ウォール街に吹き荒れる人員・給与削減の嵐-笑うのはヘッジファンド

シタデル・インベストメント・グループやチ ューダー・インベストメントを含むヘッジファンド少なくとも22社がウォール 街に吹き荒れる人員と給与削減の嵐のなか、金融機関からトップの運用担当者ら を受け入れ、事業拡大を進めている。

ブルームバーグ・ニュースが集めた企業リリースによれば、今年これまでに トレーダーやバンカー、アナリストや幹部計45人以上が大手の投資銀行を去り、 ヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社に入った。 この人数には自ら退社して会社を設立した人々は含まれていない。

より高い給与の約束を受けたこうした人員移動はここ5年にわたって起き ているが、人材あっせん会社によれば、そのペースは加速している。今年に入っ て最も有名なのは、米銀JPモルガン・チェースの世界証券化商品部門の共同責 任者だったビル・キング氏のシタデル移籍。また、米証券会社ベアー・スターン ズでディストレスト債チームを組んでいた5人はチューダーに移る。

人材あっせん会社ダイナミクス・アソシエーツのマネジングディレクター、 キース・マン氏は「投資銀行は常にヘッジファンドよりも安全と考えられてきた が、その安全性はもはやない」と語る。

世界的な信用危機でベアー・スターンズは救済されて独立性を失い、主要金 融機関の関連評価損と貸倒損失が昨年初め以来で3960億ドルに及んだ現在、投 資銀行はリスクを減らし、レバレッジを解消、資産を売却している。世界の主要 銀行および証券会社は昨年7月以来、8万3000人超を削減。米銀シティグルー プや、JPモルガン・チェースが買収したベアー・スターンズで特に目立つ。

今年の給与は20%減も

シカゴのザ・スマート・キューブが3日発表した人材あっせん会社調査によ れば、ウォール街の金融機関に残っている従業員の賃金は今年最大20%減少す る可能性がある。収益低下のためだ。昨年の給与が平均25万ドル(約2690万 円)だったマネジングディレクターらも、特に株式で受け取っているボーナスが 株価下落で価値が下がっている。こうした傾向を背景に人材流出が続けば、投資 銀行業務とトレーディングが回復した時に、ウォール街は人材不足に見舞われる かもしれない。

金融サービス業界を専門に人材あっせんするヒグドン・パートナーズのマネ ジングパートナー、ヘンリー・ヒグドン氏は「今のところ投資銀行は人材流出に 苦しんでいないが、4-5年が過ぎれば人材不足となり、困るだろう」と語る。

サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の崩壊やそれに伴う 信用逼迫(ひっぱく)で閉鎖に追い込まれたヘッジファンドもあるが、業界は依 然として拡大している。ヘッジファンド・リサーチによれば、今年1-3月期に 同業界に流入した資金は165億ドル。

業界のなかでウォール街の人材流出から最も大きい恩恵を受けたヘッジフ ァンドのひとつがシタデルで、同社は今年これまでにウォール街の金融機関から 5人の幹部を採用した。うち3人がキング氏を含めてJPモルガン出身だ。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE