4月の経済指標、厳しさ増す-雇用情勢悪化、生産も低下続く(4)

30日発表された4月の主要国内経済指標は、 エネルギー・原材料高の中で景気の先行き不透明感を高める指標が相次いだ。 雇用関係では完全失業率が2カ月ぶりに上昇したほか、有効求人倍率も悪化し た。原材料高が企業収益を圧迫していることが背景にある。また鉱工業生産は 前月比2カ月連続で低下、新設住宅着工件数は前年比10カ月連続で減少した。

 総務省が同日発表した労働力調査によると、4月の完全失業率(季節調整 済み)は4.0%と前月から0.2ポイント悪化した。4%台になったのは昨年9月 以来。また、厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は0.93 倍と、前月から0.02ポイント低下し、2005年3月以来の低水準となった。1倍 割れは昨年12月以来5カ月連続。

政府は5月の月例経済報告で、「景気回復はこのところ足踏み状態にある」 との基調判断を3カ月連続で維持する一方、これまで景気拡大を支えてきた輸 出について「伸びが鈍化している」と下方修正した。日本経済は1-3月期に 前期比年率で3.3%成長したが、米景気減速を受け4-6月期にゼロ成長近辺ま で減速するとの見方がある。こうした中、企業の収益環境は厳しさを反映して 新規の求人は減少傾向にあり、雇用情勢は厳しさを増しつつある。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは発表後、 「実体経済の下振れ傾向は鮮明化している」と指摘。「日本の労働市場において、 失業率が1カ月で0.2%上昇する状況は『急速な悪化』と表現できる」との見方 を示した。

ⅠTは在庫調整入りの可能性

一方、経済産業省が30日発表した鉱工業生産指数速報によると、4月は前 月比0.3%低下し、106.2(季節調整済み、2005年=100)となった。2カ月連 続の低下は2004年2、3月以来。前年同月比では 1.8%の上昇。同時に発表し た5月の製造工業生産予測指数は前月比4.7%の上昇、6月は0.9%の低下とな った。また、4月の新設住宅着戸数は景気の不透明感を反映して、前年同月比

8.7%減の9万7930戸。年率換算では115.1万戸だった。

大田弘子経済財政政策担当相は30日午前の記者会見で、鉱工業生産統計を 受けて、IT(情報技術)関連財は「在庫調整に入っている可能性がある。こ の点は十分注意して見ていきたい」との認識を示した。特に、景気の先行きを 占う上で注目される電子部品・デバイスの生産は前月比3.9%低下、出荷は同

3.4%低下、在庫は同5.8%上昇と、「バランスがかなり悪化している」(三菱総 合研究所の酒井博司主席研究員)。

大田経財相は先行きについては、「今後の輸出の動向を見ていく必要があ る」と述べ、電子部品・デバイスの生産低下は「アメリカ向けの輸出が日本・ アジアともに落ちていることを反映している」と指摘した。同時に「先行きは 決して楽観はできないが、現在は横ばい状態にある」との認識を示した。

消費支出は19カ月ぶりの大幅減

一方、総務省が同日発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯の 実質消費支出は前年同月比2.7%減の31万695円と、2カ月連続の減少で、減 少幅は06年9月(6.0%減)以来の大幅なものとなった。減少要因となった主 な項目は、外食や調理食品などの食料品だったが、総務省は消費支出について の判断をこれまで「おおむね横ばい」としていたが、4月は「減少の兆しが見 られる状態」と下方修正した。

消費支出を抑える要因としては、このとこのろ原油高騰のほかに食料品な ど生活必需品の値上がりが著しい。総務省がこの日発表した4月の全国コアC PIは前年同月比0.9%上昇と、7カ月連続でプラスとなった。5月の東京都区 部コアCPIも同0.9%上昇した。3月末でガソリンなど揮発油税等の暫定税率 の期限が切れたのに伴い、前月から伸び率が鈍化したものの、引き続き高い伸 びとなった。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「暫定税率期限切れの影響でエ ネルギー価格の押し上げ幅が低下したことで、前月から伸びが減速したものの、 食料品が予想以上に上昇した」と指摘。食料品では「これまで上昇が見られな かった乳卵類、油脂等の品目も上昇しており、全般的に値上げが波及している 印象を受ける」との見方を示した。

日本銀行の白川方明総裁は20日の会見で、08年度のコアCPIについて「イ メージ的には年度半ばにかけてもう少し上がり、それから少し下がっていき、 締めてみると1%程度」と述べた。ただ、その前提となる国際商品市況につい ては、「基本的には高水準で横ばいが続くというイメージ」としながらも、これ まで「ずっと予想が外れてきている」と指摘、「注意深く見ていく」と述べてい る。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは「現状で は、インフレと景気減速が同時に進行するスタグフレーション的な状況であり、 金融政策運営は難しくなっている」と指摘。「このところの値上げの動きは企業 が原材料価格の上昇によって追い込まれた結果としての側面が強い」として、 「今のような物価上昇の流れが続いても、なかなか利上げには結び付きにくい」 とみる。

食料品などの生活必需品の値上げが響き、消費者マインドは低調に推移し ている。スーパーや家電量販店の店長など景気の動きを肌で感じやすい職業に 就いている人を対象にした景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、4月 の景気の現状判断は3カ月ぶりに悪化した。また、4月の消費者態度指数も2 カ月ぶりに悪化し、約5年ぶりの低水準となった。

--共同取材:亀山律子 Editor:Hitoshi Ozawa、Masaru Aoki

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