米金融機関:投資家にはARSを販売-一方で発行体には警戒呼び掛け

ヤンピン・クイさん(57)は昨年12月、ス イスのUBSのブローカーの勧めで米入札方式証券(ARS)に投資した。同 月にUBSはARSの発行体の1つに、総額3300億ドル(約35兆6200億円) 規模のARS市場は崩壊の危機にあると伝えていた。

その崩壊は今年2月にやって来た。住宅ローン関連投資の損失が膨らみ、 過去20年間以上にわたり引き受け役を務めてきた金融機関が「最後の買い手」 としての役割を放棄せざるを得なくなったためだ。クイさんは、市場の状況が 回復するまで投資資金は回収できないと説明を受けた。

クイさんは、UBSのブローカー(当時)のブライン・ミーハン氏から受 けたアドバイスについて「彼はARSが非常に安全かつ流動的なものだと説明 した」と語り、「わたしはとても怒っている。非常に苦労して稼いだ金だ」と述 べた。現在ウェルズ・ファーゴ・インベストメンツに所属するミーハン氏はコ メントを控えた。

クイさんは、UBSやシティグループなど引受銀行が発行体に対してAR Sの需要鈍化を伝えるなかで、現金に代わる低リスクの投資先としてARSを 購入した投資家の1人だ。

ダラスでドーナツ店を営むジミー・ウォーカーさん(53)は、1月23日に 100万ドル相当のARSをバンク・オブ・アメリカ(BOA)から購入した。ウ ォーカーさんの銀行に紹介されたブローカーがARSを勧めたものの、入札に ついてはまったく説明がなかったという。BOAの広報担当マット・カード氏 は、同行は個別の案件についてコメントしないと説明した。

ARSの導入は約20年前。地方政府や病院大学は、通常7、28、35日ごと に実施する入札でARSの発行を繰り返すことにより、比較的低い短期金利で 長期資金を借り入れることが可能となった。2月末までは、銀行が売れ残った ARSを買い取ることで市場を継続させてきた。

銀行が買い取りをやめ、入札が成立せず、発行体にはペナルティーが科せ られたため、ARSの金利水準は最高20%に急上昇した。

今年3月以降、金融機関を相手取り集団訴訟の扱いを求める訴えが少なく とも24件提起された。9つの州当局で構成する作業部会が現在、金融機関のA RS販売の実態を調査している。

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