東京外為:ドル軟調、米利上げに懐疑論-ユーロは対円で11カ月ぶり高値

東京外国為替市場ではドルが軟調。対ユー ロでは1ユーロ=1.55ドル台前半と3営業日ぶりの安値まで下落し、対円では 1ドル=108円を割り込んだ。米国の利上げについて懐疑的な見方が浮上したた め、ドルに売り圧力がかかった。

一方、ユーロ圏のインフレ率が16年ぶりの高い伸びとなり、欧州中央銀行 (ECB)の利上げ期待が強まるなか、ユーロは堅調な展開が続き、対円では 約11カ月ぶり高値をつけた。

三井住友銀行市場営業統括部の山下えつ子チーフ・エコノミストは、「先 週来、米国の利上げ期待がかなり膨らみ、金利が大幅に上昇し、そのなかでド ルも大幅高となっていたが、その動きも一服し、調整的にドルが売られてきて いる」と説明する。その上で、「欧州についてはECB(欧州中央銀行)が7 月にも利上げとはっきりと言っているので、来月利上げがあるとみているが、 米国は、6月は見送りで、少なくとも秋口までは様子見が続くとみている」と 語る。

米利上げ懐疑論

米コラムニストのロバート・ノバック氏は16日までに、バーナンキ米連邦 準備制度理事会(FRB)議長は、原油高騰がインフレを加速させるリスクよ りも、成長鈍化につながるリスクに対して強い懸念を持っていると指摘。同氏 のコラムで、バーナンキ議長に「近い」情報源の話を基に、議長に政策金利「引 き上げの計画はない」と明言した。

また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、オンライン版)は 17日、連邦準備制度理事会(FRB)が6月24-25日の連邦公開市場委員会(F OMC)で政策金利を据え置くことがほぼ確実だと報じ、金融当局はインフレ 見通しが著しく悪化しない限り、今秋以前の利上げが不可欠とは考えていない ようだとも伝えた。

ニューヨーク原油先物相場は16日に一時、1バレル当たり139.89ドルま で上昇し、最高値を更新。先週末開催された主要国首脳会議(洞爺湖サミット) いう財務相会合では、商品価格の高騰が企業や消費者のコストを上昇させ、同 時に景気拡大にも難題をもたらしているとの認識が示された。

一方、金利先物相場動向によると、市場は年内に計75ベーシスポイント(b p、1bp=0.01ポイント)から100bpの利上げを予想している。今月のF OMCについても、据え置き予想が大勢を占めているが、25bpの利上げの確 率も3割弱となっている。

米国の利上げ期待は行き過ぎとの見方が浮上したことで、この日の東京市 場ではドルが売られ、対円では一時、1ドル=107円75銭(ブルームバーグ・ データ参照、以下同じ)までドルが下落。前日には108円58銭と4カ月ぶりの ドル高値をつけていた。

ドルは対ユーロでも1ユーロ=1.55ドル台へ下落。1.5552ドルの安値をつ けた。

三井住友銀の山下氏は、ドル・円について、「ドルに調整売りが入ってい るため、108円50銭以上のドル高は難しいが、米国の利上げ観測がまったく消 えてしまうということではないので、107円より下にドルが売られていくのも難 しい」と指摘する。一方、「ユーロが先んじて利上げということになると、ユ ーロは対ドルで1回上がっていく」といい、ユーロ・ドルは前回高値の1ユー ロ=1.58ドルを目指す展開になると予想している。

米国の金利見通しに不透明感がただようなか、この日は米国で生産者物価 指数(PPI)、住宅着工件数、および鉱工業生産指数の発表が予定されてお り、米長期金利動向や利上げ期待にどのように影響するかが注目される。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉FXストラテジスト は、「年内3回の利上げを織り込んでいるので、普通であれば弱い指標が出た 場合、利上げ期待は後退する可能性が高い」と語る。ただ、「足元の利上げ期 待は指標が強くて高まってきたわけではなく、市場が米金融当局のスタンスの 変化に対して認識を強めたところを反映しているので、指標が弱くても長期金 利や利上げ期待に対する影響が限定的になる可能性もある」と指摘する。

また、ゴールドマン・サックスの決算発表も予定されており、内容次第で はドルの波乱要因となる可能性もありそうだ。

ユーロ、対円で11カ月ぶり高値

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が16日に発表した5月のユー ロ圏消費者物価指数(改定値)は、前年同月比3.7%上昇と、5月30日に発表 された速報値(3.6%上昇)から上方修正され、1992年6月以来の高水準となっ た。

トリシェECB総裁は今月、早ければ7月にも利上げを実施する可能性を 示唆しており、目先は日米との金利差拡大は拡大する可能性が高い。

こうしたなか、この日の東京市場ではユーロが対円で一時、1ユーロ=167 円84銭まで上昇、07年7月23日以来の高値を記録した。

金利見通し主導の展開

一方、ユーロ圏ではこの日、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が 6月のドイツ景況感指数を発表する。景況感の一段の悪化が示されれば、ユー ロの上値を抑える要因となる可能性もあるが、同指標は振れが大きいため、「よ ほど予想から外れない限り、ユーロへの影響は限定的になりそうだ」(棚瀬氏)。

そのほか、欧州では5月の英消費者物価指数(CPI)も発表される。エ コノミスト予想では前年同月比3.2%上昇が見込まれているが、3.1%を上回る と、イングランド銀行のキング総裁はダーリング財務相に書簡を送り、どのよ うに2%の政府目標にインフレを抑制するかを説明する義務が発生する。

一方、オーストラリア準備銀行(RBA)は17日公表した今月3日の政策 決定会合の議事録で、今年これまでの利上げで12年ぶり高水準となっている政 策金利が、91年以降で最も高いインフレ率を押し上げる主要な要因となってい る需要を鈍化させるのに十分な可能性があるとの見解を示した。

議事録発表後、オーストラリア・ドルは下落し、対円では昨年11月以来の 高値となる1豪ドル=102円台から反落している。

JPモルガン・チェース銀の棚瀬氏は、「来週はFOMCがあるし、EC Bに関しても7月に利上げして、さらにもう一回あるのかどうかが大きなポイ ントになってくる」とし、「向こう数週間は金利見通し主導の展開が続く」と みている。

--共同取材:曽宮一恵 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Hidenori Yamanaka

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