G8財務相会合:インフレ懸念の高まり共有-原油、食料品高騰で(4)

大阪市で開催されたG8(主要8カ国)財 務相会合は14日午後、世界経済が引き続き不確実性に直面し、下方リスクが存 在していると指摘した上で、原油や食料品価格の高騰が世界経済の安定成長に とって試練になっており、インフレ圧力を高める恐れがあるとの懸念を共有し た共同声明を採択し、閉幕した。

声明では、「原油および食料の価格上昇は世界経済の安定成長にとって重大 な試練を提起し、世界的にインフレ圧力を高める恐れがある」と指摘。各国の 政策選択の難しさを指摘した上で、「世界経済の安定と成長を確保するため個別 に、または共同して適切な行動をとっていく」とし、各国が緊密に連携をとり ながらマクロ経済政策や金融政策に取り組む必要性を強調した。

世界的な指標となっているニューヨーク原油先物相場は先週、一時1バレ ル=139ドル台に乗せ、1年前と比較するとほぼ倍の水準まで高騰。企業収益の 悪化や個人消費の低迷をもたらして各国経済を圧迫している。食料価格も急騰 し、インフレ圧力を強めている。

アールビーエス証券の山崎衛チーフエコノミストは「インフレが世界経済 のリスク要因であることを今回の会合で再確認した」とした上で、「米サブプラ イム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した信用不安は落ち着 き、目先の懸念はインフレリスクに移っている」との見方を示した。

産油国に増産を要請

声明では原油高について「原油価格の急激な上昇が世界的なマクロ経済の 安定性に与える影響を強く懸念する」と明記。対応策として産油国に対して増 産と生産能力の拡大のための投資を行うよう要請する一方で、消費国にエネル ギー源の多様化を進めるよう求めた。また、インドや中国など原油の需要が高 まっている新興国が行っている石油製品への政府補助金の削減も挙げた。

また、原油価格高騰の主因については「世界的な需要の高まりと供給制約」 としながらも、中東地域における地政学上の懸念や投機マネーなど金融的要因 の要素も指摘。国際通貨基金(IMF)と国際エネルギー機関(IEA)に対 し、実需と金融両面の価格変動や世界経済への影響について分析し、今年10月 に予定されているIMFの年次総会で報告するよう要請した。

今回の会合では原油価格の高騰をめぐる議論に多くの時間が費やされた。 会合後記者会見した額賀福志郎財務相は、「世界的なインフレ問題については注 意深く対応しなければならない」と指摘するとともに、「原油高の影響の大きさ では各国の認識が一致している。産油国と消費国が互いに率直に話し合いをし、 マクロ経済の安定のために努力しなければならない」と語った。

ただ、財務相は日本のインフレ率が他の主要国やアジア各国と比べて依然 低く、長年のデフレ状態から脱却し切っていないことを受けて、「日本は原油高 による物価上昇はあるが、経済全体にインフレ懸念の状況はないと受け取って いる」と述べ、日本経済の置かれた特異な状況も示唆した。

金融市場は緊張が続く

米サブプライム住宅ローン問題により混乱を来たした金融市場の現状につ いては「幾分改善した」とし、主要中央銀行による流動性供給や民間金融機関 の損失開示、資本増強などの対応を評価した。一方で「短期金融市場や信用市 場においては緊張が続いている」と述べ、信用不安は依然として継続している との認識を示した。

7月に北海道・洞爺湖で開催される首脳会合で主要議題となる気候変動に ついては、開発途上国の対策を支援するため日米英が提唱している「気候投資 基金国」の枠組み立ち上げを支持するとともに、他国に協力を呼び掛けた。

同基金をめぐっては日本が最大12億ドル(約1270億円)の拠出を表明し たほか、米国が20億ドル(約2100億円)、英国は8億ポンド(約1700億円) の拠出を表明。ポールソン米財務長官は13日、最大100億ドル(約1兆800億 円)規模の資金拠出を念頭に各国に協力を求める考えを示した。

--共同取材 Simon Kennedy Sandrine Rastello 氏兼敬子 Editor: Hitoshi Ozawa

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