しているのは経済指標ではない」と指摘した。

コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は26日、フランクフルト で講演し、世界の中央銀行当局者は商品相場高騰が幅広いインフレへと波及す ることを阻止する必要があると述べた。

○英国債:5日連続で上昇。株式相場の下落を受けて、安全投資としての国債需 要が高まった。

英株式の指標、FT100指数は前日比2.6%安と、ここ1カ月余りで最大の値 下がりとなった。

2年債利回りは11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ5.12% となった。同国債(償還2010年6月、表面利率4.75%)価格は0.20ポイント 上げ99.33。10年債利回りは11bp低下し5.01%。

○欧州債:上昇。株安で国債需要が高まったほか、米金融当局がインフレ加速の 兆候がより顕著となるまでは政策金利を据え置くとの観測が強まったことが背景。

独2年債利回りは3週間ぶりの水準に下げた。欧州の株式指標のダウ欧州株 価指数は前日比2.6%安と、3月17日以来の大幅安となった。米連邦公開市場委 員会(FOMC)は25日、政策金利を2%に据え置いた。米金融当局は、エネル ギー価格の上昇が経済成長を2009年まで抑制する一方で、インフレとインフレ期 待の「上振れリスク」が拡大したとの見方を示した。

ABNアムロ・ホールディングのシニア債券ストラテジスト、ハービンダ ー・シアン氏(ロンドン在勤)は「リスク回避の動きが戻り、質への逃避がみら れる」と指摘。「FOMC声明を背景とした安心感から若干上昇した。声明は近 く金利を変更する意思を伝えようとする内容ではなかった」と語った。

ロンドン時間午後5時7分現在、2年債利回りは前日比11ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)下げ4.46%となった。一時は4.44%まで下げ、今月5 日以来の低水準となった。同国債(2010年6月償還、表面利率4.75%)価格は

0.21ポイント上げ100.52。10年債利回りは9bp低下し4.52%。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   1-212- 617-3007 参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: ニューヨーク 西前 明子 Akiko Nishimae +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net

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