白川日銀総裁:負の相乗作用がどう展開するかが経済の先行きの鍵(2)

(第3、4段落にコメントなどを追加します)

【記者:日高正裕】

5月28日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は28日午前、本店 で開かれた国際会議で冒頭のあいさつを行い、米サブプライム(信用力が低い 個人向け)住宅ローン問題に端を発した国際金融資本市場の混乱について「日 本の経験に照らすと、金融環境の厳格化、資産価格の下落、実体経済の悪化の 間で負の相乗作用がどのように展開するかが、経済の先行きの大きな鍵を握っ ているように思う」と述べ、米国の金融市場と経済の動向を注視する姿勢を示 した。

会議は日銀金融研究所主催の2008年国際コンファランスで、テーマは「金 融政策理論の最先端」。

全米20都市部を対象にした3月の米スタンダード・アンド・プアーズ(S &P)/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で14.4%低下と、01年の 指数発表開始以来で最大の落ち込みを記録した。東海東京証券の斎藤満チーフ エコノミストは米国の住宅価格について「下落がいつまで、どの程度まで進む のか、誰も自信を持って予想できない」と指摘する。

斉藤氏はその上で、金融市場と実体経済の負の相乗作用が働き始めれば 「金融危機が表面化して、クレジットクランチ(信用収縮)が企業部門も含め て米国経済を大きく圧迫する懸念もある。米国はその場合、インフレには目を つむって利下げの再開、財政支援が必要になる」としている。

バブルの崩壊は日米の共通点

白川総裁は「現在、米国や欧州の主要国では、クレジット市場や資金調達 市場が動揺している。現在の米国での混乱は日本のバブル期とそれ以降の経験 と重なり合う部分もあるし、さまざまな違いもある」と語った。

異なる点としては、第1に「損失の規模が異なっているようにみえる」と 指摘。日本の場合は「預金取扱金融機関の損失は累計で約1兆ドルにも上った」 が、今回の金融市場の混乱については「国際通貨基金(IMF)は世界全体で の推計損失額が9450億ドル程度であり、そのうち約半分が銀行部門の負担に なると報告している」と述べた。

第2に「米国の場合は、混乱の出発点となった証券化商品は市場で取引さ れている価格を通じて損失額を認識することが可能」な一方で、日本の場合は 「市場性のない銀行の貸出債権に損失が集中しており、会計制度に不備があっ たこととも相まって損失の認識が遅れた」と指摘。第3に「米国の場合、損失 を被った金融機関が資本調達を早期に行っている」と語った。

白川総裁は類似点については「間違いないことだが、バブルが発生し、拡 大し、そして、崩壊したということだ」と指摘。その上で「資産価格の下落が 金融面の悪化を通じて経済に悪影響を及ぼしている点は両方のケースで共通 している」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE