米国債見通し:弱気市場はさらに悪化へ-利回りがインフレ率下回る

3カ月前からの米国債の弱気市場はまだ始 まったばかりだ。

米国のインフレ率が10年物米国債の投資リターンを上回っている期間は 1980年以来で最長となっており、これは利回りがさらに上昇するシグナルだ。 ブルームバーグが集計したデータによると、米国債利回りは過去20年間、消費 者物価指数(CPI)を2.28ポイント上回っている。インフレ率と利回りの関 係が正常に戻らない場合、1000万ドルの国債を購入した投資家は向こう1年間 に140万ドルの損失を被る計算になる。

ファースト・パシフィック・アドバイザーズのパートナー、トーマス・ア テベリー氏は「計算では現実が良く反映されない」と指摘する。同氏は利回り が5年ぶりの低水準となった3月に10年債の売りを勧告していた。

商品相場上昇やバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフ レに再び焦点を定めたこと、それにサブプライム(信用力の低い個人向け)住 宅ローン市場混乱後の資本市場の活性化が成功したことで、米国債市場を苦境 に追い込んだ。米金融当局が米証券ベアー・スターンズ救済を支援した直後の 3月17日に10年債を購入した投資家は、これまでに6.2%の損失を出している ことになる(ブルームバーグ調べ)。

現時点で4.26%の10年債利回りはインフレ率と同水準にあり、投資家の実 質リターンはゼロ。1980年はインフレ率が33年ぶりの高水準である14.8%、 利回りは平均で11.4%だった。

CPI統計

労働省が13日発表した5月の米CPIは前年同月比4.2%上昇した。これ はブルームバーグがまとめたエコノミスト予想(3.9%)を上回り、1月以来の 高水準だった。

モルガン・スタンレーのエコノミストらによると、インフレ率は今夏に5 -5.5%と、1991年以来の高水準に達する見通しだ。同社のヨアヒム・フェルズ 氏らアナリストは11日付のリポートで「世界的なインフレは取り返しのつかな い状況だ」とし、向こう数カ月にインフレ率のペースが緩やかになっても、「イ ンフレ率平均は高めで推移する公算が大きい」と指摘した。過去20年間のイン フレ率平均は3.1%となっている。

BGキャンター・マーケット・データによると、10年債(償還期限2018 年5月、表面利率3.875%)利回りは先週35ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)上昇。上昇幅は、37bp上昇した2003年7月以来で最大だった。価 格は2 21/32下落して96 29/32。今月に入って原油が最高値を更新したことを 背景に、利回りは昨年12月以来の高水準を付けている。3月17日には3.28% だった。

インフレ懸念から、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では米金融 当局が今月にも利上げするとの見方が強まっている。シカゴ商品取引所(CB OT)のFF金利先物相場の動向によると、25日の米連邦公開市場委員会(F OMC)会合で少なくとも0.25ポイントの利上げが実施される確率は22%、年 内の利上げ確率は100%となっている。2カ月前は利下げ確率が90%だった。

強気派の見方

一方、債券市場の強気派は、賃金が上昇していないことから長期のインフ レ加速はあり得ないと指摘する。労働省が6日発表した5月の平均時給は前年 同月比3.5%増と、4月と同水準で、06年2月以来の小幅な伸びにとどまった。

J&Wセリグマンで資産運用に携わるフランシス・マスタロ氏は「インフ レ圧力は強まっていないとみている」とした上で、米国債利回りの「大幅上昇 は正当化できない」との見方を示した。

インフレ連動債(TIPS)の利回りもインフレ減速の見通しを示してい る。向こう10年間のトレーダーのインフレ期待が反映される、10年物TIPS と通常の10年債の利回り格差は2.52ポイント。3月時点では2.56ポイントと 1年半ぶりの高水準だった。

リバーソース・インスティチューショナル・インベストメンツで運用に携 わるコリン・ランドグレン氏は「米経済が減速し、インフレ圧力が若干緩和さ れるとの見方に同意しない限り、利回りは適正水準から離れており、上昇を迫 られるようだ」と語り、「10年債利回りは5%に接近するなかで、投資妙味が高 まるようにみえる」と指摘した。

-- With reporting by Daniel Kruger in New York, Courtney Dentch in New York and Dale Crofts in Chicago. Editors: Dave Liedtka, Robert Burgess.

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 山口裕子 Yuko Yamaguchi +81-3-3201-8984 yuyamaguchi@bloomberg.net Editor:Masami Kakuta 記事に関する記者への問い合わせ先: Sandra Hernandez in New York at +1-212-617-3628 or shernandez4@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: Dave Liedtka at 1-212-617-8988 or dliedtka@bloomberg.net

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