【米経済コラム】金融当局内で繰り広げられる綱引き合戦-J・ベリー

米金融当局者はわれわれと似ている。ある 者は今年の景気見通しに悲観的で、別の者は7-12月(下期)の回復を見込み、 2009年の3%成長につながると考える。

連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー17人のうち4人は、21日公表さ れた議事録のなかで示した経済見通しで今年の実質GDP(国内総生産)成長 率を0.3%か、それを下回ると予想。1人はゼロ成長を見込んでいる。

これに対し、4人のメンバーは1.2-1.5%成長を予想した。商務省が発表 した今年1-3月(第1四半期)の成長率は前期比年率0.6%だった。このGD P速報値は、金融当局者が自らの経済見通しを立てる前に入手していた。より 楽観的な人たちは今年後半に成長率は2%に上昇するとみている。

大半の当局者は、住宅不況と金融市場の混乱を考慮すると、見通しは通常 よりも不確かだとしている。また「成長への下振れリスクは残る」とも指摘し ている。

だが、住宅市場はしばしば言われるほどには弱くない。一方、金融市場の 混乱は決して解消されたわけではなく、落ち着きを取り戻したということだ。 従って、最も楽観的な当局者でさえも、今後の米景気の強い伸びに驚きを覚え るかもしれない。

失速の兆候なし

連邦準備制度理事会(FRB)のスタッフが4月29、30両日のFOMCに 提出した景気見通しは、米経済が1-6月(上期)にマイナス成長になるとい うもので、悲観的な当局者と同じ見方だった。

しかしながら、貿易赤字の縮小など最近の指標を見ると、第1四半期のG DP成長率は29日に1%程度に上方修正される公算が大きい。これまでのとこ ろ、4-6月(第2四半期)に経済が失速したことを示すものはほとんどない。

住宅市場の低迷は、中古住宅販売と建設の落ち込みペースが緩和されれば、 落ち着きを取り戻し始めるかもしれない。27日発表された4月の米新築住宅一 戸建て販売は前月比で増加した。それでも、過去1年では42%減少している。

ほとんどの住宅指標が示す急激な減少が続くことはないだろう。例えば、 4月の中古住宅販売は年率489万戸に低下したが、昨年10月の506万戸を3.3% 下回る水準にすぎない。07年4-10月では約15%減少していたのだ。さらに、 住宅不況の打撃を最も強く受けたバージニア州やカリフォルニア州の地域でも 住宅販売が増え始めている。似たような減少ペースの緩和は住宅着工でも見ら れる。

成長の足かせ

一戸建て住宅の着工件数は、ピークとなった06年1月の180万戸余りから 62%減少している。建設中の一戸建て住宅は先月、わずか54万9000戸と、06 年の早い時期に付けたピークのほぼ100万戸から大きく落ち込んだ。

住宅建設市場の崩壊は07年10-12月(第4四半期)と今年第1四半期の 経済成長率をともに約1.25ポイント引き下げたが、こうした成長の足かせが今 期もしくは来期、つまり08年4-6月か7-9月に小さくなり始めるとの兆候 がある。

全米20都市部を対象にした3月の米スタンダード・アンド・プアーズ(S &P)/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で14.4%低下と、指数発表 開始以来で最大の落ち込みを記録した。

だが、同指数の共同考案者である米ウェルズリー大学のカール・ケース教 授(経済学)は27日のインタビューで、差し押さえられた不動産物件の競売増 加が市場の在庫圧縮の一助となっており、住宅市場の早期回復につながる可能 性があるとの見解を示した。「今後数カ月間で住宅市場が息を吹き返す兆候が見 えてくるだろう。市場ではいくらか見通しがきくようになってきた」という。

消費者と企業が原油価格高騰と食品値上がりにどのように反応するかが、 景気見通しで最も不透明な点だ。銀行が融資基準を厳格化していることで、資 金の調達が一段と難しくなっている借り手もいる。

金融当局は政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 現行の2%からさらに引き下げる意向がないことを明確にした。住宅市場が安 定化し景気が上向けば、金融当局は、すでに望ましい水準を超えているインフ レ率への対応に焦点を絞る始めることができる。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

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