東京外為:ユーロ堅調、対円で11カ月ぶり高値-米景気懸念でドル軟調

午前の東京外国為替市場ではユーロが堅調。 ユーロ圏のインフレ率が16年ぶりの高い伸びとなり、欧州中央銀行(ECB) の利上げ観測が強まるなか、ユーロは対円で約11カ月ぶり高値を記録。対ドル では一時、1ユーロ=1.55ドル台前半までユーロが上昇する場面もみられてい る。

また、米国の経済指標が予想を下回り、米景気の後退リスクが意識される なか、ドルは軟調な展開となっており、対円では1ドル=108円ちょうどを一時 割り込んだ。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、「CPI(消費 者物価指数)などをみると、ECBの利上げを見込んで、ユーロ買いが加速し てきている」と指摘する。

一方、ドルについて、加藤氏は、米国の利上げ観測や介入発言などを受け て「どちらかというと熱狂的にドルを買いすぎてしまった分の調整が入ってい る状態」と説明。「金利ではドルは買い戻しになるが、実体経済を見てみると 決して良い数字ではなく、当局が言うように景気が年後半に回復に向うとの話 もなかなか信じられるものではない」と語る。

ECBの利上げ期待

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が16日に発表した5月のユー ロ圏消費者物価指数(改定値)は、前年同月比3.7%上昇と、5月30日に発表 された速報値(3.6%上昇)から上方修正された。食品・エネルギーコストの急 増を背景に、インフレ率は1992年6月以来の高水準に達した。

トリシェECB総裁は今月、早ければ7月にも利上げを実施する可能性を 示唆。先週末開催された主要国首脳会議(洞爺湖サミット)財務相会合では、 商品価格の高騰が企業や消費者のコストを上昇させ、同時に景気拡大にも難題 をもたらしているとの認識が示された。

ECBの利上げ期待が強まるなか、前日の海外市場ではユーロが上昇し、 対円では一時、1ユーロ=167円後半まで上昇、この日の東京市場午前の取引で は167円84銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と、07年7月23日 以来の高値をつけている。

また、ユーロは対ドルでも1ユーロ=1.55ドルを回復し、海外高値を上回 る1.5538ドルまで値を切り上げている。

米国の景気減速懸念

ニューヨーク連銀が16日に発表した6月の同地区の製造業景況指数はマイ ナス8.7と、前月(マイナス3.2)から低下。全米ホームビルダー協会(NAH B)とウェルズ・ファーゴが発表した6月の米住宅市場指数も18と前月の19 から低下し、過去最低に並んだ。同指数で50を下回る数値は住宅建設業者の多 くが現況を「悪い」とみていることを示す。

著名コラムニストのロバート・ノバク氏は米ワシントン・ポスト紙に寄稿 し、関係者を引用してバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は政策 金利を引き上げる「計画はない」と述べた。

ドル・円相場は前日の東京市場で一時、1ドル=108円58銭と2月14日以 来の水準までドル高が進んだが、米指標の下振れを受け、その後ドルは反落。 東京市場午前の取引では一時107円89銭までドル売りが進んでいる。

欧米指標に注目

インフレ懸念を背景に各国の政策金利の動向に注目が集まるなか、米国で はこの日、生産者物価指数(PPI)、住宅着工件数、および鉱工業生産指数 が発表される。また、ユーロ圏ではドイツの欧州経済研究センター(ZEW) が6月のドイツ景況感指数を発表するが、景況感の一段の悪化が示されれば、 ユーロの上値を抑える要因となる可能性もある。

そのほか、英国では5月の消費者物価指数(CPI)が発表される。エコ ノミスト予想では前年同月比3.2%上昇が見込まれているが、3.1%を上回ると、 イングランド銀行のキング総裁はダーリング財務相に書簡を送り、どのように 2%の政府目標にインフレを抑制するかを説明する義務が発生する。

また、この日はゴールドマン・サックスの決算発表が予定されており、内 容次第ではドルの波乱要因となる可能性もありそうだ。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

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