NY外為:円とスイス・フランが上昇、株安でキャリー取引解消

ニューヨーク外国為替市場では円とスイ ス・フランがほかの主要通貨すべてに対して上昇。株式相場の下落を受け、低 金利の日本やスイスで資金を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引が解 消された。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が8月に利上げを実施するとの思惑が 後退し、ドルは対ユーロで約2週間ぶりの安値を付けた。イングランド銀行 (英中央銀行)のキング総裁はインフレ率を押し下げるため必要な措置を取る と表明。ポンドはドルに対して7週間ぶりの高値を付けた。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの世界市場グループ担当グローバル 戦略ディレクター、サマルジット・シャンカー氏は「リスク回避傾向が強まっ ており、それが円買いにつながっている。米国の金融政策の方向性について懸 念する声が多い」と語った。

ニューヨーク時間午後4時23分現在、円は対ドルで前日比1%上昇し、 1ドル=106円71銭(前日は同107円80銭)。ユーロに対しては0.4%上 げ、1ユーロ=168円15銭。一時は169円46銭と、最安値を更新する場面 もあった。前日は168円90銭。ドルはユーロに対して0.6%下落し、1ユー ロ=1.5758ドル(前日は同1.5666ドル)。一時は1.5767ドルと、9日以 来のドル安・ユーロ高水準を付けた。

コロンビア・ペソは対ドルでほぼ4カ月ぶりの安値を付けた。コロン ビア中銀の1日当たり2000万ドルのペソ売り・ドル買いを実施する計画が、 年初から10%近く上げているペソの上昇を抑制するとの思惑につながった。ペ ソは5.4%安の1ドル=1873.40ペソ(前日は1777.50ペソ)。一時は

1888.80ペソと3月7日以来の低水準となった。

円高

円は南アフリカ・ランドに対して2.4%高となり、スイス・フランは対ブ ラジル・レアルで2%上昇した。S&P500種株価指数が2.9%安と、ほぼ3 週間ぶりの大幅安になったため、キャリー取引が解消された。

1カ月物のドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(IV、 予想変動率)は3日ぶりに上昇、10.66%となった。通貨の変動率が高まると、 キャリー取引で得た利益が縮小する可能性がある。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト11人を対象にした調査では、 日銀は2009年9月まで政策金利を0.5%で据え置くとみられている。スイス の政策金利は2.75%、南アは12%、ブラジルは12.25%。

ポンドと英中銀

イングランド銀行のキング総裁が議会証言で英国のインフレ率が数カ月内 に4%を超えるとの予想を示し、ポンドが上昇した。総裁が「インフレ率は現 在上昇しているが、中銀は必ず目標の2%までこれを低下させる」と述べると、 ポンドは一時、0.7%高の1ポンド=1.9895ドルと、5月2日以来の高水準 を付けた。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場の動向によると、FOMCが次回8月5日の会合で利上げを実施する確率は 22%と、前日の36%から低下。1週間前の44%も下回った。これを材料に対 ユーロでドルが下落した。

ニューヨーク原油先物相場は一時、140ドル台と過去最高値を更新した。 リビアが産油量を削減する可能性に言及したことに加え、石油輸出国機構(O PEC)議長は今夏に原油相場が170ドルに上昇する可能性があるとの見方を 示したことが買い材料。インフレがドルの価値を弱めるとき、ドル安に対する ヘッジとして商品買いが入る傾向が強い。

FOMC

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、マシ ュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)は「そもそもFOMCに利上げに踏み 切る勇気があるのかどうか疑問の声が上がり始めている。ドルは来月にも1ユ ーロ=1.60ドルを試す可能性がある」と述べた。

トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁は25日、欧州議会で証言し、現行 4%の政策金利を7月3日に0.25ポイント引き上げる可能性があるとの認識 をあらためて表明した。

クレディ・スイス・グループの為替ストラテジスト、マーカス・ヘッティ ンガー氏は「ECBが来週、利上げを実施するとの見通しがユーロの支援材料 になっている。ECBはインフレに注目しており、それがユーロを支えている。 ユーロ高を主導しているのは経済指標ではない」と指摘した。

コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は26日、フランクフルト で講演し、世界の中央銀行当局者は商品相場高騰が幅広いインフレへと波及す ることを阻止する必要があると述べた。

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