東京外為:ユーロが対円で8カ月ぶり高値圏、インフレ加速で利上げ期待

朝方の東京外国為替市場ではユーロ・円が 1ユーロ=167円台前半と約8カ月ぶりのユーロ高水準で推移している。ユーロ 圏のインフレ率が16年ぶりの高い伸びとなり、欧州中央銀行(ECB)の利上 げ観測が強まるなか、ユーロ買いが先行しやすく、インフレ懸念の乏しい円は 売られやすい状況となっている。

一方、ドル・円は1ドル=108円台前半でもみ合っている。米景気の減速懸 念からドルの上値の重たさが意識されが、ユーロ・円などクロス円(ドル以外 の通貨と円の取引)で円弱含みを背景にドルの下値も堅い。

三菱東京UFJ銀行市場業務部の佐原満上席調査役は、きのう発表された 米金融機関の決算に対する反応が薄かった感があり、サブプライム(信用力の 低い個人向け)住宅ローン問題に絡む材料よりは、インフレや金利動向に市場 の目が向いていると説明。「ユーロ圏は利上げをしやすそうだとの見方から、 ユーロ・円を中心にクロス円が上昇しやすい」とし、対ユーロでドル売りが先 行しても、対円ではドルの下値は限定され、ドル・円相場は比較的狭いレンジ 内での値動きにとどまるとみている。

ユーロ圏のインフレ率、16年ぶり高水準

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が16日発表した5月のユーロ 圏消費者物価指数(改定値)は、前年同月比3.7%上昇と、5月30日に発表さ れた速報値(3.6%上昇)から上方修正された。食品・エネルギーコストの急増 を背景に、インフレ率は1992年6月以来の高水準に達した。

トリシェECB総裁は今月、早ければ7月にも利上げを実施する可能性を 示唆。先週末開催された主要国首脳会議(洞爺湖サミット)財務相会合では、 商品価格の高騰が企業や消費者のコストを上昇させ、同時に景気拡大にも難題 をもたらしているとの認識が示された。

ユーロ圏のインフレ加速を受け、前日の海外市場ではユーロが上昇し、対 円では一時、一時、1ユーロ=167円68銭(ブルームバーグ・データ参照、以 下同じ)と、07年10月15日以来、約8カ月ぶりの高値をつけた。

また、ユーロ・ドル相場も一時1ユーロ=1.55ドルを回復し、1.5518ドル までユーロ買い・ドル売りが進行。米国の経済指標が予想を下回ったことから、 ドル売りが強まった。

一方、ドル・円相場は東京市場で一時、1ドル=108円58銭と2月14日以 来の水準までドル高が進んだが、海外時間には反落し、一時は108円ちょうど を割り込む場面も見られた。もっとも、クロス円が堅調に推移するなか、ドル の下値は堅く、その後は108円台前半でもみ合う展開が続いている。

米国の景気減速懸念

ニューヨーク連銀が発表した6月の同地区の製造業景況指数はマイナス

8.7と、前月のマイナス3.2からさらに落ち込んだ。ブルームバーグ・ニュース がまとめたエコノミスト予想の中央値はマイナス2だった。同指数ではゼロが 景況の拡大と縮小の境目を示す。

また、全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表 した6月の米住宅市場指数は18と前月の19から低下し、過去最低に並んだ。 同指数で50を下回る数値は住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみているこ とを示す。

金利先物市場動向によると、6月25日の米連邦公開市場委員会(FOMC) 会合で金利誘導目標が据え置かれる確率は74%。著名コラムニストのロバー ト・ノバク氏は米ワシントン・ポスト紙に寄稿し、関係者を引用してバーナン キ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は政策金利を引き上げる「計画はない」 と述べた。

16日のニューヨーク原油先物相場は乱高下。対ユーロでのドル下落を背景 に一時は1バレル当たり139.89ドルまで上昇、最高値を更新する場面も見られ たが、サウジアラビアが石油価格安定化のために原油を増産する兆候が示され ると売りが膨らみ、一時は133ドルを割り込んだ。

欧米指標待ち

米国ではこの日、生産者物価指数(PPI)、住宅着工件数、および鉱工 業生産指数の発表が予定されている。米国のインフレ・景気動向を探る手掛か りとして注目が集まっており、目先は材料待ちの展開も予想される。

一方、ユーロ圏ではドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が6月のド イツ景況感指数を発表するが、景況感の一段の悪化が示されれば、ユーロの上 値を抑える可能性もある。

また、英国では5月の消費者物価指数(CPI)が発表されるが、市場予 想どおり前年同月比3.2%上昇となれば、イングランド銀行のキング総裁はダー リング財務相に書簡を送り、どのように2%の政府目標にインフレを抑制する かを説明する義務が発生する。

そのほか、この日はゴールドマン・サックスの決算発表が予定されており、 内容次第ではドルの波乱要因となる可能性もある。

米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが16日に発表した08 年3-5月(第2四半期)決算は、28億ドル(1株当たり5.14ドル)の赤字と なった。決算内容は先週発表の暫定集計と同様だった。同社は、不動産市場の 市況悪化に伴う一段の損失の回避を目指し、モーゲージ関連資産を20%圧縮。 リチャード・フルド最高経営責任者(CEO)は同社の将来に自信を示した。

--共同取材:三浦和美 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Norihiko Kosaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya

+81-3-3201-2371 hkomiya1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Sandy Hendry

+852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE