日本株:輸出や金融中心反発、FOMC波乱なし-ディフェンシブ色も

午前の東京株式相場は反発。米連邦公開 市場委員会(FOMC)の声明で利上げが示唆されなかったことが安心感につ ながった。きょう中期経営方針説明会を発表するソニー、三井住友フィナンシ ャルグループなど輸出関連の一角や銀行株が上昇。保険や医薬品株といった業 績安定度の高いディフェンシブ業種に投資資金が流れる動きも続き、両業種が 午前の東証1部の業種別上昇率で1、2位を占めた。

T&Dアセットマネジメントの天野尚一運用統括部長は、「資源価格の高 騰持続への疑問が生じて商社などのウエートを下げようと考えれば、景気も 先々ばら色の絵は描けそうになく、ディフェンシブ以外に資金を振り向ける先 もない」と指摘した。ディフェンシブのウエートを低下させていた投資家がい たとすれば、「それを平準化してアクティブリスクを小さくしようとするはず だ」(同氏)という。

日経平均株価の午前終値は前日比59円43銭(0.4%)高の1万3889円35 銭、TOPIXは4.29ポイント(0.3%)高の1350.37。東証1部の売買高は概 算で8億1325万株、売買代金は同8858億円。値上がり銘柄数805、値下がり 銘柄数763。東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種20、値下がり 業種13。

一方、週間の米国在庫が6週間ぶりに増加したことで、25日のニューヨー ク原油先物相場は前日比1.8%安の1バレル=134.55ドルと4日ぶりに反落し た。利益上積みへの期待が後退した影響から、午前は三菱商事など大手商社株 の下げが目立ち、卸売はTOPIXの下落寄与度1位となった。

イベント通過で不安後退

米連邦準備制度理事会(FRB)は25日、FOMCの定例会合を開き、 フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2%に据え置くことを決めた。 声明では、「経済成長の下振れリスクが残るものの、幾分か縮小したもようで あり、インフレとインフレ期待の上振れリスクは拡大した」とインフレへの警 戒度を高めたが、利上げは明確に示唆しなかった。

FOMC声明の評価について、市場では「インフレバイアスはほぼ中立で、 相場への影響は限定的」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との受け止 め方が多い。ただし、海外金融機関の4-6月期決算を控えて信用不安が高ま る中、金融市場の安定に配慮が見られたことは一定の安心感につながった。声 明を受けて今後の米金融政策について、「年内は政策金利を据え置き、来年前 半に大幅緩和状態を解消させる形で、政策金利引き上げ措置が開始されること をメインシナリオとしたい」(野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコ ノミスト)との声が上がっている。

国内では、このところ日経平均が1万3600円台まで下げると買いが入り やすい状況が続いている。きょう午前も10時以降は輸出関連株に現物買いが 増加する場面があり、「下値では年金と見られるまとまった買いが入ってくる ことへの警戒が出てくる」(丸三証券の牛尾貴投資情報部長)という。イベン ト通過による短期的な安心感と、需給期待が相場を押し上げた。

玉虫色に警戒残る

もっとも、午前は上昇したとはいえ、前日比マイナスに転じる場面もある など引き続き方向感には乏しかった。日経平均はきのう、3月からの上げ幅の 3分の1押しの水準1万3631円直前で下げ止まりを見せたが、米ダウ工業株 30種平均は24日に3月安値を割り込み、英国FT100指数も3月安値に接近し つつある。

丸三証の牛尾氏は、「米国の金融政策は玉虫色となっており、新たな買い 材料というほどではない。金融不安から米国株や欧州株が依然安値を試す動き になっている以上、相対的に堅調な日本株も今後は下値に引っ張られる懸念が 残る」と指摘。信用不安やスタグフレーションへの警戒から海外株安が完全に 終息した状況にないだけに、「日本株も上げ幅の3分の1押しでとどまるとは 考えづらい」(同氏)と見ていた。

ディフェンシブが上げる

午前は景気動向に左右されにくいディフェンシブ関連業種の上げが目立っ た。東証1部業種別上昇率で保険が1位となったのをはじめ、医薬品が2位、 電気・ガスは10位だった。保険ではミレアホールディングスが3日続伸した ほか、医薬品の第一三共、電力の東京電力がそれぞれ続伸した。このほか、U BS証券が目標株価を引き上げたNTTは4連騰となった。きのうはJR株が にぎわうなど、景気不透明感が高まる中でディフェンシブ関連業種は堅調な動 きとなっている。

シスメクス上昇、EPSは急落

個別では、三菱UFJ証券が新規に最上位の格付けをしたシスメックス、 JPモルガン証券が強気の投資判断を継続した東京エレクトロンが高い。ガラ スの値上げを4月までさかのぼって適用する交渉を行っていることはポジティ ブサプライズ、とクレディ・スイス証券が評価した旭硝子は3連騰。

半面、最大で普通株式5500株(オーバーアロットメントによる上限500株 を含む)の売り出しを実施するイーピーエスが急落。不祥事が明らかになった マルハニチロホールディングスは続急落となった。モルガン・スタンレー証券 が目標株価を引き下げたブリヂストンも安い。日雇い派遣事業を展開する子会 社グッドウィルの廃業を決定したと正式発表したグッドウィル・グループは値 幅制限いっぱいのストップ安売り気配。

このほか、東京特殊電線やタカキュー、鈴丹、ミヤチテクノスなど前日に 上昇が目立っていた銘柄はそろって急落。6月に入ってからの株価パフォーマ ンスが良好だった古河電池、東京製綱、ジーエス・ユアサ コーポレーションな ど電池関連や太陽電池関連も安い。

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