東京外為:ドルが軟調、米利上げ織り込みに懐疑的見方-ユーロ堅調

午前の東京外国為替市場ではドルが軟調。 対ユーロでは1ユーロ=1.55ドル台前半と3営業日ぶりの安値まで下落し、対 円でも1ドル=108円ちょうどを割り込んだ。米国の金融政策について、市場の 利上げ織り込みは行き過ぎとの見方が浮上したことが背景。

一方、ユーロ圏のインフレ率が16年ぶりの高い伸びとなり、欧州中央銀行 (ECB)の利上げ期待が強まるなか、ユーロは堅調な展開が続き、対円では 約11カ月ぶり高値をつける場面もみられた。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉FXストラテジスト は、「きのうはドルが弱くて欧州通貨が強いという動きだったが、米国は利上 げを計画していないなどの記事が材料視され、欧州通貨に対してのドル安の流 れが続いている」と指摘。対ドルでの円の上昇幅がユーロよりも小さいため、 結果的にユーロ・円が上がっていると説明する。

米国の利上げ

米コラムニストのロバート・ノバック氏は16日までに、バーナンキ米連邦 準備制度理事会(FRB)議長は、原油高騰がインフレを加速させるリスクよ りも、成長鈍化につながるリスクに対して強い懸念を持っていると指摘した。 ノバック氏は同氏のコラムで、バーナンキ議長に「近い」情報源の話を基に、 議長に政策金利「引き上げの計画はない」と明言した。

ニューヨーク原油先物相場は16日に一時、1バレル当たり139.89ドルま で上昇し、最高値を更新。先週末開催された主要国首脳会議(洞爺湖サミット) 財務相会合では、商品価格の高騰が企業や消費者のコストを上昇させ、同時に 景気拡大にも難題をもたらしているとの認識が示された。

一方、金利先物相場動向によると、市場は年内に計75ベーシスポイント(b p、1bp=0.01ポイント)から100bpの利上げを予想している。今月25日 の米連邦公開市場委員会(FOMC)についても、据え置き予想が大勢を占め ているが、25bpの利上げの確率も3割弱となっている。

市場の米利上げ予想は行き過ぎとの見方が浮上するなか、この日は米国で 生産者物価指数(PPI)、住宅着工件数、および鉱工業生産指数の発表が予 定されており、米長期金利動向や利上げ期待にどのような影響を与えるかが注 目される。

また、ゴールドマン・サックスの決算発表も予定されており、内容次第で はドルの波乱要因となる可能性もありそうだ。

金利見通し主導の展開

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が16日に発表した5月のユー ロ圏消費者物価指数(改定値)は、前年同月比3.7%上昇と、5月30日に発表 された速報値(3.6%上昇)から上方修正された。食品・エネルギーコストの急 増を背景に、インフレ率は1992年6月以来の高水準に達した。

トリシェECB総裁は今月、早ければ7月にも利上げを実施する可能性を 示唆しており、目先は日米との金利差拡大は拡大する可能性が高い。

この日の東京市場ではユーロが対円で一時、1ユーロ=167円84銭(ブル ームバーグ・データ参照、以下同じ)まで上昇し、07年7月23日以来の高値を 記録。対ドルでも1ユーロ=1.5541ドルまでユーロが買われている。

こうしたなか、ユーロ圏ではドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が 6月のドイツ景況感指数を発表する予定。景況感の一段の悪化が示されれば、 ユーロの上値を抑える要因となる可能性もあるが、同指標は振れが大きいため、 「よほど予想から外れない限り、ユーロへの影響は限定的になりそうだ」(棚 瀬氏)。

そのほか、欧州では5月の英消費者物価指数(CPI)も発表される。エ コノミスト予想では前年同月比3.2%上昇が見込まれているが、3.1%を上回る と、イングランド銀行のキング総裁はダーリング財務相に書簡を送り、どのよ うに2%の政府目標にインフレを抑制するかを説明する義務が発生する。

一方、オーストラリア準備銀行(RBA)は17日公表した今月3日の政策 決定会合の議事録で、今年これまでの利上げで12年ぶり高水準となっている政 策金利が、91年以降で最も高いインフレ率を押し上げる主要な要因となってい る需要を鈍化させるのに十分な可能性があるとの見解を示した。

議事録発表後、オーストラリア・ドルは下落し、対円では昨年11月以来の 高値から反落している。

棚瀬氏は、「来週はFOMCがあるし、ECBに関しても7月に利上げし て、さらにもう一回あるのかどうかが大きなポイントになってくる」と指摘。 「向こう数週間は金利見通し主導の展開が続く」とみている。

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