短期市場:年明けイールドカーブ傾斜化、欧米中銀がインフレ警戒姿勢

短期金融市場のユーロ円金利先物は、年明 け以降のイールドカーブが傾斜化している。欧米の中央銀行がインフレ警戒の姿 勢に転じ、国内でも消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)が上昇率を高 めるなか、金利先高観が出ている。もっとも、日本銀行は景気の下振れリスクに 重点を置いており、利上げを意識するまでには至っていないとの指摘もある。

中心限月2009年3月物は一時0.045ポイント安の98.880(1.120%)と、2 週間ぶりの安値をつけた。期先限月ほど下げ幅が大きく、08年12月物と09年 3月物の格差は1.5ベーシスポイント拡大の0.105%と、2006年2月以来の高水 準。期先の格差拡大が続いており、イールドカーブの傾斜を強めている。

米ダラス連銀のフィッシャー総裁が28日の講演で、「インフレ期待が引き続き 悪化した場合、景気が低調であっても早期に金融政策の方向転換が図られる」と発 言。一部報道によると、ユーロ圏の高官は、高水準のインフレが欧州中央銀行(E CB)の予想以上に長引く場合、「金融引き締めが選択肢として浮上する」と述べ ている。

国内大手銀行の先物トレーダーは、米国の急激な金融緩和が世界のインフレ につながっているとの議論もあるなかで、欧米金融当局はインフレ警戒の政策を 検討しており、いずれ日銀の政策判断にも影響を与えるとみる。米国が年内にも 利上げに転じれば、年明け以降の日銀の動向に注目が集まる。

米スタンフォード大学のジョン・テーラー教授は28日、東京で講演し、世界的 な低金利がエネルギーや商品価格上昇につながったと指摘。「原因の一部は、米国 の金融危機に対応した政策行動だ」と述べた。前日の米国では、耐久財受注が予想 を上回る一方、原油高によるインフレ圧力も根強く、長短金利は大幅上昇した。

CPIと日銀の金融政策

日銀が利上げしても、新興国の需要増加による物価上昇への効果は小さいとみ られている。ただ、足元ではコアCPIの前年比上昇率が日銀政策委員の示す中長 期的な物価安定の理解の範囲である「0-2%」の上方にシフトしてきており、実 質金利マイナスの緩和効果も強まっている。

大手銀のトレーダーは、日銀の白川方明総裁は「物価安定の理解」という新た な金融政策運営の枠組み作りを進めた人物で、CPIの動向を重視していると指摘。 5月以降のCPI上昇率の拡大が利上げ警戒感を徐々に高めるとみる。

一方、みずほ銀行市場営業部金利トレーディングチームの安西文博調査役は、 「日銀は景気の下振れリスクの方を警戒している。今後の国内景気は海外以上に下 押し圧力がかかる」との見方を示し、「物価は上昇していても、金利を引き下げる ことが必要となる局面もあり得る」とした白川総裁の発言を指摘した。

この日は2年債入札に対する警戒感も金先相場に影響しており、「いつ利上げ が警戒されるというよりも、中長期債の需給要因から金利上昇圧力がかかってい る」(安西氏)との指摘もある。期先に影響を与える2年スワップは1.25-1.26% 付近と、昨年7月以来の水準で推移している。

月末から税揚げ、6月末も意識

無担保コール取引では、翌営業日スタートの翌日物(トムネ)が前日の加重 平均0.520%に対して、0.53-0.54%に強含み。月末から税揚げ日にかけて資金 不足が続くため、資金需給がやや締まっている。1週間物は0.60%の運用希望 に対して、調達希望は0.57-0.58%付近だった。

30日は月末決済に加え、20年債の発行が重なる資金不足日。6月3日、4 日の法人税揚げまで資金需要が根強い。インターバンクの市場関係者は、かなり 大きな資金が動く時期にさしかかるため、需給にタイト感が出ることは避けられ ないという。

日銀の本店共通担保オペ4000億円(5月30日-6月12日)の最低金利は、 前回オペ(5月29日-6月16日)より1ベーシスポイント高い0.56%、平均 金利も0.7ベーシス高い0.560%だった。2本目の同オペ(5月30日-6月19 日)の最低金利は0.55%、平均金利は0.552%となっている。

税揚げ日以降の焦点は6月末の資金繰り。四半期末は新BIS(自己資本比 率)規制で国内銀行が運用に慎重な一方、中間決算にあたる外銀や証券は調達意 欲が強く、無担保コール1カ月物は0.72-0.73%付近で推移。金利水準が高い ため、調達側は他のターム(期日)物も含めて水準を探り直しているもようだ。

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