ガスプロムCEOのバレル250ドル予想、一部の投資家が織り込む

原油価格は1バレル=250ドルで食品価格は 現在の2倍。欧米や日本の経済は深刻なリセッション(景気後退)に陥り、企業 は次々と倒産、航空会社は国有化される。ガソリン価格がガロン当たり7ドルを 上回りスポーツ型多目的車(SUV)はまったく売れない。

こんなシナリオも想像を絶するとは言えないかもしれない。ロシアの国有天 然ガス会社ガスプロムのアレクセイ・ミラー最高経営責任者(CEO)が10日、 「予測可能な将来」に原油価格が1バレル当たり250ドルに達するとの見通しを 示したからだ。しかしナティクシス・ブライヒローダーのアナリスト、ジェフ・ スピッテル氏は、戦争や主要石油施設への攻撃が起こった後にのみ、このような 水準まで上昇する可能性があると述べた。

エコノミストや企業幹部らはミラーCEOの予想に同意しないものの、原油 価格が消費者の生活を大きく揺さぶる可能性があるという点では一致している。

米コンサルティング会社ブーズ・アレン・ハミルトンのバイスプレジデント、 ジェームズ・ウルジー氏は、バレル250ドルとなった場合「中国を含むすべての 石油輸入国にとって壊滅的事態となり得る」と指摘。「そして主要供給国の多く に莫大な利益をもたらすだろう」と予想した。

一部の投資家はすでにミラーCEOの予想を織り込んでいる。ブルームバー グ・ニュースがまとめたデータによれば、12月にバレル250ドルで買う権利を 付与するコール・オプションがこれまでに少なくとも3008枚購入された。13日 の同オプションの終値は64セント。

原油先物相場は6日、1バレル=139.12ドルと、過去最高値を更新した。 前年比では2倍以上となっている。ゴールドマン・サックス・グループとモルガ ン・スタンレーは向こう数カ月のうちにバレル150ドルに達すると予想した。

ガソリン価格か人件費か

メキシコのガラスメーカー大手ビトロの調達担当副社長、カルロス・マッテ イ氏は、バレル250ドルとなれば「大規模な企業閉鎖が起こるだろう」と指摘。 「中小企業の多くは、ガソリン価格を払えば人件費が払えなくなるだろう」と語 った。

しかし、需要の伸び鈍化が原油高騰を抑制する可能性もある。国際エネルギ ー機関(IEA)は先週発表した月報で、原油高騰の影響により石油消費が減少 していることから2008年の世界原油需要見通しを5カ月連続で引き下げた。ま た米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は09年12月までにバレル120ド ルに下落すると予想している。

EIAの原油市場担当シニアアナリストのダグラス・マッキンタイヤー氏は、 「インフレ調整後の原油価格が2倍に上昇した場合、向こう10年余りで石油需 要は30%縮小するとみている」と述べた。

米調査会社、石油価格情報サービス(OPIS)の主席アナリスト、トム・ クローザ氏は、ミラーCEOの予想がガスプロム自体に利益となることから疑わ しいと指摘。「莫大な既得権益を有する人が自由で公正な意見を持っているとは 極めて考えにくい」と説明した。

米調査会社ムーディーズ・エコノミー・ドット・コムのチーフエコノミスト、 マーク・ザンディ氏は、原油価格が200ドルを超えた場合、同社の経済モデルが 利用不可能になると述べた。

ザンディ氏は「欧州のほとんどや日本と同様、米国も深刻なリセッションに 陥り、多くの発展途上国も巻き添えになる」と述べた上で、「250ドルになるか なり前に経済は破たんし、需要減少が原油価格の下落につながることから、250 ドルはあり得ない」と説明した。

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