丸紅:排出権取引量を2012年までに1億トンへ-国内需要の増加で

丸紅は温室効果ガスの排出権取引量を2012年までに 累計1億トンとし、4割強増やすことを目指している。同社は2005年以降、約7000万 トンの排出権を取引しており、京都議定書の削減目標達成に向けて今後さらに盛り上が るとみられる国内需要の取り込みを狙う。同社の林豊ビジネス開発部担当部長が19日、 ブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。

同社はすでに、ロシア国営天然ガス企業ガスプロムや日興シティグループ証券など 10社との間でデリバティブ取引の国際基準に沿った基本契約を締結。今後さらに5社と の間で契約を締結する予定。排出権取引で主流となっている国際スワップデリバティブ 協会(ISDA)が定めた基準にのっとった契約を多くの取引先と結ぶことで、リスク を軽減し安定的な排出権の調達が可能になる。

林氏によると、丸紅は取引システムの構築で先行している欧州市場で排出権を調達 し、国内の電力会社を中心に販売する方針。国内商社の多くが事業に直接投資し、国連 からの認証を得て排出権を獲得する「プライマリー市場」と呼ばれる一次市場を中心に 事業を展開している。一方、丸紅は他の企業が取得した排出権を取引する「セカンダリ ー市場」にも軸足を置く。

林氏はすでに、1日当たりの取引量が1000万トンを超える欧州の排出権市場につい て、取引価格が「欧州のファンダメンタルズ(需給要因)に影響を受け過ぎる傾向があ る」と指摘する。丸紅はセカンダリー市場に積極的に参加することで、欧州勢が握る価 格決定力を一部でも奪取したい考えだ。

京都議定書で日本は、2012年までに温暖化ガスの排出量を1990年比で6%削減する 目標が課せられている。しかし、06年度の排出量実績は90年度比で6.2%増加。政府は 10年度の排出量が最大で90年度比2.1%増加すると試算しており、排出削減や排出量取 引規模の拡大など対策の強化が急務となっている。

政府が08年度の排出権購入分として計上した予算は800億円。07年度の410億円、 06年度の122億円と比べ急激な伸びを示している。政府は12年までに合計1億トンの排 出権購入を計画しており、このうち2300万トンの排出権をすでに購入している。

世界銀行の資料によると、日本の12年までの排出権需要は4億5000万トン。19億 4000万トンの需要が予想されている欧州と比べて市場規模は小さいが、世銀の資料では、 日本で2億トン程度の追加需要が発生することが予測されている。福田康夫首相は9日 に公表した地球温暖化対策「福田ビジョン」のなかで、日本単独の温室効果ガス排出量 を50年までに現状から60-80%削減するとの目標を新たに打ち出しており、排出削減と 並行して排出権取引が活発化する可能性が強い。

丸紅の午前の株価終値は前日比32円(3.9%)安の914円。

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