豪州鉱山業界の買収バブル:ミタルや英BGグループの株主に痛手も

商品相場が7年連続で高騰し、買収活動 がバブルのような水準にあるなか、鉄鋼最大手のアルセロール・ミタルや英3 位の石油・ガス会社、BGグループは株主らを圧迫している。

UBSの推計によると、アルセロール・ミタルによるオーストラリアの石 炭会社マッカーサー・コールに対する買収提示額は、年間生産1トン当たり 472豪ドル(約4万8000円)を上回る可能性がある。この額は、同様の案件の 3倍に上る。商品相場が44%高騰したことを受け、豪州でのエネルギー・鉱山 会社の買収はことし、2倍以上に増加し、過去最高の620億ドル(約6兆7000 億円)に達した。資産家のジョージ・ソロス氏は、バブルが形成されつつあり、 これによって商品や鉱業関連株の上昇が終息する可能性があるとの見方を示し ている。

シンガポールのSGアセット・マネジメントで30億ドル相当の運用に携 わるショーン・ジャコモ氏は「鉱山会社は、これまでの商品相場サイクルの時 と比較して賢明な方法で買収を行っているとは言えない」と指摘。「資産に多 くの資金を投じている」と指摘する。

原油相場が過去最高値を更新するなか、BGグループのロンドン市場の株 価は、同社が豪石油・ガス会社オリジン・エナジーへの買収提示額を136億豪 ドルに引き上げた5月28日以降、2.4%下落し、1株当たり12.59ポンドとな った。

また、アルセロール・ミタルは、5月21日にマッカーサーの株式の15% を取得。少なくとも42億豪ドル規模での買収を目指し、交渉を求める方針を 示した。同日以降、アルセロール・ミタルのアムステルダム市場の株価は

1.9%下落し、1株当たり62.36ユーロとなった。

株主にとり不利

豪鉱山会社のオクシアナは3月、世界2位の亜鉛生産会社となることを目 指し、同国のジニフェックスを買収することで合意した。これ以降、オクシア ナの株主らは18億豪ドル以上を失っている。ロンドン金属取引所(LME) の亜鉛相場は昨年の年初以降、約50%下落。ジニフェックスの一時的な項目を 除く上期(1-6月)の利益は54%減となった。同社は、下期(7-12月) の利益がアナリスト予想を下回るとみている。

オクシアナとジニフェックスの株主らは16日、買収の承認に関する投票 を行う。SGアセットのジャコモ氏は、株主らは「合併に合意することにより、 自らにとって不利な選択」をすることになるだろうと語る。

世界の鉱山業界で発表されたM&A(合併・買収)総額は1-5月に前年 同期比で3倍以上に拡大した。豪BHPビリトンは、英豪系リオ・ティントに 対して1650億ドル規模の買収案を提示。ともに豪州で操業するBHPとリオ は、中国の原料需要の拡大を背景に利益を伸ばしている。BHPの推計による と、中国での原料需要は、向こう20年間にニューヨーク市に匹敵する都市を 10カ所建設する量に相当すると予想される。

需要に対応するため、鉱山各社は豪州での鉱山や油田の開発に過去最高の 計580億豪ドルを投資している。豪州は鉄鉱石、石炭、羊毛、アルミナの世界 最大の輸出国。ブルームバーグ世界鉱業指数は2003年の導入以降、4倍以上 に高騰。上昇率は、ブルームバーグ世界指数の82%の4倍を超えている。

ファット・プロフェッツ・ファンズ・マネジメント(シドニー)の資源担 当シニアアナリスト、ギャビン・ウェント氏は「鉱山会社が資産の一部に必要 以上の対価を支払っている可能性があるとの見方もあるが、各社とも供給を確 保できる状況を望んでいるだけだ」と指摘。「操業中の鉱山には明らかに割高 な価格を支払っている」との見方を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE