東京外為:円が弱含み、G8通過でドル安懸念緩和-リスク志向回復

午前の東京外国為替市場では円が下落。ド ル・円相場は一時1ドル=108円40銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同 じ)と、2月14日以来、4カ月ぶりの円安値を更新している。G8(主要8カ 国)財務相会合で、米国が「強いドル」政策をあらためて強調したことを受け てドルの下値不安が緩和。そうしたなか、日本株の上昇を背景に投資家のリス ク許容度回復が期待され、低金利の円から高金利通貨などに資金が向きやすく なっている。

新光証券の林秀毅チーフエコノミストは、米国の強いドルに対しては、各 国間で温度差はあるものの、ドルの急落による金融市場の不安定化が避けられ るとして黙認されたと指摘。「イベント通過後の安心感から、株価の上昇を背景 にリスク選好的な高金利通貨買い・円売りという平常時のシナリオになってい る感がある」として、東京時間の日中はアジアの株価動向をにらみながらこの まま円弱含みの展開が続く可能性があるとみている。

週明けの東京株式市場では、日経平均株価が前週末比200円を超える上昇 幅で午前の取引を終了。損失リスクを伴う投資先の代表格とされる株式の堅調 地合いを受けて、外為市場ではリスク選好的な動きが出やすく、対高金利通貨 を中心に円売り圧力が強まっている。

ユーロ・円相場は1ユーロ=166円台後半と、前週末のニューヨーク時間午 後遅くに付けた166円35銭からユーロ高・円安が進んでいる。

G8で強いドル姿勢を支持

14日まで大阪市で開催されていたG8財務相会合では、米国のポールソン 財務長官が強いドルを信じると表明。それに対して、フランスのラガルド財務 相は会合後に、「ポールソン長官が強いドル政策は欠くことができないと言明す るのを聞き、満足している」と発言した。

また、ロシアのクドリン財務相も「ドル安が原油価格の大幅上昇の主な要 因の1つだ」と述べ、ドル上昇が商品価格を沈静化させるとの見方を示してい る。ただ、会合後に発表された共同声明には、為替に関する文言は盛り込まれ ていない。

インフレ懸念共有も具体策なし

原油高に伴う世界経済の先行き不透明感が漂うなかで開催された今回のG 8財務相会合の声明では、産油国に石油の増産と生産能力拡大のための投資促 進を求めたほか、消費国にはエネルギー源の多様化と石油製品への政府補助金 の削減などの対策を求めた。

しかし、産油国側では、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が「原 油価格の上昇はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)で正当化できない」 として、市場の投機的な動きが原油高騰の背景にあるとの見解を示唆している。

原油高を背景としたインフレ懸念の払しょくには、具体的な協調行動を取 りにくい状況が浮き彫りとなっており、世界経済の先行き不透明感が残る。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのヘッド・オブ・FXストラテ ジー・ジャパンの山本雅文氏は、「米経済はまだ下振れリスクが残っている状況 で、金融セクターも引き続き弱いため、ドルを積極的に買っていくというよう な状況ではない」とみている。

米金融機関の業績見極め

さらに、今週は米国で大手金融機関の決算発表が相次ぐ見通しで、この日 の米国時間には証券大手のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが決算発 表する。

リーマン・ブラザーズが、12日にカラン最高財務責任者とグレゴリー社長 の退任を発表するなど、米金融機関でトップの退陣が目立つなか、サブプライ ム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の余波が意識されやすい。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部の斉藤裕司部長は、「損失が予想 以上に膨らんでいた場合は、信用収縮を意識したドル売り・円買いが入る可能 性がある」との慎重な姿勢を示している。

関連記事: G8声明 {NXTW NSN K2FU6Q1A74E9}

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE