各国中銀で最も慎重な日銀、焦点は景気後退に戻る-ABN・永井氏

ABNアムロバンクの永井伸マネージング ディレクターは30日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、各国中 央銀行のなかでバブル経済崩壊を経験した日本銀行は景気を最も慎重にみてい ると指摘した上で、「数カ月すれば市場の焦点はインフレから景気後退に戻る 可能性が高い」との見方を示した。

日銀の白川方明総裁は28日、米サブプライム(信用力が低い個人向け)住 宅ローン問題に端を発した国際金融市場の混乱について「日本の経験に照らす と、金融環境の厳格化、資産価格の下落、実体経済の悪化の間で負の相乗作用 がどのように展開するかが経済の先行きの大きな鍵を握っている」と発言した。

景気減速と金融不安:

「少数意見だが、引き続き利下げ方向でみている。ファンダメンタルズ (経済の基礎的諸条件)は何も良くなっておらず、米国の年後半の回復は楽観 的すぎる。金融市場の不安も外から見ているほど簡単には解消されていない」

米住宅市場と評価損:

「昨年に比べて住宅市場がまったく下げ止まっていない。実現損を出した 金融機関はわずかで、資本を増強した金融機関の8割以上が評価損ベース。住 宅が下がり続けるということは、今後も評価損が膨らむということだ」

インフレと金融政策:

「コストプッシュ・インフレは、景気が後退すれば落ち着く。金融政策は 『待つ』というのが常とう手段だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は期待イ ンフレの高まりをけん制するが、利上げで景気を冷やす方が心配なはず。長期 金利の上昇も、金融機関のリスク許容度の低下の影響が大きいのではないか」

日銀の金融政策:

「欧米中銀ほどインフレは心配していない。住宅が下げ止まらないと回復 しない、景気は下振れリスクの方が大きい、とはっきり言っている。昨年から 景気を最も厳しくみているのが日銀。バブル崩壊の経験から見えるものがある のではないか」

株・債券・為替相場:

「個々のニュースに反応しても、実際のファンダメンタルズを見ながら動 いている感じはしない。昨年8月以降の金融システム不安、今年1月以降の景 気後退懸念、今はインフレ懸念と話題は移り変わるが、数カ月すれば景気後退 に戻る可能性が高い」

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