東京外為:ドルもみ合い、上値に実需の売り-原油・米株動向がカギ

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=105円台半ばから後半でもみ合い。原油価格の下落や米国株高・米金 利の上昇を背景にドルの堅調地合いが続いているが、レンジの上限ということ で、国内輸出企業などの売りも出やすく、ドルの上値は限られている。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、ドル・円はよ うやく105円台にしっかりと乗せてきており、「長い目で見れば108円や110 円を試しに行く感じもする」と語る。ただ、輸出企業やオプション絡みのドル 売りが控えるなか、ドルを買い上げるには「もう少し何か材料が必要」といい、 原油相場がさらに下落し、米国株の堅調推移が続くかどうかに注目している。

ドル堅調も上値は限定

ドル・円は原油相場の急反落や米国株・米金利の上昇を背景にドルが買わ れた海外市場の流れを引き継ぎ、1ドル=105円台半ばで早朝の取引を開始。「月 末、五・十日(ごとうび)」に絡んだ仲値需要が期待されるなか、ドルは堅調 に推移し、午前10時前には一時、105円73銭(ブルームバーグ・データ参照、 以下同じ)までドル買いが進んだ。

しかし、国内実需筋などのドル売り意欲が指摘されるなあ、ドルの上値もそ こまで。海外時間につけた3カ月ぶりドル高値(105円87銭)には届かず、そ の後はもみ合いに転じた。

ユーロ・ドルも1ユーロ=1.55ドル前半で小動き。海外時間には一時、1 ユーロ=1.5486ドルと今月19日につけたドル高値に並んだが、海外時間に欧米 指標の発表を控え、様子見姿勢が広がっている。

一方、ドル主導のなか、ユーロ・円は方向感に乏しい展開が続いており、 東京市場午前の取引でも1ユーロ=163円台後半から164円ちょうど前後でもみ 合う展開が続いている。

原油と米株・米金利の動向に注目

29日ニューヨーク原油先物相場は、バレル当たり4ドルを超える急反落。 米エネルギー省が発表した週間統計で消費者が最高値圏にある燃料の購入を渋 っている兆候が示されたほか、ドルの上昇に伴いヘッジ策としての原油の投資 妙味が減退したのが売り材料となった。

また、米株相場は3日続伸し、投資家のセンチメントを示すシカゴ・オプ ション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX、別名「恐 怖指数」)は18.14と1週間ぶりの水準に低下。一方、米国債相場は3日続落 (利回りは上昇)し、外国為替市場ではドルが買われる展開となった。

こうしたなか、市場では引き続き原油価格や米国株・米金利の動向が注目 されており、「原油がさらに下がれば株に好感され、株高でドルが買われる」 (資産管理サービス信託銀・野村氏)展開が予想されている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、引き 続き原油価格の動向が注目となる一方、来週に向けてはISM指数や雇用統計 など5月の米景気を見るうえで重要な指標にも注目が集まると指摘。「指標の 内容が良ければ、引き続き債券市場から株式への資金のシフトが進むことと合 わせてドル相場の見直しが進んでいく可能性がある」といい、「総合的にはド ル堅調な展開」を予想している。

なお、この日は米国で4月の個人消費支出(PCE)と米金融当局が注目 するインフレ指標のPCEコア価格指数、5月のシカゴ地区製造業景況指数な どが発表される。

ユーロは戻り売り優勢か

一方、欧州時間には5月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)速報値が 発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 5月は前年同月比3.5%上昇と4月の3.3%から伸びが加速する見通しで、欧州 中央銀行(ECB)のインフレ警戒姿勢を裏付けることとなりそうだ。

もっとも、資産管理サービス信託銀の野村氏は、ユーロ・ドルについて、 「戻りを売りたい人が増えてきている」といい、CPIで一時的にユーロが反 発しても、そこから再びユーロが売られる可能性もあるとみている。

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