劇場・ライブ型の無差別殺人、「アキバ」ブランドに大打撃-地元区議

東京・秋葉原の歩行者天国で17人が死傷 する通り魔事件が発生してから1週間あまりが過ぎた。地元の千代田区議会議 員で、フリーペーパー発行などを通じて秋葉原地域の世話役を務める小林たか や氏に16日、事件の影響などについて聞いた。

小林氏は、秋葉原には戦後のラジオ販売を起点として消費市場の変化に対 応してきた電気街や、05年秋に開店した大手量販店ヨドバシカメラの巨大店舗 などが並存し、独特の「ブランド」が形成されていると指摘。そうした魅力を 逆手に取った形で「劇場・ライブ型」の無差別殺人が起きたことは大きな打撃 だと語った。発言要旨は以下の通り。

秋葉原の現状:

「成長している既存の電気街、交通の要衝ゆえにオフィスが集まる駅前再 開発地区、全く新しい事業モデルを持ち込んだヨドバシカメラ-の三層構造。 電気街が強いのは中古品やジャンク品の市場がしっかりしているため。中古市 場が整備されて層が厚い自動車業界に似ている」

「電気街の商魂はたくましい。メイドカフェや『おでん缶』などのヒット により、世代を問わず遊び感覚で来られるようになり集客力も増した。リサー チ会社ヤフーバリューインサイトの統計を『アキバ経済新聞』が引用したとこ ろでは、東京の商業地区のうち、訪問客1人当たりが落とす平均額は秋葉原が 7935円と、2位の有楽町・銀座を引き離している」

「そういう構造で確立された『アキバ』ブランドに、今回の事件で傷がつ いてしまった。ダメージは大きい。海外メディアの多くが日本の安全神話崩壊 を伝えたが、その発信地としてアキバが強調されたのは大きなショックだ」

通り魔事件について:

「完全な劇場・ライブ型。周到なシミュレーションをして仮想空間の感覚 でやってしまった。しかも、居合わせた人々が犯行のほぼ一部始終を携帯電話 などのカメラで撮影し、一部はインターネットで配信した。だから報道のスピ ードも速かった。他の地域で殺人事件をライブする人はいないのでは」

「3月には日曜・祝日の歩行者天国で下着を露出する女性が出現したほか、 人気アニメをまねてモデルガンを乱射したケースもあった。風紀が乱れるだけ で犯罪とまでは言えなかったが地元は怒り、マンパワーの少ない中で有志を集 め歩行者天国を巡回していた。これで単純な風紀の悪さは薄まっていたのに、 レベルが違う大事件が起き、ノックアウトされた」

事件の翌週から歩行者天国は中止された:

「事件は、歩行者天国ではなく『アキバの魅力』が原因ではなかったかと 思う。中止については地元で賛否両論が巻き起こったが、人間の感情の部分に 押し崩された形で、一般的な服喪期間である49日間をめどに休止することに なった」

「歩行者天国復活の可能性はあると思うが、49日が過ぎる前に模倣犯が出 れば不可能。だから警察も一生懸命やっている。事件が地元の売り上げに影響 を与えたかは現時点では分からない。もともと商店側はそうしたコメントはし たがらない」

事件の教訓があるとすれば:

「全国的な行政のルーズさが、不安定な状況を作り出したと感じる。雇用 が保証されない派遣制度の浸透に加え、財政再建の目的で交番が減った。成長 が続き何十万人の人々が訪れる秋葉原も例外ではなく、警察官が減ったことで すきが生じた」

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