ヤマダ電:新橋駅前に2店舗体制完成-家電量販店の首都圏攻防激化

家電量販店国内最大手のヤマダ電機が20日、 都市型店舗「LABI生活館」を東京・新橋に新たにオープン、首都圏進出を加 速させる。同時に新橋の既存店であるAVデジタル専門店も改装し、北京五輪商 戦開始を目前に控え東京エリアでの商圏拡大を図る。周辺にはビックカメラの旗 艦店である有楽町店もあり、ヤマダ電機を軸とした家電量販店の首都圏攻防は一 段と激化する見通し。

20日に新規オープンしたのは、主に冷蔵庫や洗濯機に加えギフト商品などの 生活家電商品を中心に取り扱う「LABI生活館」。店舗はJR新橋駅の銀座口 に位置する。また、昨年同社子会社となったディスカウント経営のキムラヤセレ クトの本店を改装したAV機器やカメラ中心の品揃えの「デジタル館」も駅の反 対側の日比谷口SL広場前で同日新装オープンした。両店舗で約60万点の品揃え。

現地でのオープニングセレモニーに出席したヤマダ電機の飯塚裕恭副社長は ブルームバーグ・ニュースに対し、「初年度の年商は2館合わせて最低300億円 以上は取りたい」としたうえで、「新橋の地の利を生かしサラリーマンの顧客に 加え、銀座エリアの顧客の流れも取り込みたい」と述べた。さらに「ビックカメ ラやヨドバシカメラなど都市部で先行する店舗などから学びながら成長を目指 す」と語った。

ヤマダ電機は全国展開している規模を背景とした安売りと大型店舗を武器に 地方の商圏を制し、既に47都道府県での出店を達成した。数年前から首都圏にも 攻勢をかけている。量販店同士で奪い合う形となった残りの出店余地をめぐり、 各社は店舗当たりの収益性がより高い首都圏で都市型店舗を増やす傾向にある。

「首都圏のシェアまだ低い」

ヤマダ電機の今回の出店もその一環で、東京都心部の「LABI」店舗は6 店舗目となる。同社の山田寿・経営企画室長は「まだまだ首都圏でのシェアは低 い。今後も駅前を中心に都市型店舗の出店を強化し、顧客の利便性向上に努めた い」とコメントした。ヤマダは、2008年3月期連結売上高が前期比23%増の1兆 7678億円、営業利益が同18%増の654億円と、同2位のエディオンの売上高の2 倍を超え、業界でほぼ一人勝ちの状態。

デジタル機器関連の市場調査会社BCNの田中繁廣チーフアナリストは「ボ ーナス商戦を前倒しする形で大画面薄型テレビとブルーレイディスクに対応した 新世代のレコーダーを中核商品とする北京オリンピック需要が立ち上がり始め た」と明らかにした。田中氏は「需要のピークは7月中旬辺り」としており、今回 リニューアルされたヤマダ電機のAV館も五輪需要を取り込めることになる。

ヤマダ電機は今後、「秋ごろに渋谷に出店、毎年3店舗以上の都市型大型店 舗の開発がひとつのメド」(山田氏)としている。新宿でも店舗候補となる物件 を取得済みで、首都圏で販売力の強い家電量販店のビックカメラやヨドバシカメ ラの店舗近くに大型店を出店する。地方都市の郊外はヤマダ電機を筆頭とした量 販店、カメラ系量販店は都市部と駅前、という従来のすみ分け方式を突き崩し、 業界再編を誘発する動きにつながりそうだ。

「首都圏での需要潤沢」と評価

家電量販店の国内の推定市場規模は約8兆円で、同社が中長期的な目標に掲 げる3兆円を達成するためには、一段の店舗増と収益性の向上に加え、事業の国 際化と多角化の戦略が不可欠。既に、海外事業では、中国でマーケティングを開 始し出店を模索しているほか、国内では新たに中古自動車の買い取り事業への進 出を表明している。

家電量販店業界に詳しいコンサルティング会社フィックの得平司代表(東京 都北区)は新橋生活館について「売場の広さや品揃えは地域では一番だろう。1 階はサラリーマンを取り込むようなフロア構成にしている印象で、時計やブラン ド商品フロアも充実している。家電量販店との競争に加え、デパートとの競争に も発展しそうだ」との見方を示す。さらに得平氏は「地域の顧客をどこまで取り 込めるかに注目。ただ、初年度300億円の達成は固いと考える」と付け加えた。

同社の投資判断を「中立」とするUBS証券の山手剛人アナリストは、「都 市部での需要は潤沢であり首都圏などにLABI店舗で攻勢をかけるヤマダの戦 略は間違いではない」と指摘する。そのうえで、郊外型より店舗当たりの売上高 が高いLABI店舗のウエートが徐々に高まることは「既存店の総収益率にプラ スのインパクトとなる」と語った。

ヤマダ電機の株価終値は前日比140円(1.8%)安の7650円。

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