与謝野氏「衆院選前に政界再編を」、民主議員に秋波-単独会見(2)

自民党の与謝野馨前官房長官はブルームバ ーグ・テレビジョンのインタビューに応じ、政治状況について、「衆院選前に再編 か連立が成立して物事が決まる体制ができればベストだ」と述べ、参院で野党が 過半数を握る「ねじれ国会」による政策運営の停滞解消に向けて、次期衆院選 前の政界再編を提唱した。「民主党の優秀な方、自民党の志の高い人が話し合 って、新しい仕組みを構築するべきだ」とも語り、民主党議員に秋波を送った。イ ンタビューは27日に行った。

福田康夫政権が提出した重要法案の審議は参院で滞り、内閣支持率は20 %前後に低迷。「順風」に乗じて政権奪取を目指す野党第1党の民主党は、参 院への首相問責決議案の提出も視野に、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺 湖サミット)後にも衆院解散・総選挙に追い込む構え。対する自民党内では、衆 院で公明を加えた連立与党が3分の2以上の議席を維持する観点から早期の衆 院解散を回避するムードが広がっている。

与謝野氏の提唱を受けて、政治の安定を希求する与野党や無所属の議員 の中から、早期の政界再編を求める機運が高まる可能性がある。

岩井奉信日大法学部教授(政治学)は、「与謝野氏はポスト福田を意識して いるのだろう。公明党も含めて『もし福田首相が駄目になった場合には与謝野氏 がいい』という声が上がっているのは事実だ」と言及。ただ与謝野氏本人は、自 らが政界再編に向けて新党結成に踏み切る可能性について、「そういう雰囲気 はまだ出てきていない。何かきっかけとかがないと、なかなか卵はかえらない。卵 を温めている人もいるのではないか」と煙に巻いた。

民主、与謝野氏と握手しやすい-飯島氏

小泉純一郎元首相の秘書官を務めた飯島勲氏は「与謝野氏はタカ派でもな いし、極端なハト派でもない。是々非々だ。だから今の民主党のリベラルな議員 は、無派閥の与謝野氏と一番握手しやすい」と述べ、政界再編となれば与謝野 氏が中心的な役割を担うことになるとの見通しを示した。

「日本は枯葉の存在に」-政界再編なければ

「逆風」にある福田首相が退陣した場合の自民党総裁選の候補には、麻生 派(20人)を率いる麻生太郎前幹事長が意欲を示しているほか、最大派閥・町 村派(86人)の小池百合子元防衛相と並んで、派閥に属さない与謝野氏の名前 も挙がっている。

与謝野氏は69歳。1976年の衆院選で初当選を果たし、現在9期目。小泉 政権で自民党政調会長、経済財政担当相などを歴任。2006年10月に咽頭が んの摘出手術を行い、約半年後に政治活動を再開した。安倍晋三政権でわず か1カ月間、官房長官を務めた。私立麻布高校の先輩、福田首相よりも政治家と してのキャリアは長く、首相にとって「知恵袋」の存在だ。祖父母は歌人の与謝野 鉄幹、晶子夫妻。

「衆院選後は(新たな)連立か政界再編成の形態か、迅速に意思決定できる システムを構築しないと日本は国としての方向性も決まらないし、波に漂う枯葉 のような存在になってしまう」-。与謝野氏はインタビューで、「ねじれ国会」に伴 う不安定な政治の現状への強い危機感をこう表現してみせた。

幅広い政界人脈-橋本前高知県知事とも会談

趣味の囲碁を通じて民主党の小沢一郎代表との交流を持ち、新党結成を模 索しているとされる橋本大二郎前高知県知事とは08年5月に会談したことが明 るみになり、政界再編に動き出したとの観測が出ている。自民党内では野田毅 元自治相、園田博之政調会長代理らの派閥横断勉強会「正しいことを考え、実 行する会」にも参画しており、政界に幅広い人脈を持つ。

与謝野氏は4月に初の著書「堂々たる政治」(新潮社)を上梓。5月発売の文 芸春秋6月号では麻生太郎氏と「民主党よ、現実にかえろう」と題する共同提言 も発表し、民主党に政策協議を呼び掛けている。

消費税率引き上げ提唱の代表者

与謝野氏は現在、自民党財政改革研究会会長、税制調査会小委員長とし て税制改革論議に影響力を持ち、早期の消費税率引き上げの必要性を訴える 勢力を代表する存在。歳出削減と経済成長を優先し、当面は消費税を上げるべ きではないとする中川秀直元幹事長ら「上げ潮派」と対極的な立場にある。

与謝野氏の同研究会は07年11月、消費税を社会保障税(仮称)に衣替え して10年代半ばまでの現行の5%から10%への引き上げを柱とする中間報告 をまとめた。

与謝野氏はインタビューで、09年度の税制抜本改革の論議をめぐり、「法人 税や所得税、消費税がこのままでいいのかについて、夏から秋にかけてきちんと 党内で議論する」と言明。「政治家が勇気を持って国民に訴えることが必要な時 期になってきた」と述べ、消費税率引き上げへの道筋をつけることに意欲をにじ ませた。

「自信ない」-10年度以降の社会保障費抑制

福田政権は6月、経済財政改革に関する基本的な考え方を示す「骨太の方 針2008」を閣議決定する。与謝野氏は、政権が掲げている社会保障費の伸び を毎年2200億円抑制するとの目標について「09年度の予算までは大丈夫だ。 その次の年となると自信がない」と語り、10年度以降の同規模の抑制は容易で はないとの認識を明らかにした。社会保障費ねん出のための消費税率引き上げ への布石とも受け取れる発言で、中川元幹事長ら「上げ潮派」が反発する可能 性もある。

--共同取材:君塚靖、山村敬一Editor:Keiichi Yamamura, Hitoshi Sugimoto

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