米金利上昇で110円まで上振れも、ドル高続かず-三菱UFJ銀・高島氏

三菱東京UFJ銀行市場業務部の高島修チ ーフアナリストは16日、ブルームバーグ・テレビとのインタビューで、先週末 に開催された主要国首脳会議(洞爺湖サミット)財務相会合の結果やドル相場 の見通しについて語った。高島氏は、米当局がインフレ警戒姿勢を強めるなか、 米金利の上昇を背景にドルは対円で1ドル=110円程度まで「上振れる」可能性 もあるが、市場の利上げ期待は行き過ぎており、持続的なドル高にはならない とみている。コメントの詳細は以下の通り。

G8の声明文について:

「今回G8の前にバーナンキ(米連邦準備制度理事会)議長やポールソン 財務長官あたりからドル安是正を匂わせる発言が相次いだので、G8でも何ら かのコメントが入ってくるのでないかとの思惑があった。ただ、今回はサミッ トの準備会合で中央銀行総裁は参加しない。準備会合におけるG8の声明文で は通常、為替相場について言及することはないので、万が一、今回言及した場 合はかなり異例なことだったが、さすがにそこまでは踏み込まなかった」

声明では「従来は高成長と低インフレを享受してきたが、逆風に直面して いると言っている。これはスタグフレーション(景気減速下の物価上昇)に対 する警戒感ということになってこようかと思うが、その最大の要因として指摘 できる原油高、商品高に対する警戒感を示しつつ、原油高・商品高のなかに金 融的な要因が介在していると、低金利政策ないしはそれに伴う投機活動も警戒 されるといったことを匂わせている」

米金融政策とドル相場への影響:

「結果的にはこの警戒感でドル高が持続的に続くことはないと思う。ただ、 金融・通貨当局の間では従来に比べるとドル安のメリットよりは弊害の方が目 に付く状況になっており、これが原油高であり、商品高ということになってく ると思う。こうしたなか、米国サイドは金融を少し引き締めていけないという トーンになってきており、それと同時に原油高を是正する1つのパーツとして ドル安是正が必要なのではないかという思惑につながってきている」

「先週もバーナンキ議長、コーン副議長がインフレに関する講演を行って おり、そのなかで特にインフレ期待が脆弱化していることを訴えている。こう したなか、米金利も上昇しており、2年金利あたりは利上げを織り込む形で足 元、3%絡みまで上昇してきている」

「過去、経験則的には米金利の方向性とドル相場に安定的な関係は見当た らないが、2006年ぐらいからは米国の金利が上がればドル高、金利が下がれば ドル安という関係が継続している。このため、米国の利上げ期待を織り込む形 で、2年金利あたりが上昇している間はもう少しドルが小じっかり」と予想す る。

「一方で、日米の政策金利差、絶対水準を見比べてみると、足元、1.5%ま で縮小してきている。これは持続的なドル高を促していくにはちょっと力不足 と考えているので、米国の金利上昇が一服する段階でドル相場の上昇も目先的 には止まってくると考えている」

ドル・円相場見通し:

「米国の金利市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げを織り込む 格好になっている。ただ、これから金融機関の決算が続いてくること、また短 期市場におけるリスクプレミアムを示すTEDスプレッド(3カ月物のドルL IBORと米財務省証券の利回り格差)TEDスプレッドをみると一時的より は縮小してきているが、足元まだ100bp(ベーシスポイント、1bp=0.01 ポイント)ぐらいの水準で、これはどちらかというと金融危機的な状況が続い ていることを示しているので、FRBの利上げはなかなかそう簡単にはいかな いと思う」

「金利市場でいくと今年の9月ぐらいから利上げが始まるのではないかと の思惑になっているが、この見方は少し行き過ぎているのではないかなと考え ている」

テクニカル的には「足元、ドル・円はちょうど200日線に接してきたとこ ろで、これがだいたい108円。200日線は下落基調をたどっているので、なかな か強いレジスタンスになってくると思う。上振れて110円がいいところではな いか」

「米国の金利あたりが下がり始めてしまうと、むしろ下値リスクが再燃す る。金融危機的な状況というのもちょっと警戒が必要で、その場合は今、50日 線と100日線が104円ぐらいのところでゴールデン・クロスしているので、目 先的にはその辺りがターゲットかなとみている」

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