鶴岡外務省審議官:排出量取引、本格導入容易でない-産業界反発で

日本外務省の鶴岡公二地球規模課題審議官 はブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、福田康夫首相が表明した 今秋の試行的な排出量取引について、「環境が整えば本格的な実施ということも 視野に入ってくると思うが、現時点ではそのような実施をいつ、あるいは必ず行 うという判断をしているとは思わない」と述べ、産業界の反発が根強いことから、 本格導入は容易ではないとの認識を明らかにした。

鶴岡氏は主要国首脳会議(洞爺湖サミット)の事前協議に携わっている。イ ンタビューは18日に行った。

福田康夫首相が今秋の排出量取引の試行を表明した狙い:

「日本としても、排出量取引をきちんと理解し、よさ、悪さ、問題点などを 理解しつつどう対応するかということを議論から実際に経験してみることが不可 欠だと福田首相が思われたのだと思う」

産業界では排出量取引に消極姿勢だが、本格導入の時期:

「国内には排出量取引の在り方についていろいろな問題点を指摘する方が少 なからずいる。実施するからにはやはり関係の方々が皆さん進んでこれを納得し て実施する環境を整えることが不可欠だ。環境が整えば本格的な実施ということ も視野に入ってくると思うが、現時点ではそのような実施をいつ、あるいは必ず 行うという判断をしているとは思わない」

洞爺湖サミットで「ポスト京都議定書」として、米国、中国、インドなど温室効 果ガスの主な排出国すべてが参加する新たな枠組みを構築することで合意できる のか:

「気候変動問題を解決するには全世界の国々が自らの排出をできる限り少な くしていく努力が不可欠だ。先進国が率先して努力していくことは当然だ。急速 な経済成長を続けている国々、すなわち中国、インドが代表国だと思うが、そう いう国々にも自分の排出について真剣に取り組むという姿勢をぜひ示してほし い」

ことし政権交代がある米国は、新たな枠組みに加わる確証はあるか:

「米国は国連の気候変動枠組み条約に加盟しており、どの政権が引き継ぐに せよ当然、今後継続してその作業に参加すると考えている」

福田首相は洞爺湖サミットの場で、全世界の中期的な温室効果ガス削減目標を追 求する必要はないとの立場を明確にしたが:

「中期目標については国連の交渉の場で議論され、決められるべき課題だ。 それ以外の場で交渉されることは想定されていない。G8や16カ国の会合は、 国連の会合に加盟している国々に比べれば一握りであり、中期目標の数値をめぐ って交渉するということは想定していると思わない。重要なことは長期目標につ いての認識を共有することだ」

洞爺湖サミットの主要テーマ:

「サミットで当然議論されなければならないのは世界経済の問題だ。今、燃 料価格の高騰などが食糧価格高騰につながって、全世界規模的に緊急の課題だと いう認識が強くなっている。日本として、そういう問題について国際社会に対す るG8の決意を呼び掛けるような形での成果を目指したい」

「気候変動問題は地球全体の課題であり、各国がそれぞれ可能な限りの協力 をするという政治的な基本的理解を共有することが一番の基本だ」

サミットで温暖化対策以外のテーマは:

「世界で異常な状況になりつつある(食糧)市場を鎮めて、苦しんでいる最 も脆弱(せいじゃく)な人々が安心できるよう具体的な手立てを出していくとい う議論をまとめていきたい。国連と世銀の作業も加速化されている。そういうこ とも含めて、食糧についての首脳間の合意を明確に発表したい」

サミットの成果文書は、世界経済の状況についてどのように表現するのか:

「基本的には世界経済は健全な状況にあると思う。今後も経済全体を見ると、 成長が続いていくと判断しても、十分それは理由のあることだ。ただその経済の 堅調さを維持していくためには、現在見えてきている問題点について主要な経済 国の間で認識を共有して、協調する形で対策を早めに打っていくことが不可欠 だ」

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