G8財務相、原油高に打つ手なく-懸念共有も即効薬見いだせず(2)

原油高に伴う世界経済の先行き不透明感が 強まる中で開催されたG8(主要8カ国)財務相会合は、インフレ懸念を共有 しながらも、具体的な即効薬を見いだせないままに終了した。原油高の元凶と される投機マネーの流れをつかむことが困難な上に、供給側の産油国や需要が 高まる中国やインドなどの新興国といった「主役」なき会合の限界も示した。

原油価格は年初に一時1バレル=90ドル台を割ったものの、今月6日には 終値で1バレル=138.54ドルと1年前のほぼ倍に上昇した。5月の米失業率の 悪化に伴う米経済の不透明感の高まりや、7月の利上げを示唆した欧州中央銀 行(ECB)のトリシェ総裁発言後の米欧の金利差によるドル安懸念から、一 気に投機マネーが原油市場に流れ込んだとの見方が強い。

しかし、G8当局者の間では、投機が悪いというのは短絡的な議論、との 慎重論が大勢だ。会合では、原油高の主因は新興国における需給の増加で、投 機マネーが価格形成に与える影響の程度は分からないとの議論に終始。投機マ ネーと原油価格の相関関係については国際通貨基金(IMF)の分析を要請す るにとどまり、「規制」をかけるには至らなかった。

議長を務めた額賀福志郎財務相は14日の会合後の記者会見で「原油高の高 騰については複合的にあるという認識だ。そのなかで世界的に新興国の経済の 成長によって原油の需要が増えていることは間違いないが、金融的な要因も指 摘されているので、IMFに調査を要請した」と、経緯を説明した。

  共同声明では、産油国に石油の増産と生産能力拡大のための投資促進を求 めたほか、消費国にはエネルギー源の多様化と石油製品への政府補助金の削減 などの対策を求めた。財務省幹部は「産油国も消費国も何も対策を取らず、投 機筋をスケープゴートにするのは最も愚策」と指摘。投機マネーを理由に、各 国が取り組むべき問題の解決が進まないことに危ぐを示した。

両者の思惑は複雑だ。世界最大の産油国であるサウジアラビアのヌアイミ 石油鉱物資源相は「原油価格の上昇はファンダメンタルズで正当化できない」 と主張。原油価格の安定化に向け22日に同国ジッダで産油国と消費国の対策会 議を開くが、どのような解決策を見いだせるかは未知数だ。石油輸出国機構(O PEC)のヘリル議長は、同会議で増産要求に応じない考えを示している。

一方、インドや中国が石油製品の価格にかけている政府補助金について、 G8各国は、人為的に価格を抑えており、これらの補助金廃止によって需要を 抑制すべきだと主張している。しかし、当事国は原油価格の上昇が国民生活を 直撃するだけに慎重だ。さらに韓国がトラック運転手や農家などを対象にした 補助金交付を打ち出すなどアジア諸国では同様の動きが広まる気配がある。

ドイツのミロー財務次官は会合後の記者会見で「現在の原油相場高騰の原 因は複雑で、供給サイドだけではなく需要サイドにもその理由をたどることが できる。原油高に即効薬はない」と述べ、効果的な対策を見いだせないG8の もどかしさを吐露した。前出の財務省幹部は「原油高の解決に向けた魔法の杖 はない。G8として考え得る最大のことをした」と言い切った。

--共同取材 Stephen Voss Editor:Hitoshi Ozawa

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