4月のコアCPIはガソリン値下げで伸び鈍化-5月は再加速か(2)

(第3段落以降にコメントを追加します)

【記者:日高 正裕】

5月30日(ブルームバーグ):4月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)はガソリンなど揮発油税等の暫定税率期限切れに伴い、前月から伸 び率が鈍化したものの、食料品など生活必需品の値上がりで引き続き高い伸びと なった。原油価格などエネルギー・原材料価格の高騰はなお続いており、5月以 降は再び伸びを高めるとの見方が強い。

総務省が30日発表した4月の全国コアCPIは前年同月比0.9%上昇と、 7カ月連続でプラスとなった。5月の東京都区部コアCPIも同0.9%上昇した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は、全国コアCPIが同1.0% 上昇、東京都区部コアCPIは同0.9%上昇だった。

3月の全国コアCPIは同1.2%上昇し、消費税率が引き上げられた1997 年度を除くと93年8月以来14年半ぶりの高い伸びとなったが、揮発油税等の 暫定税率が3月末で期限切れとなったことで、4月は伸びが鈍化した。暫定税率 が5月に復活したことに加え、ニューヨーク原油先物相場が1バレル=130ドル 前後の高値で推移していることから、5月の伸び率は「1.3-1.4%へ再加速す る」(大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミスト)とみられている。

米国型コアは再びマイナスに

熊谷氏は「暫定税率期限切れの影響でエネルギー価格の押し上げ幅が低下し たことで、前月から伸びが減速したものの、食料品が予想以上に上昇した」と指 摘。食料品では「これまで上昇が見られなかった乳卵類、油脂等の品目も上昇し ており、全般的に値上げが波及している印象を受ける」という。電気代や都市ガ スなども前年同月比を押し上げる方向に働いた。

CPI総合指数は4月の全国が同0.8%上昇、5月の東京都区部は同0.9% 上昇した。前月はそれぞれ同1.2%上昇、同0.6%上昇だった。食料(酒類除 く)とエネルギーを除く、いわゆる「米国型のコア指数」は4月の全国が同

0.1%低下。前月は同0.1%上昇と98年8月以来9年半ぶりにプラスに転じた が、4月は再びマイナスとなった。5月の東京都区部は同0.1%上昇した。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「原油高・食品高か らそれ以外の品目への価格上昇波及は引き続き極めて限定的なものにとどまって いる」と指摘。「原油高・食品高の加速にもかかわらず、消費者物価のいわばベ ースにある部分には価格上昇圧力がほとんど波及していない」という。それだけ に、今後の動向は原油など国際商品価格に左右される面が大きくなりそうだ。

国際商品市況の行方は

日本銀行の白川方明総裁は20日の会見で、08年度のコアCPIについて 「イメージ的には年度半ばにかけてもう少し上がり、それから少し下がっていき、 締めてみると1%程度」と述べた。ただ、その前提となる国際商品市況について は「基本的には高水準で横ばいが続くというイメージ」としながらも、これまで 「ずっと予想が外れてきている」と指摘、「注意深く見ていく」と述べた。

日銀の亀崎英敏審議委員は29日、山形市内で講演し、「国際商品市況はこ こ数年、資源と穀物価格が新興国を中心とする世界需要の増大、供給側の寡占化、 輸送などインフラ整備の遅れによるボトルネック、投機資金の流入等を受けて相 互に連動しながら高騰し、しかも価格上昇商品の範囲も拡がっており、これが世 界的に物価上昇圧力を強めている」と指摘。「エネルギー・原材料価格のさらな る上昇等を受け、物価が上振れるリスクがある」と語った。

日銀が23日公表した4月8、9日の金融政策決定会合の議事要旨によると、 何人かの委員は「身の回り品の値上げが続いていることから、消費者のインフレ 予想が高まっている点には注意を要する」と指摘。複数の委員は「石油製品や食 料品の価格など、身の回り品の値上げが続いていることなどから、消費者マイン ドが慎重化している」と語った。

景気減速とインフレのどちらも怖い

日銀の門間一夫調査統計局長は26日行われた景気討論会で、「米国経済の 停滞の影響などを受けて、資源国を含めた世界経済全体の需要の減退につなが る」リスクと、「インフレが高まっていく」リスクは、「まさに前門の虎、後門 の狼」であり、その「どちらも怖い」と指摘。「どちらにも食べられてしまわな いように、両者の動きを注意してみていかなければならない」と述べた。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは「現状では、 インフレと景気減速が同時に進行するスタグフレーション的な状況であり、金融 政策運営は難しくなっている」と指摘。「このところの値上げの動きは企業が原 材料価格の上昇によって追い込まれた結果としての側面が強い」として、「今の ような物価上昇の流れが続いても、なかなか利上げには結びつきにくい」とみる。

白川総裁は20日の会見で、国内経済について「景気減速の動きも明確に なってきている」と指摘。エネルギー・原材料高が「国内民需の下振れにつ ながらないか注意深くみていく必要がある」と述べた。武藤氏は「白川総裁 も『所得形成が弱って内需を弱くするリスクを重視する』と明言しており、金融 政策のスタンスは引き続き下振れリスクへの警戒だ」としている。

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