【今週の債券】軟調、欧米利上げ観測で売り圧力―長期金利1.9%台も

今週の債券相場は軟調(利回りは上昇) な展開が見込まれる。世界的なインフレ懸念を背景に、欧米で利上げ観測が強 まっており、これに関連した要人発言や強めの経済指標が発表されると売り圧 力が高まりやすい。新発10年債利回りは昨年7月以来となる1.9%台に乗せる 可能性がある。

10年債利回りの予想レンジは1.70-1.95%

今週の新発10年債利回りについて、13日の夕方までに市場参加者5人に ヒアリングしたところ、全体の予想レンジは1.70%から1.95%となった。前 週に取引された値幅は1.715―1.88%となっており、利回りの上限が切り上がる 見通し。新発10年債利回りが1.95%まで上昇すれば、昨年7月10日以来の高 い水準となる。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジストは、世界的な インフレ懸念を受け、金利には上昇圧力がかかりやすいと指摘。新発10年債 利回りについては、「景気も減速感を強めており、金利上昇もそろそろ限界に 近づいているとみるが、いったんは1.9%台に乗せないと止まらないのではな いか」という。

前週の債券相場は下落。欧州中央銀行(ECB)は7月、米連邦準備制度 理事会(FRB)は年内にも利上げに踏み切るとの観測が市場で高まり、円債 市場も売り圧力が強まった。新発10年債利回りは昨年7月以来の1.88%まで 上昇。新発2年債利回りは一時、昨年8月以来となる1%の大台に乗せた。

今週も海外市場の影響を受けた相場展開が継続するとの見方が多い。T& Dアセットマネジメントの竹田竜彦ファンドマネジャーは、「海外市場の動き に振らされて、債券相場はボラティリティ(価格の変動率)の大きい動きにな りそうだ」と予想する。また、三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グルー プ長は、「インフレ対応の利上げが潜在成長率を押し下げ、利回り曲線は平た ん化が世界的な流れ。今は海外の影響を受けざるを得ない」という。

材料としては、米国では、16日にバーナンキFRB議長の講演、17日に は5月の生産者物価指数(PPI)や住宅着工件数、19日に6月のフィラデル フィア連銀景気指数などが発表される。日本では、日銀が18日に金融政策決 定会合議事要旨(4月30日、5月19、20日分)を発表。19日には白川方明日 銀総裁が全国信用金庫大会であいさつをする。

20年債入札に注目、クーポン2.4%に据え置きか

需給面では、17日の20年利付国債の入札が注目される。最近の国債入札 では、最低と平均落札価格の差である「テール」が拡大するなど低調な結果が 続いており、今回も投資家からの積極的な買いは期待しにくい。

もっとも、このところの金利上昇局面でも、20年ゾーンは国内投資家から の需要で比較的に安定しており、入札に対する強い警戒感は出ていない。大和 証券SMBCの小野木啓子シニアJGBストラテジストは、「今回の新発20 年債の需要に不安はない」として、無難な入札結果を予想する。

前週末の入札前取引では、6月発行の20年国債複利利回りは2.40%で取 引された。このため、表面利率(クーポン)は前回債と同じ2.4%に据え置か れる見通し。発行額は前回債と同額の8000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

13日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物 は中心限月9月物、新発10年国債利回りは293回債。

◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長

先物9月物132円00銭-133円50銭

新発10年債利回り=1.75%-1.88%

「中短期を中心に振れやすい。インフレ対応の利上げが潜在成長率を押し 下げ、利回り曲線は平たん化が世界的な流れ。今は海外の影響を受けざるを得 ない。逆に超長期は絶対水準から潜在需要がしっかりしている。20年入札はテ ールが流れても、ALMの観点から投資家が買いを見合わせることはないだろ う。米金融機関の決算や景況感の悪化は相場の材料になりづらくなっている」

◎損保ジャパン・グローバル運用部・砺波政明債券運用第1グループリーダー

先物9月物131円00銭-134円00銭

新発10年債利回り=1.70%-1.95%

「経済指標では、5月の米生産者物価や住宅着工などが発表される。決算 発表ではリーマン・ブラザーズはある程度イメージができているが、ゴールド マンやモルガン・スタンレーの発表が注目。決算は悪い内容を織り込んでいる が、極端な数字が出なければ驚きはない。実体経済、金融不安よりもインフレ の方に目線が向いている。20年債入札は実需買いが入りやすく無難と思う」

◎トヨタアセットマネジメント・浜崎優シニアストラテジスト

先物9月物131円75銭-133円25銭

新発10年債利回り=1.78%-1.93%

「インフレ懸念を受け、これまでの金融緩和スタンスを返上する流れで、 金利には上昇圧力がかかりやすい。先物の値動きが大きく、不安定な展開が続 く。ただ、景気も減速感を強めており、金利上昇もそろそろ限界に近づいてい るとみるが、いったんは1.9%台に乗せないと止まらないのではないか。今週 は米国で物価関連指標発表があり、利上げに対する臆測も警戒される」

◎岡三証券経済調査部・坂東明継シニアエコノミスト

先物9月物131円50銭-133円00銭

新発10年債利回り=1.80%-1.95%

「週前半は下値を探る相場展開ではないか。国内では特段材料はないが、 米国市場の動向に振り回されやすい地合いが継続しそう。不安定な展開が続い ているので、20年債入札に対する警戒感から、週初にはヘッジ売りが出てきそ うだ。相場が落ち着いてくると押し目買いが期待できるので、週後半には自律 反発の可能性もあるが、その場合でも上値は重く、戻りは限られそうだ」

◎大和証券SMBC・小野木啓子シニアJGBストラテジスト

先物9月物131円20銭-133円00銭

新発10年債利回り=1.80%-1.95%

「海外市場動向や国内株価をにらみながら、引き続き先物主導で値動きの 荒い展開が続きそう。前週は戻りの鈍さと下げの速さが目立った債券相場だが、 20年債と流動性供給入札が予定されていることもあり、上値が重く、下値が気 になる展開となりそう。リーマンなど米大手証券の決算内容を受けた米株市場 は、米国債・国内株価を通じて、円債相場の波乱要因となる可能性もある」

--共同取材:池田祐美、宋泰允、船曳三郎 Editor:Tetsuki Murotani,Tetsuzo Ushiroyama

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