東京外為:ドルが軟調、早期利上げ期待後退で売り優勢-1週間ぶり安値

東京外国為替市場では、ドルが軟調。信用 収縮の長期化や原油高で米景気の一段の悪化が懸念され、米国の早期利上げ観 測が後退するなか、ドル売りが優勢で、ドルは対ユーロや対円で約1週間ぶり 安値をつけた。

ドルは対ユーロで一時、1ユーロ=1.5587ドル(ブルームバーグ・データ 参照、以下同じ)と、今月11日以来の安値まで下落。ユーロ圏では7月の利上 げが有力視されており、欧米の金利差拡大の可能性が意識された。

ドル・円も一時、同12日以来の安値水準となる1ドル=107円43銭までド ル売りが進行。また、ドルは対オーストラリア・ドルでも1週間ぶり安値をつ けた。

三井住友銀行市場営業部の高木晴久グループ長は、バーナンキ米連邦準備 制度理事会(FRB)議長のインフレ懸念発言を受けて、米金利が急上昇して いたが、今週に入り米国の利上げに対する見方が変化し、米国のドル安けん制 についてもどこまでドルをサポートできるのか懐疑的な見方があり、「少し揺 り戻しが入って、ドルが弱含んでいる」と説明。「為替主体では動きにくいマ ーケットが続いており、どうしても米金利に影響を受けやすい状況」と語る。

ドル主導の展開のなか、ユーロ・円は小動き。前日には欧州当局者のタカ 派発言を手掛かりに一時、1ユーロ=168円04銭と約11カ月ぶりのユーロ高値 をつける場面もみられたが、168円台の滞空時間は短かく、きょうの東京市場で は167円台半ばから後半でもみ合う展開が続いた。

一方、スイス・フランは対円で1991年2月以来の高値まで上昇。スイス国 立銀行(SNB)の金融政策決定会合を控え、利上げの可能性が意識され、 対ドルでは1週間ぶり高値をつけた。

米利上げ観測が後退

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、8月の米連邦 公開市場委員会(FOMC)で少なくとも0.25ポイントの利上げが実施される 確率は約42%と、1週間前の51%から低下。バーナンキFRB議長ら米金融当 局のインフレ懸念発言を受け、市場では年内3回程度の利上げの織り込みが進 んでいたが、今週に入り米国は早期利上げを計画していないとの報道が相次い だこともあり、過度の利上げ期待は後退しつつある。

また、18日には証券大手モルガン・スタンレーや小荷物輸送フェデックス の決算が不調だったことから、銀行の損失が拡大し、原油高が景気の足をさら に引っ張るとの懸念が強まり、米株式相場が続落。市場では「米証券会社の決 算が厳しい状況に変わりなく、そんな中で積極的には利上げのムードにはなり づらくなっている」(UBS銀行東京支店外国為替部FXアドバイザー・牟田 誠一朗ディレクター)との声が聞かれる。

こうしたなか、この日は米国で6月のフィラデルフィア連銀の製造業景況 指数や5月の景気先行指数などの経済指標の発表が予定されている。フィラデ ルフィア連銀指数についてはマイナス10と前月(マイナス15.6)から改善が見 込まれているが、予想外の悪化となった場合には、利上げ観測がさらに後退し、 米金利が低下、ドルが売られる展開も予想される。

また、この日はポールソン米財務長官の講演も予定されており、「強いド ル」支持の姿勢を改めて示すかどうかが注目される。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市場調査の 尾河真樹シニアマーケットアナリストは、「米国の利上げに対する期待が急速 に強まりすぎた感じで、ふたを開けてみればそれほどすぐに利上げはしにくい ということで、ドルの上値が重くなっている」と指摘。ただ、「米国がインフ レ警戒的であることは確かだし、米当局者がはっきりとドル安に警戒感を示し ているので、ドルが以前のように急落するリスクはかなり低くなっている」と いう。

欧米金利差と独長短金利スプレッド

一方、欧州中央銀行(ECB)からはトリシェ総裁をはじめ、7月の利上 げを示唆する発言が相次いでいる。シュタルクECB理事は18日までに、イン フレリスクの高まりにより、ECBは「警戒を高めた状態になる」と表明。イ ンフレ期待を押さえ込むために、「必要なあらゆる措置を取る」と述べている。

住友信託銀行マーケット資金事業部門の松本三郎チーム長は、「欧州では 7月の利上げも示唆されており、金利差拡大でユーロ買いの連想になる」とし た上で、ドイツの長短金利のスプレッドが逆イールドになっていることは、「先 行き、独景気の軟化を示唆している」と指摘。「中期的にはユーロが軟化する 可能性がある」とみている。

--共同取材:曽宮一恵 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya

+81-3-3201-2371 hkomiya1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Sandy Hendry

+852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE