原油高・ドル安は終焉へ、米利下げせず・中印も減速-三菱東京UFJ銀

天井知らずの原油高とドル安は「行き過 ぎ」の段階に入ってきた。需給逼迫(ひっぱく)の主因とされる新興国経済の急 成長と、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した 米金融緩和が転機を迎えたためだ――。三菱東京UFJ銀行市場業務部の高島修 チーフアナリストは26日のインタビューで、今秋から資源価格の下落とドル相 場の回復が本格化するとの見通しを示した。

ニューヨーク原油先物相場は22日、1バレル当たり135.09ドルの過去最高 値をつけた。約3週間で19%も上昇。1年前は65ドル前後だった。米連邦準備 制度理事会(FRB)が算出するドルの実効相場(対主要国通貨、1973年3月 =100)は23日に69.87。月初の高値から2.3%下落した。米国債10年物利回り とインフレ連動債(TIPS)の利回り格差が示す米インフレ率予想(BEI) は2.5%台と、3月上旬以来の高水準で推移している。

日本銀行の白川方明総裁は20日の記者会見で、資源高の背景に関し、需要 の急増と供給面の制約による「需給バランスの変化を強調する見方」と、米国の 大幅な利下げなど「金融的な要素を重視する説」に言及。実際には、需給と金融 という「両方の要因が関連している」との認識を示した。

無理がある段階

高島氏は、足元の原油高・ドル安は「無理がある段階」に突入していると指 摘。背景として、新興国経済の減速とFRBによる利下げ休止の観測を挙げた。 2003年以降の5年間、中国は2けた成長を持続。インドも08年3月期まで、7 -9%台の成長を続ける見通しだ。ただ、直近では減速。中国は1-3月期に5 四半期ぶり、インドも昨年10-12月期に05年以来の低成長となった。

サブプライム問題を発端とした金融システムの混乱や米経済の急減速を抑え るため、FRBは昨年9月から今年4月までに7回、計3.25ポイントの利下げ を実施。米政策金利を2%に引き下げた。短期間での大幅な利下げは、ドル安と 商品相場の高騰、世界的なインフレ懸念を併発した。米金融政策の動向に敏感と される2年物国債利回りは2.4%台。米証券大手ベアー・スターンズが事実上破 たんし、信用不安がピークに達した3月中旬を底に、緩やかに上昇している。

FRBが21日公表した議事録によると、金融政策を決める連邦公開市場委 員会(FOMC)のメンバーの大半が、インフレ懸念が高まる中で実施した4月 30日の利下げを「ぎりぎりの判断」と認識。実質成長率の予測値を下方修正し たにもかかわらず、「顕著な経済見通しの悪化」に見舞われない限り、金融緩和 は「適切とは言いがたい」との意見も複数出たという。

高島氏は「米利下げ局面は終わった。FRBは来春、利上げする」と語る。 信用不安の沈静化と米予想インフレ率の上昇に加え、米政策金利はすでに「米経 済の大幅な落ち込みにも対処できる水準にある」と見ているからだ。三菱東京U FJ銀の推計によると、2%の米政策金利は米失業率が6%の経済情勢にも対応 し得る。4月の米失業率は5%。6%は03年10月以来の高水準だ。

ドル安の終焉

高島氏の相場予想では、原油高が今後3カ月以内に最後の上昇局面を迎え、 ドル相場も1ユーロ=1.64ドル程度まで下落する可能性がある。しかし、今秋 以降は、02年に始まった「ドル安が終焉に向かう」と読む。

米経済の緩やかな回復を受けて米利上げの観測が高まり、原油などのエネル ギー価格は反落。インフレ懸念から政策金利を4%で据え置いているユーロ圏に は、景気下支えを狙った「利下げの余地が生まれる」と見るからだ。こうした景 気・金利面での米欧格差の変化に加え、これまでの米景気低迷で米経常赤字の縮 小傾向が定着。「構造的な環境も変わりつつある」という。

ドルは円に対しては、対ユーロより遅れて上昇すると、高島氏は予想する。 今後3カ月間は、原油高・ドル安の中で1ドル=100-105円程度で推移。投資 家のリスク許容度が本格的に回復に向かう秋口から、対日株式投資の急増に伴っ て、いったん92円前後までドル安・円高に振れた後、米景気の回復期待を背景 に107円程度までドルが上昇するとの見立てだ。

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