東京外為:ドル・円もみ合い、ユーロ先高観で売り交錯-108円付近

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=108円ちょうどを挟んでもみ合った。米国の政策金利は当面据え置か れるとの見方が浸透するなか、利上げ期待のあるユーロの先高観が強まってお り、対ユーロでのドルと円の売りが交錯する格好となった。

中央三井信託銀行総合資金部の北倉克憲主席調査役は、米国の金融政策に ついては、すぐに利上げという感じではないとの見方に落ち着いており、7月 の利上げが確実視されている欧州中央銀行(ECB)とのベクトルの違いが意 識されやすく、目先はユーロの上値を模索する展開が続くと予想。そうしたな か、「日本については物価の上昇が気になるところではあるものの、景気に対 する見方も弱いため、すぐに利上げになるとはみられていない」として、円に も売り圧力がかかっていると説明している。

東京時間午前の取引では、円相場が対ユーロで一時1ユーロ=169円34銭 (ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と、1999年1月にユーロが導入さ れて以来の最安値を更新。ドル・円相場はクロス・円(ドル以外の通貨と円の 取引)での円売りが波及して、108円07銭まで円安が進む場面もみられた。

ボラティリティ低下に期待

米国の早期利上げ観測が後退したことを受けて、前日の米国株式相場は4 営業日ぶりに反発。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所 (CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)も4営業日ぶりの水準に低 下した。

損失リスクを伴う投資先の代表格とされる株式への警戒感が薄れると、外 為市場では、低金利の円から高金利通貨に資金が向きやすくなる傾向がある。 また、1カ月物のドル・円オプションのインプライド・ボラティリティ(IV、 予想変動率)も低下しており、為替相場の変動に伴う損失リスクが軽減される との見方から、金利差益を追求しやすくなっている。

三菱東京UFJ銀行市場業務部の佐原満上席調査役は、「金融市場のひっ 迫や労働市場の軟化など米経済が引き続き不安定な環境下で、利上げが見送ら れるということで、金融市場を落ち着かせる猶予が与えられたとも捉えられる」 として、ボラティリティ(変動率)の低下期待を背景に円キャリートレード(低 金利の円で調達した資金を高金利通貨などに投資する取引)がしやすい環境を 見込んでいる。

この日の東京時間午前の取引では、円がオーストラリア・ドルでも一時1 豪ドル=103円64銭と、昨年11月12日以来の安値を更新している。

米早期利上げ観測が後退

米連邦準備制度理事会(FRB)は25日に開いた連邦公開市場委員会(F OMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2%に据え置いた。 先行きの利上げ動向を見極めるうえで注目されていた声明文では、「経済成長 の下振れリスクが残るものの、幾分か縮小したもようであり、インフレとイン フレ期待の上振れリスクは拡大した」として、インフレへの警戒度が高められ た。

一方で、声明では「インフレが今年と来年にかけて減速すると予想してい る」として、インフレが鈍化する可能性も視野に入れていることが示され、当 局が積極的にインフレの抑制に踏み切るとの期待は醸成されなかった。

市場では8月と9月の利上げ見通しが低下し、10月に25ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%ポイント)の利上げが実施されるとの予想が強まって おり、早期の利上げ期待が後退する格好となった。

ECBの利上げ先行期待

半面、欧州中央銀行(ECB)政策委員メンバーのウェーバー独連銀総裁 は25日、ドイツのコンスタンツで講演し、「長期のインフレ期待がより力強い ペースで徐々に上昇し始める明確なリスクがある」と指摘。その上で「安定を 目指す中銀は、広範な二次的影響のリスクに断固かつ積極的に対処することが 賢明だ」と述べた。

ECBの金融政策に関しては、トリシェ総裁が25日に連続利上げを否定す るコメントをしているものの、7月の次回会合での利上げが期待されており、 当面は米欧の金利差が縮まらないとの見方から、ユーロ買いが進みやすい環境 が見込まれる。

バンク・オブ・アメリカグローバル為替・金利・商品戦略部の藤井知子日 本チーフエコノミスト兼ストラテジストは、「米景気の下振れリスクは減じて もまだ懸念はあるわけなので、9月の利上げもやっぱり無理となれば、ドルは 若干軟化する」と予想。一方で、「ユーロ圏は米国よりも目先は金利が上がり やすいということで、ユーロ・ドルも少なくとも一時的には1ユーロ=1.60ド ル近辺までには戻るのではないか」とみている。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1.5686ドルと、9日以来の水準 までユーロ高・ドル安が進行。この日の東京市場でも1.56ドル台後半でユーロ が高止まりに推移している。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

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