5月全国コアCPIは前年比1.4%上昇か-原材料高などで伸び加速

【記者:日高正裕、伊藤辰雄】

6月25日(ブルームバーグ):5月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)はガソリンなど揮発油税等の暫定税率が復活したことや、エネルギ ー・原材料高の高騰を受けて、前月から伸びが加速したとみられる。身近な製品 の値上がりは家計の購買力を奪っており、個人消費の低迷を通じて、減速感を強 めている日本経済にとっては一段の重荷となりそうだ。

総務省は27日午前8時半、5月の全国コアCPIと6月の東京都区部コア CPIを公表する。ブルームバーグ・ニュースが民間調査機関37社を対象にま とめた予想中央値は、全国コアCPIが前年同月比1.4%上昇、東京都区部コア CPIは同1.1%上昇。4月の全国コアCPIは同0.9%上昇と、暫定税率の期 限切れでガソリン価格が下落したことを受けて、3月(同1.2%上昇)から若干 伸びが鈍化した。5月の東京都区部コアCPIは同0.9%上昇だった。

ニューヨーク原油先物相場が一時1バレル=140ドルに接近するなど国際商 品市況が高騰を続けており、企業が幅広い製品に価格を転嫁する動きが徐々に広 がっている。コアCPIの伸び率は「石油製品や食品価格の上昇の影響から7- 9月は2.1%まで上昇する」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミス ト)との見方も出ている。

日銀が11日発表した5月の国内企業物価指数は前年同月比4.7%上昇と、 ガソリンなど揮発税の暫定税率が復活したことに加え、原油、鉄鋼原料、穀物価 格の上昇を幅広い製品に転嫁する動きから、第2次石油ショックの影響が残る 1981年2月(同5.7%上昇)以来の高い伸びとなった。原油先物相場は引き続 き高値近辺で推移しており、国内企業物価は高水準の伸びが続く公算が大きい。

コスト転嫁の動き広がる

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「5月の国内企業物 価で加工食品価格の上昇ペースが加速していることが明らかになった」と指摘。 「ガソリン価格は暫定税率復活前の水準を上回るペースで上昇しており、食料品 価格の上昇は今後一段とコアCPIを押し上げるリスクが出てきた」として、7、 8月のコアCPIは1.8-1.9%に到達すると予想している。

日本銀行が18日公表した4月30日の金融政策決定会合の議事要旨によると、 多くの委員が「企業がコスト増を最終製品に転嫁する動きが広がっている」 と指摘。「企業の価格転嫁の動きを映じて、一次産品価格上昇の影響が川上 から川下段階に一段と広がっている」との認識を示した。また、ある委員は 「生活必需品の価格上昇により消費者のインフレ予想は高まっており、その 影響に注意すべき」との認識を示した。

一方、5月の日本の鉱工業生産指数は、3、4月に2カ月連続で低下した 反動で3カ月ぶりの上昇が見込まれている。輸送機械、情報通信機械、一般機械 などが上昇する見通しだ。しかし、経済産業省による5月の製造工業生産予測指 数の前月比4.7%上昇は実現できないとの見方でエコノミストは一致しており、 生産は4-6月期に2四半期連続の前期比マイナスに陥る可能性が高まるかどう かが焦点となりそうだ。

5月の鉱工業生産、予想は2.7%上昇

経済産業省は27日午前8時50分に5月の鉱工業生産指数(速報)を発表 する。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、鉱工業生産 指数(季節調整済み、2005年=100)の予想中央値は前月比2.7%上昇となって いる。みずほ証券の清水康和シニアマーケットエコノミストは、「実績は予測指 数を大きく下回りそうだ」とした上で、「4-6月期は2期連続の前期比マイナ スの可能性が高まり、景気後退色が強まるだろう」との見方を示す。

政府は6月の月例経済報告で、「景気回復は足踏み状態にあるが、このと ころ一部に弱い動きがみられる」として、基調判断を3カ月ぶりに下方修正した。 米国の景気後退懸念や原油価格の上昇が続く中で、輸出、生産、企業収益の判断 を引き下げた。景気拡大のけん引役である企業部門が鈍化するなかで、日本経済 は1-3月期の高成長の後、4-6月期は急減速するとの見方が多い。

大田弘子経済財政相は、月例経済報告関係閣僚会議後の会見で、景気の先 行きについて、前月と比べ「下振れリスクは高まっている」とし、その理由とし て、「IT(情報技術)関連材が在庫調整入りしている」と指摘。背景として、 米国経済の減速に伴う日本からの輸出鈍化があるとの認識を示した。

米景気とⅠTの動向

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは、「米国 を中心とした海外景気や、前年比で円高傾向が続くなど、輸出企業を中心に製造 業を取り巻く環境が厳しい」と述べた上で、「6月以降も5月同様に前月比での プラスが続くことは考え難いため、輸出産業に依存する日本の景気は7-9月期 に向けて短期の調整局面を引き続き予想する」としている。

一方、生産の持ち直しを示唆する数字もある。4月の製造工業生産能力指 数は前月比0.3%上昇の105.9となり、05年基準で過去最高を付けた。同指数 の上昇は将来の生産拡大を示唆する。また、経産省経済解析室の久武昌人室長は 13日の記者説明で、電子部品・デバイスの在庫調整について「この業界はいつ も細かく在庫調整しながら、巧みに動いている」と説明、現段階は深刻な状況で はないとの見方を示している。

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