米シティグループの株価を大きく動かした2人のアナリスト(2)

昨年10月、あるアナリストの一声によっ て、米シティグループの株価は7営業日で計11%下落した。このアナリストは、 シティの経営陣に投資家が不満を抱いていると指摘。当時の会長兼最高経営責 任者(CEO)、チャールズ・プリンス氏が辞任すべきだとし、シティ株の投 資判断を引き下げた。

このアナリストは、ドイツ銀行のマイケル・マヨ氏(45)。シティのリポ ートで一躍ウォール街の花形になったオッペンハイマーのメレディス・ホイッ トニー氏(38)ではない。

ホイットニー氏は昨年10月31日、シティ株を「ニュートラル」から「ア ンダーパフォーム」に引き下げた。調査リポートで、07年7-9月(第3四半 期)のシティの配当が利益を上回るという計算を行った上での投資判断引き下 げだった。同氏はまた、シティが300億ドル(約3兆2400億円)の増資を行 う必要があるとも指摘していた。

早さはマヨ氏、影響度はホイットニー氏

マヨ氏はホイットニー氏よりも2週間以上前に、シティ株の投資判断を 「バイ(買い)」から「セル(売り)」に引き下げていた。

昨年10月11日夜、マヨ氏が「ニューヨークニックス」のバスケットボー ルの試合を観戦しているとき、携帯電話が鳴った。同僚が、シティに何か変化 があったと知らせてきたのだ。プリンス前CEOは発表資料で、ほぼ60億ド ルの損失と資産評価損を受けて、トレーディング責任者、トーマス・マヘラス 氏が退社し、当時オルタナティブ投資の責任者だったビクラム・パンディット 氏を新設の法人顧客グループの責任者に昇格させることを明らかにした。

ジョージワシントン大学でMBA(経営学修士号)を取得したマヨ氏は、 プリンス前CEOをかなり以前から批判していた。翌日、同氏はシティの投資 判断引き下げを伝えるリポートを発表した。「われわれは会長を交代させる必 要があると感じている」と伝えた。

両氏のリポートを比べると、ホイットニー氏の昨年10月31日の投資判断 変更の方が格段に有名だ。インパクトが強かったためで、マヨ氏のリポートの 発表翌日のシティ株下落率が3.4%だったのに対し、ホイットニー氏発表の翌 日には8.1%下落した。これは02年9月以来の大幅安で、プリンス前CEOは 4日後に辞任した。

シティは08年1月、ホイットニー氏が指摘したように、減配を実施する。 プリンス氏の後任となったパンディット氏は、440億ドルの増資にも踏み切っ た。

ホイットニー氏もマヨ氏も、お互いの仕事にはコメントしない。両氏とも、 シティの経営を批判し続けている。ブラウン大学で歴史を学び、16年前にウォ ール街で仕事を始めたホイットニー氏は、パンディット現CEOがシティの無 数の病気を治療できる望みはほとんどないとみている。

ホイットニー氏はそれ以降、テレビの経済番組に数多く出演し、彼女のコ メントは報道機関によって何度も引用されている。「これほど注目されてうれ しい。どんなプレッシャーも、私にはとても楽しい」と語る。

一方のマヨ氏だが、市場の大勢に逆行する大胆な投資判断を示したのはシ ティのケースが初めてではない。ハイテク株が熱狂的な人気を得ていた1999 年春、クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB、当時)のアナリ ストだった同氏は、あらゆる銀行株を「セル」とした。買収・合併ブームが下 火になり、問題のあるローンが増えていることに気付いたためだ。銀行株はそ の後半年間、劇的なほどに下落した。だが、マヨ氏は2000年9月にCSFB を解雇される。これについて、クレディ・スイスはコメントを控えている。

マヨ氏はその後、プルデンシャル・エクィティ・グループで6年間勤務し た後、07年にドイツ銀行に移った。

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