東京外為:ドル小動き、米利上げ観測後退-ドル安けん制に警戒感

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=107円台後半を中心に小幅な値動きにとどまった。原材料高を背景に インフレ圧力が強まっているものの、米経済指標の悪化を受けて、利上げは困 難との見方がドルの重しとなった。ただ、米国がドル安けん制姿勢を強めてい ることから、ドル売りには警戒感もあり下値は限定された。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネジャーは、米指標 が悪化するなど大きなドル買い材料がないなか、108円台で買い進めるのは難し く、足踏み状態から少しドル買い持ち高の調整に向かう可能性もあると指摘。 ただ、「米国のドル安けん制姿勢が根っこにあるうえ、円に目を向けると日本 の景気減速も指摘され始め、急激に円高が進む展開も見込みにくい」として、 目先はドル・円相場が上下に動きづらい状況を説明している。

米利上げ観測後退

前日に発表された米経済指標は、5月の鉱工業生産指数が前月比で0.2%の 低下と、2カ月連続でマイナスとなった。さらに、同月の住宅着工件数は前月 比3.3%減の97万5000戸と、過去17年間で最低水準に落ち込んだ。指標の悪 化を背景に利上げ観測が後退している。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の久保信明バイスプレジデン トは、米国の失業率が上昇し労働市場がひっ迫しているわけではないという観 点からすれば、インフレ加速に強い懸念を持つ必要もないと指摘。そのうえで、 「おとといぐらいまでは8月の利上げを9割方見ていたと思うが、低調な推移 を続ける景気をみると、8月の利上げの正当性は高々とうたいにくい」とみて いる。

ドル・円相場は前日の海外市場で一時108円39銭(ブルームバーグ・デー タ参照、以下同じ)までドルが上昇したあとじり安に展開。この日の東京市場 では107円88銭まで水準を切り下げている。しかし、ドル売りの勢いも鈍く、 その後は108円01銭まで値を戻し、午前の値幅はわずか13銭にとどまった。

トウキョウフォレックスの岡安盛男チーフFXアナリストは、ドル・円相 場は108円台半ばを試す動きもみられたが、結局は跳ね返されており、ドルの 上値の重さが意識されやすいとしながらも、「ドル安阻止に向けて介入の可能 性も示唆されている状況下では、恐怖感からドルを売り込むエネルギーもない」 とみている。

米スタグフレーション懸念くすぶる

一方、5月の米生産者物価指数(PPI)全完成品は前月比1.4%上昇と、 昨年11月以来で最大の伸びとなり、スタグフレーション(景気低迷下の物価上 昇)が意識されやすい面もある。

そうしたなか、米ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらが、 17日付のリポートで、米銀は必要な増資の3分の2を終えただけだとの見方を 示し、金融機関のこれまでの増資は「損失を埋めただけだ」と指摘。貸倒損失 や資産評価損が2009年1-3月(第1四半期)まで続くため、今後さらに650 億ドル(約7兆340億円)の増資が必要となる可能性があるとの予想を示した。

米金融機関の業績不安がくすぶるなかで、この日はモルガン・スタンレー の決算発表を控えている。

独ZEWも弱含み

半面、ユーロ圏でも、ドイツの欧州経済研究所センター(ZEW)が17日 に発表した6月のドイツ景況感指数(期待指数)がマイナス52.4と、1992年 12月以来、15年半ぶりの低水準に落ち込んでいる。

また、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ルクセンブルク中 央銀行のメルシュ総裁は同日、ルクセンブルクでの記者会見で、ECBは7月 に利上げを実施する可能性があるが、「これは利上げサイクルを示唆するもの ではない」と指摘。ECBの利上げ継続観測も出にくいことから、ユーロ買い も盛り上がりに欠ける可能性が残る。

ユーロ・ドル相場は前日の取引で一時1ユーロ=1.5552ドルと、12日以来 の水準までユーロが上昇したあと、1.54ドル台後半まで軟化。この日の東京時 間は1.55ドル台前半を中心に取引されている。

一方、ユーロ・円相場は前日に1ユーロ=167円84銭と、昨年7月23日以 来のユーロ高値を更新したあと、167円07銭まで下落。この日の午前は167円 台前半で推移した。

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