牛乳大使に任命の作家・立松和平氏:飼料国産化が必要-酪農王国復活で

世界的な食糧価格の高騰が懸念されるな か、酪農など農業政策に精通する作家の立松和平氏はこのほど、都内でブルー ムバーグ・ニュースの取材に応じ、かつて酪農王国と呼ばれた日本がその復活 を遂げるために「飼料の国産化が必要だ」と主張した。一方、中国製ギョーザ 事件の影響で、食の安全が声高に叫ばれる現況について「国内農業再興の好機 でもある」との見解を示した。

童話『酪農家族』など酪農を子ども向けに解説した著作が数多くある立松 氏。ことし6月に乳業団体6団体から「牛乳大使」に任命された。国内酪農業 は目下、穀物価格の高騰による飼料価格の上昇で危機的状況にある。酪農はか つて自給率90%と日本農業の虎の子とさえ言われたが、いまは6割前後まで落 ち込んでいる。こうした厳しい状況を打破するため、立松氏は「飼料の国産化、 飼料米の生産拡大が不可欠だ」と強調する。

現在、日本の食料自給率は39%で、先進国のなかで最低水準にある。打開 策について、立松氏は「食生活の変化に合わせたものを作ればいい」と提唱。 一例を挙げ、「静岡県磐田市ではコメからチンゲンサイに転作し一大産地とな った」としている。また、未曾有の小麦価格高騰で、原料調達コストがうどん やラーメン店の経営を圧迫していることに対し、同氏は「讃岐うどんも原料の 小麦は大部分が豪州産。名物と呼ぶのであれば、少なくとも地元の農産物を使 って消費するのが理想ではないか」と語った。

一方、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件に触れ、「意外な効果があっ た」と振り返った。立松氏は「この事件のおかげで、国産品への関心が今ほど 高まったことはない。国産品は高価だが、食の安全を得るのも必要コストのう ちという理解が広まるのを期待する」と締め括った。

* 立松和平氏の主な経歴

1947年栃木県生まれ。71年早大政経卒、宇都宮市役所などを経て79年か ら文筆活動に専念。80年『遠雷』で野間文芸新人賞、2007年『道元禅師』で 第35回泉鏡花文学賞を受賞。

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