東京外為:ドル軟調、利上げ期待後退で上値重い-対ユーロ1.55ドル後半

午前の東京外国為替市場では、ドルが軟調 に推移した。信用収縮の長期化や原油高で米景気の一段の悪化が懸念され、米 国の早期利上げ観測が後退するなか、7月の利上げが有力視されるユーロとの 金利差拡大の可能性が意識されやすく、ドルは対ユーロで約1週間ぶり安値を つける場面もみられた。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市場調査の 尾河真樹シニアマーケットアナリストは、「米国の利上げに対する期待が急速 に強まりすぎた感じで、ふたを開けてみればそれほどすぐに利上げはしにくい ということで、ドルの上値が重くなっている」と語る。ただ、「米国がインフ レ警戒的であることは確かだし、米当局者がはっきりとドル安に警戒感を示し ているので、ドルが以前のように急落するリスクはかなり低くなっている」と 指摘する。

ユーロ・ドルは一時、1ユーロ=1.5579ドル(ブルームバーグ・データ参 照、以下同じ)と11日以来の水準までドルが下落。ドル・円も一時、1ドル= 107円59銭までドルが売られた。

また、ドルはスイス・フランに対しても1週間ぶり安値まで下落。スイス 国立銀行(SNB)の金融政策決定会合を控え、利上げの可能性が意識されて いる。

一方、ユーロ・円は1ユーロ=167円台半ばから後半でもみ合い。前日には 欧州当局者のタカ派発言を手掛かりに一時、168円04銭と約11カ月ぶり高値を つける場面もみられたが、168円台の滞空時間は短かった。

米利上げ観測が後退

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、6月25日の米 連邦公開市場委員会(FOMC)でFF金利誘導目標が2%で据え置かれる確 率は86%となっている。また、8月のFOMCで少なくとも0.25ポイントの利 上げが実施される確率は約42%で、1週間前の51%から低下している。

18日には証券大手モルガン・スタンレーや小荷物輸送フェデックスの決算 が不調だったことから、銀行の損失が拡大し、原油高が景気の足をさらに引っ 張るとの懸念が強まり、米株式相場が続落。市場では「米証券会社の決算が厳 しい状況に変わりなく、そんな中で積極的には利上げのムードにはなりづらく なっている」(UBS銀行東京支店外国為替部FXアドバイザー・牟田誠一朗 ディレクター)との声が聞かれる。

こうしたなか、この日は米国では6月のフィラデルフィア連銀の製造業景 況指数や5月の景気先行指数などの経済指標が発表される。フィラデルフィア 連銀指数についてはマイナス10と前月(マイナス15.6)から改善が見込まれて いるが、予想外の悪化となった場合には、「一時的にドル売りにつながる可能 性もある」(シティバンク銀・尾河氏)。

また、この日はポールソン米財務長官やマコーミック米財務次官(国際金 融担当)の講演が予定されている。このところ、ポールソン長官はドル安をけ ん制する発言を繰り返しており、きょうの講演でも「強いドル」を支持する姿 勢をあらためて示す可能性がある。

欧米金利差と独長短金利スプレッド

一方、欧州中央銀行(ECB)からはトリシェ総裁をはじめ、7月の利上 げを示唆する発言が相次いでいる。シュタルクECB理事は18日までに、イン フレリスクの高まりにより、ECBは「警戒を高めた状態になる」と表明。イ ンフレ期待を押さえ込むために、「必要なあらゆる措置を取る」と述べている。

住友信託銀行マーケット資金事業部門の松本三郎チーム長は、「欧州では 7月の利上げも示唆されており、金利差拡大でユーロ買いに連想になる」と指 摘。ただ、ドイツの長短金利のスプレッドが逆イールドになっていることは、 「先行き、独景気の軟化を示唆している」といい、「中期的にはユーロが軟化 す可能性がある」とみている。

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