中村日銀委員:景気下振れと物価上振れの両リスクさらに高まる(2)

(第1段落以降に発言を追加し、見出しを差し替えます)

【記者:日高正裕】

6月26日(ブルームバーグ):日本銀行の中村清次審議委員は26日午後、 旭川市内で会見し、国内の景気下振れリスクと物価の上振れリスクについて「5 月の金融政策決定会合の時点より、6月の決定会合の時点の方が、両サイドの リスクがさらに高まっている」と述べ、経済・物価情勢の先行きに強い警戒感 を示した。

中村委員は「海外経済の動向、エネルギー・原材料価格高騰に伴うインフ レ圧力、国際金融資本市場の混乱といった日本を取り巻くリスク要因について は、先行き不確実性がさらに高まっている」と指摘。こうした不確実性が極め て高い状況では「先行きの金融政策運営についてはあらかじめ特定の方向性を 持つことは適当ではない」と述べた。

中村委員は同日午前の講演で、原油などの高騰による交易条件悪化がもた らす所得形成の弱まりが「国内民間需要の下振れにつながらないか、注意深く みていく必要がある」と述べた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコ ノミストは「政策委員会メンバーの間で広く共有されているとみられる警戒姿 勢からみて、年内といった早い時期の利上げは非常に考えにくい」としている。

中村委員は会見で、金融政策運営について「予断を持つことなく、経済・ 物価の見通しとその蓋然(がいぜん)性、上下両方向のリスク要因を丹念に分 析して見極めていく必要がある」と指摘。その上で「経済・物価情勢に応じて 機動的に金融政策を運営していくということに尽きる」として、具体的な政策 運営については「非常に不透明であるとしか言いようがない」と語った。

為替は一時的にオーバーシュートも

同日午前の東京外国為替市場で円が対ユーロで一時、1999年1月にユーロ が導入されて以来の最安値を更新したことについては「基本的に為替は経済の ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を表す」としながらも、「得てして市場は 一時的にオーバーシュートする」ため、為替相場の動向は「少し長い目でみて いく必要がある」と語った。

米連邦準備制度理事会(FRB)は25日開いた連邦公開市場委員会(FO MC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2%に据え置くことを決 定。声明で「経済成長の下振れリスクが残るものの、幾分か縮小したもようで あり、インフレとインフレ期待の上振れリスクは拡大した」として、昨年9月 から今年4月にかけて実施した連続利下げを停止した。

中村委員は「世界各国とも物価上昇率がかなり高くなっており、インフレ 懸念が強まっている」としながらも、「各国によって経済や物価の情勢は違うの で、それに伴って金融政策も自ずと異なってくる」と指摘。日銀としては「わ が国の経済・物価情勢をみながら最適な金融政策を図っていきたい」と語った。

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