米商業不動産市場に暗雲-ドイツ銀など金融機関、巨額投融資が重荷か

米ラスベガスで35億ドル(約3760億円) 規模のコスモポリタン・リゾート・アンド・カジノの建設現場で働く作業員は、 ウォール街からやって来るドイツ銀行の関係者と顔なじみになりつつある。毎 週やってくる同行のバンカーは最近、内装について議論している。現場を案内 する米建設会社ペリーニのバイスプレジデント、トラビス・バートン氏は「ド イツ銀は内装の色や仕上げの変更を検討しているようだ」と話す。

ニューヨークの不動産デベロッパーで同カジノの建設を進めてきたイア ン・ブルース・アイクナー氏が7億6000万ドルの融資でデフォルト(債務不履 行)に陥った1月以後、ドイツ銀は建設を続けるためペリーニに毎月支払う金 額を減らした。ドイツ銀はコスモポリタンについてコメントを控えている。

同行など10余りの投資銀行が、融資を証券化し利益を上げる一方で、5年 間にわたる商業不動産ブームに乗って、建設開発業者や地権者に資金を提供し てきた。だが、信用市場が2007年に凍結状態に陥ったことで、商業不動産ロー ンや関連債券が銀行や証券会社にとって重荷となっている。格付け会社フィッ チ・レーティングスによれば、大手米銀だけでこうした投融資は1690億ドルだ。

米投資信託調査会社モーニングスターの業界アナリスト、ライアン・レン テル氏は「ウォール街の投資銀行は商業不動産に多くの融資や投資をしている。 こういった投融資こそが各行に多くの問題をもたらしている」と語る。

クレディ・スイス

トロピカーナ・リゾート・アンド・カジノの親会社、米トロピカーナ・エ ンターテインメントは5月に破産法適用を申請。破産関連書類によれば、06年 にこのカジノを買収するためクレディ・スイス・グループが用意した13億ドル のシンジケートローン(協調融資)枠で、トロピカーナは今年4月にデフォル トに陥った。クレディ・スイス広報担当、ダンカン・キング氏はコメントを控 えている。

米銀ワコビアの上級エコノミスト、マーク・ビットナー氏は4日付リポー トで、米住宅市場で始まった低迷が商業不動産にも広がっていると指摘。小売 店舗の空室は1-3月期、前年同期に比べ8%増えたという。同氏は、オフィ スや産業用スペースの需要が落ち込み、米商業不動産相場が15-20%下落する と予想する。

RBSグリニッチ・キャピタルの商業不動産金融調査責任者、リサ・ペン ダーガスト氏によれば、商業不動産ローンの債務不履行率は現在0.56%と、01 年の米同時多発テロ後のリセッション(景気後退)やインターネットバブル崩 壊を受けた03年10月の2.5%を大きく下回っている。1990年代前半の7.5% からも程遠い。

だがそれも投資銀行の株主にとって、さほどの安心感にはつながらない。 フィッチによれば、ニューヨークに本社を置く4大証券会社、ゴールドマン・ サックス・グループ、モルガン・スタンレー、メリルリンチ、リーマン・ブラ ザーズ・ホールディングスは昨年末時点で、商用不動産ローン・債券を合わせ て840億ドルを抱えている。07年初め以後、4社はこうした保有資産で少なく とも70億ドルの評価損を計上した。

ドイツ銀の報告書によれば、同行は今年3月末時点で商業不動産ローン・ 証券155億ユーロ(約2兆6000億円)を保有。07年初め以後の関連投資評価 損は7億2800万ユーロに達した。

ドイツ銀は不動産デベロッパー、ハリー・マックロー氏が昨年、米投資会 社ブラックストーン・グループからニューヨークのオフィスビル7棟を買い入 れるため約70億ドルの融資をアレンジしたが、同氏がデフォルトに陥ったこと を受け、それらのビルを今年差し押さえ、売却を進めている。

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