月例報告:景気回復は足踏み、一部に弱い動き-3カ月ぶり下方修正(2)

大田弘子経済財政政策担当相は16日夕、 6月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、3カ月ぶりに景気の基調判断を 引き下げた。景気の現状について、前月までの「景気回復は足踏み状態にある」 との表現の後に、「このところ一部に弱い動きがみられる」との文言を新たに 追加した。世界経済の減速やエネルギー・素材価格の上昇が続く中で、輸出、 生産、企業収益の判断を下方修正し、全体の判断も弱めた。

輸出については、これまで堅調だったアジア向け輸出数量が鈍化し、欧州 向けも減少に転じたことで、「このところ弱含んでいる」とし、前月の「伸び が鈍化している」から2カ月連続で下方修正。生産については、鉱工業生産指 数が3月、4月に前月比2カ月連続して低下したことなどから、「このところ 弱含んでいる」とし、前月までの「横ばい」から3カ月ぶりに下方修正した。

さらに、企業収益については「減少している」とし、前月の「弱含みにな っている」から3カ月ぶりに下方修正した。1-3月期の法人企業統計で、全 産業の経常利益が3四半期連続で前年同期比および季節調整済前期比で減少 となったことなどを踏まえ、判断を引き下げた。

今年1-3月期の日本の国内総生産 (GDP)改定値は内外需ともに堅 調で前期比年率換算4.0%増の高成長となったが、4-6月期は一転してマイ ナス成長になるとの見方が出ている。4月の景気一致指数は2カ月連続の低下 となり、内閣府は同指数の基調判断について景気後退の可能性も示唆する「局 面変化」との認識を示し、日本経済は下振れリスクにさらされている。

大田経財相は会議後の会見で、現状について「景気後退ではない」とし、 2002年2月以降の景気拡大局面にあるとの認識を示す一方、先行きについては、 前月と比べ「下振れリスクは高まっている」と指摘した。経財相はその理由と して、「IT(情報技術)関連材が在庫調整入りしている」ことを挙げた。さ らに電子部品・デバイスなどのIT関連材が在庫調整入りしている背景には、 米国経済の減速に伴う日本からの輸出の鈍化があることを指摘した。

一方で、経財相はIT関連材を除くと、生産・輸出は横ばいで、「在庫も それほど積み上がっていない」と述べ、調整が深刻化しない可能性も示唆した。

月例報告は、先行きについては「アメリカ経済が持ち直すにつれ、輸出が 増加基調となり、景気は緩やかに回復していくと期待される」とし、景気が横 ばいから再浮上するとのシナリオを堅持している。内閣府政策統括官付参事官 の西崎文平氏は、「踊り場状態」が継続している理由として、主要需要項目の 個人消費、設備投資、建設投資が横ばいである点を挙げた。

下振れリスクには警戒継続

ただ、月例報告は今後のリスク要因として、「サブプライム(信用力の低 い個人向け)住宅ローン問題を背景とするアメリカの景気後退懸念や株式・為 替市場の変動、原油価格の動向などから、景気の下振れリスクが高まっている ことに留意が必要」との前月の表現を踏襲した。

原油・原材料価格の高騰の経済への影響について経財相は、企業では収益 圧迫要因になっており、これが今後、企業の設備投資にどのような影響を及ぼ すか「注意が必要だ」と述べる一方、家計については「マインド悪化につなが っている」ことを指摘。その上で、「企業・家計両面でマイナスの影響が出て いる」との認識を示した。

4月の輸出数量は、季節調整済み前月比で2.4%低下し、対米向けはほぼ 横ばいとなる一方、欧州向けが特殊要因もなく大きく落ち込んだ。内閣府の西 崎氏は、欧州向け輸出数量の減少について、欧州域内で家電製品などの「消費 が弱くなっている可能性がある」との見方を示した。さらに、輸出動向と関連 のある生産が低下していることについても、デジタルカメラなど家電製品の 「アジア、欧米向けの輸出が弱くなっている可能性を反映している」と語った。

また、西崎氏は電子部品・デバイスについては「在庫調整の動きが始まっ ている」との認識を示したほか、携帯電話などの情報通信機器の生産も弱くな っていることを懸念材料として挙げた。

一方、月例報告は設備投資については、4カ月連続で「おおむね横ばいと なっている」とした。内訳をみると、機械受注統計などにみられるように機械 類の投資は弱含む一方、工場など非居住向けの建物への投資は、改正建築基準 法の影響が薄れて持ち直している。

消費は「おおむね横ばい」の判断維持

住宅建設については「このところ横ばいになっている」とし、前月の「おお むね持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている」から表現を変えたが、 判断は据え置いた。GDPの6割弱を占める個人消費については「おおむね横 ばいとなっている」とし、判断を9カ月連続で維持した。内閣府が需要側と供 給側の統計を総合して指数化した消費総合指数は、4月に前月比横ばいだった。

雇用については、4月に失業率が4%に上昇したものの 「厳しさが残る 中で、改善に足踏みがみられる」との前月からの判断を踏襲した。物価につい ては「国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価指数 は、わずかながら上昇している」としている。

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