【今週の債券】強含みか、景気減速で1.7%割れ試す―戻り売り警戒も

今週の債券相場は強含み(利回りは低 下)となりそうだ。日米で過度な利上げ観測が後退している一方、指標悪化を 受けて景気後退リスクは強まっており、こうした環境面の改善が円債相場を支 える。新発10年債利回りは約3週間ぶりとなる1.7%割れを試す可能性がある ものの、1.6%台では戻り売りが膨らみそうだ。

10年債利回りの予想レンジは1.65-1.85%

今週の新発10年債利回りについて、20日の夕方までに市場参加者5人に ヒアリングしたところ、全体の予想レンジは1.65%から1.85%となった。前 週に取引された値幅は1.74―1.895%となっており、利回りのレンジが切り下が る見通し。新発10年債利回りが1.7%を割り込むと今月3日以来。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジストは、「これま では世界的なインフレ懸念を材料にして、金利は上昇してきたが、前週は景気 後退が市場のテーマとなり、債券は買われた。しばらく、景気の悪い部分を織 り込むとみられ、金利は上がりにくい」として、底堅い展開を予想する。

前週の債券相場は堅調。新発10年債利回りは週初に1.895%まで上昇し、 昨年7月以来の高い水準をつけたが、その後は水準を切り下げ、週末には

1.74%まで下げた。日米で過度な利上げ観測が後退したほか、指標悪化や世界 的な信用不安の再燃などが債券買いを促した。

今週は、米国で24、25日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC) が最大の注目材料だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置く とみられるが、今後の利上げのタイミングを見極める上で声明内容が焦点とな る。

AIGインベストメンツの横山英士ポートフォリオマネジャーは、「金利 変更はないとみている。ただ、声明文でインフレと景気についてどうバランス を取るかニュアンスを読み取りたい。為替がどう動くのかで、金融政策スタン スも変わる可能性があり、為替の反応も見極めたい」という。

7月にも利上げに踏み切るとみられる欧州中央銀行(ECB)の動向も引 き続き注目だ。三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、「焦点 はECB。今週のFOMCも欧州を意識せざるを得ない。1回の利上げでEC Bのバイアスが落ち着けば買い戻し基調になるが、それまでは不安定な相場が 続く」とみている。

国内の材料では、23日に4-6月期の法人企業景気予測調査が発表される。 来週の企業短期経済観測調査(日銀短観)の方向を探るうえで注目。27日には 5月の完全失業率や鉱工業生産、消費者物価指数(CPI)などが発表される。 一方、26日には中村清次日銀審議委員が出張先の旭川市で講演・会見を行う。

2年債入札、利上げ観測後退で波乱なしか

需給面では、24日の2年利付国債入札が注目だ。最近の国債入札では、最 低と平均落札価格の差である「テール」が拡大するなど低調な結果となること が多い。ただ、悪い結果を受けて、利回りが上昇すれば、投資家から押し目買 いが見込まれている。岡三証券の坂東明継シニアエコノミストは、「日銀の利 上げ観測は後退しているので、2年債入札は問題ない」とみている。

前週末の入札前取引では、7月発行の2年国債複利利回りは0.895%で取 引された。このため、表面利率(クーポン)は前回債と同じ0.9%に据え置か れる見通し。発行額は前回債と同額の1兆7000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

20日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物 は中心限月9月物、新発10年国債利回りは293回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物9月物132円50銭-134円00銭

新発10年債利回り=1.72%-1.85%

「短観の悪化が見込まれるが、CPIがどこまで上昇するか警戒もあり、 2年を買い進むのは慎重。10年も1.7%前半は戻り売りだ。焦点はECB。今 週のFOMCも欧州を意識せざるを得ないだろう。1回の利上げでECBのバ イアスが落ち着けば買い戻し基調になるが、それまでは不安定な相場が続く。 夏場にかけて実体経済の先行き懸念が勝り、レンジを変えてくるとみている」

◎三菱UFJ証券金融市場部・福谷歳之戦略商品課長

先物9月物133円00銭-134円50銭

新発10年債利回り=1.65%-1.80%

「週を通じて、もみ合いの相場展開か。景気のダウンサイドとインフレ懸 念との綱引き状態が続く。月末接近で恒例の年限長期化に向けた買いが期待で きるので需給は良好だろう。海外市場の動きに振らされながら推移するも、市 場はいったん落ち着くだろう。FOMCは利上げなしとみる。2年国債入札は

0.9%クーポンであれば、利回り水準に問題なく、消化に懸念はないだろう」

◎AIGインベストメンツのポートフォリオマネジャー、横山英士氏

先物9月物132円80銭-133円60銭

新発10年債利回り=1.75%-1.80%

「イベント目白押しで動きにくいが、米FOMCが一番の注目材料だ。米 利上げ観測は遠のいた形で、政策金利変更はないとみている。ただ声明文でイ ンフレと景気についてどうバランスを取るかニュアンスを読み取りたい。為替 がどう動くのかで、金融政策スタンスも変わる可能性があり、為替の反応も見 極めたい。2年債入札は、利回り水準的に問題なく、無難な結果だろう」

◎トヨタアセットマネジメント・浜崎優シニアストラテジスト

先物9月物133円00銭-134円50銭

新発10年債利回り=1.67%-1.82%

「底堅い展開。これまで世界的なインフレ懸念を材料にして、金利は上昇 してきたが、前週は景気後退が市場のテーマとなり、債券は買われた。中国が 燃料・電力価格を引き上げると発表。前週末の国内株安は、中国景気の先行き 懸念も下げの一因となったようだ。しばらく、ファンダメンタルズ(経済の基 礎的諸条件)の悪いものを織り込むとみられており、金利は上がりにくい」

◎岡三証券経済調査部・坂東明継シニアエコノミスト

先物9月物133円00銭-134円00銭

新発10年債利回り=1.72%-1.82%

「下値は固まりつつあるものの、不安定さも残る。先週は序盤に崩れて

1.895%をつけたが、その後は1.7%台まで水準を切り下げた。日米の過度な利 上げ観測が後退したことが要因だが、そのわりに中期債が落ち着かない。相場 の日柄調整がもう少し必要ではないか。前年比1.4%上昇の全国コアCPIを はじめ、日米で重要指標も発表される。下値は確認できたが、反発力は鈍い」

--共同取材:池田祐美、宋泰允、船曳三郎 Editor:Norihiko Kosaka,Tetsuzo Ushiroyama

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