東京外為:ドル対円で3カ月ぶり高値水準、株高でリスク志向の円売りも

午前の東京外国為替市場ではドルが対円で 小じっかり。原油価格の下落や米国株高・米金利の上昇を背景にドルの堅調地 合いが続くなか、リスク選好度の改善から金利差に着目した円売り・高金利通 貨買いの動きも出やすく、ドルは一時、1ドル=105円73銭(ブルームバーグ・ データ参照、以下同じ)まで買われている。ただ、米景気の先行きには不透明 感がくすぶっており、106円台に向けて一気にドルを買い上げる動きは見られて いない。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「原 油の反落を好感し、株とドルが堅調な展開になっている」と指摘。インフレ懸 念の広がりとともに米長期金利が上昇していることもドルを下支える構図とな っていると説明する。

一方、東京市場については、「月末、五・十日(ごとうび)」ということ で、仲値に向けては投信の設定や輸入企業のドル買いがドルを支えるが、「レ ンジの上限が意識されるため、106円にかけては輸出企業の売り注文が並び、結 果としてドル高基調は続くが東京市場は需給均衡でレンジ相場」(井上氏)と なる可能性が高いとみられる。

米株高・金利上昇でドル続伸

29日の米株相場は3日続伸。マスターカードが増益率見通しを引き上げた ことが金融株への買いを誘ったほか、原油相場の下落で消費関連企業の収益見 通しが明るくなったことが買い材料となった。

投資家のセンチメントを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボ ラティリティ・インデックス(VIX、別名「恐怖指数」)は18.14と1週間 ぶりの水準に低下。一方、米国債相場は3日続落し、10年債利回りは5カ月ぶ り水準に上昇した。

米国株高や米金利上昇を手掛かりに、外国為替市場ではドルが続伸し、対 円では一時、1ドル=105円87銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ) と2月28日以来、約3カ月ぶりの水準までドル高が進行。ユーロ・ドルも一時、 1ユーロ=1.5486ドルと今月19日につけたドル高値に並び、その後は1.55ド ル前半でもみ合う展開が続いている。

一方、ユーロ・円は1ユーロ=163円台前半から164円台前半と4月下旬以 来のユーロ高・円安値水準でもみ合うが継続。ドル主導の展開のなか、方向感 が出にくいものの、株価の堅調推移を背景に投資家のリスク許容度は改善傾向 にあり、金利差に着目した高金利通貨買い・円売りの動きが出やすい状況とな っている。

原油動向を注視

29日ニューヨーク原油先物相場は、バレル当たり4ドルを超える急反落。 米エネルギー省が発表した週間統計で消費者が最高値圏にある燃料の購入を渋 っている兆候が示されたほか、ドルの上昇に伴いヘッジ策としての原油の投資 妙味が減退したのが売り材料となった。

原油相場の上昇が一服するなか、この日は米国で4月の個人消費支出(P CE)と米金融当局が注目するインフレ指標のPCEコア価格指数、5月のシ カゴ地区製造業景況指数などが発表される予定で、株高・金利上昇・ドル堅調 の流れが続くかどうかが注目される。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、引き続き原油価格の動向が注目となる一方、 来週に向けてはISM指数や雇用統計など5月の米景気を見るうえで重要な指 標にも注目が集まると指摘。「指標の内容が良ければ、引き続き債券市場から 株式への資金のシフトが進むことと合わせてドル相場の見直しが進んでいく可 能性がある」といい、「総合的にはドル堅調な展開」を予想している。

--共同取材:吉川淳子 Editor:Tetsuzo Ushiroyama, Hidenori Yamanaka

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