景気配慮にじむFOMC、利上げ困難で米10年債3%台へ-みずほ証

25日の米連邦公開市場委員会(FOMC) の声明文は「タカ派色は限定的で、むしろ景気配慮の姿勢がにじむ」内容だった。 行き過ぎた米利上げ観測は後退し、米10年物国債利回りは今後2週間ほどで 4%を割り込む――。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは 26日のインタビューで、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン 問題に端を発した米景気悪化と信用不安は根強く、米金利の低下が進むと予想し た。

米連邦準備制度理事会(FRB)は25日のFOMCで、2007年9月以降初 めて、政策金利を据え置いた。前回4月の会合までに7回、計3.25ポイント利 下げしていた。今回の声明文はインフレへの警戒度を高める一方、前回4月の会 合で指摘した景気低迷の見通しも堅持。雇用悪化や金融市場の緊張、信用収縮、 住宅不況に加え、「エネルギー価格の上昇」を懸念材料に挙げた。

米金利先物市場では、8月のFOMCで政策金利が現在(2%)より0.25 ポイント以上高い水準に引き上げられるとの予想が6%と、前日の37.6%から 急低下した。米利上げ観測は今月、バーナンキFRB議長がドル安によるインフ レ加速に懸念を示し、原油先物相場が過去最高値を更新する中で台頭。年内

0.75ポイントの政策金利引き上げを一時、ほぼ織り込んでいた。足元では

14.8%に後退している。

上野氏は、FOMCが早期利上げを示唆しなかったことで、「インフレ加速 と早期利上げをはやして売り込まれた債券を買い戻す流れが続く」と述べた。米 10年物国債利回りは16日に4.27%と、昨年末以来の水準に上昇(価格は下落) した後、低下傾向にある。25日は4.1%。日本の10年物国債利回りにも低下圧 力が強まり、9月にも1.3%台に低下するという。16日には1.88%台と昨年7 月以来の高水準を記録したが、26日は約1カ月ぶり低水準の1.68%前後。

利上げ、米国人が望まず

米債券市場では、10年債とインフレ連動債(TIPS)の利回り格差が示 す予想インフレ率(BEI)は足元で2.5%弱。3月以降に3度つけた2006年 8月以来の高水準2.55%程度に、なお近い。米消費者物価指数(総合)は昨年 11月から4%台に高まっている。

それでも、上野氏は「米国では景気悪化と信用不安のほうが深刻だ。米国人 が利上げを望んでいるとは、とても思えない」と指摘する。住宅価格の下落と原 油高、失業率の上昇などを背景に、消費者心理は歴史的な水準まで悪化。ブッシ ュ米政権の一時的な減税による景気下支え効果は「まだ確認できず、米国経済の 約7割を占める消費の下振れリスクが増大している」と分析する。

しかも、米欧金融機関の損失・評価損計上と増資や、格付け会社による米金 融保証会社(モノライン)の格下げが相次ぎ、金融株の下落に歯止めがかからな い。ガソリン高と消費低迷を受けた業績悪化で、米自動車大手の格下げも取り沙 汰されている。

上野氏は、FRBはインフレ抑止姿勢を誇示はするものの、景気悪化と信用 不安のため、「年内はおろか、来年の前半までは利上げできない」と予想。海外 需要への依存度が高い日本経済も「利上げできる状態ではない」とし、日本銀行 による政策金利の引き上げは09年7月以降にずれ込むと見ている。

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