ユーロ先高観強まる、ECB利下げ観測後退-1.60ドル台目指す展開も

原油相場を中心とした商品市況の強含みを 背景にインフレ圧力が強まるなか、市場では物価上昇への警戒姿勢を堅持する 欧州中央銀行(ECB)の利下げを見込む声が薄れている。サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン問題の影響が尾を引き、金融政策の自由度を 奪われている米国との金利差は平行状態が継続する見通しで、再びユーロの先 高観が強まっている。

ユーロ・ドル相場は4月22日に1ユーロ=1.6019ドル(ブルームバーグ・ データ参照、以下同じ)と、ユーロが1999年1月の導入来高値を更新。その後、

1.5285ドルまで調整する局面もみられたが、再び上昇基調を強めており、22日 には1.5814ドルまで回復。この日は1.57ドル台半ばから後半で推移している。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の佐々木融チーフFXストラテ ジストは、「不安定な景気動向が続いているものの、インフレ懸念が高まるな かで、全体的にインフレを止めるための利上げモードに入るという流れが生じ ている」としたうえで、ECBの政策はその流れ寄りにあると指摘する。

一方で、佐々木氏は米国について、引き続き金融機関の決算などの不安要 素を抱えており、「物価上昇を受けて利上げをどんどんするような状況ではな い」としたうえで、「インフレ懸念が強まってきて実質金利が下がり始める格 好になっており、ドルが再び弱くなっていく可能性がある」とみている。

JPモルガン・チェース銀は、今年11月と見込んでいたECBの利下げ観 測を修正し、来年の4-6月までは政策金利が据え置かれると予想。6月末の ユーロ・ドル相場予想を1.60ドルとしており、「今週は米欧で材料が結構ある ので、ユーロ高・ドル安の流れが出始めるきっかけの週になる」(佐々木氏) 可能性があるという。

ECB政策見通しの変更相次ぐ

JPモルガン・チェース銀のほか、市場関係者の間で、ECBの金融政策 見通しを変更する動きが目立っている。バンク・オブ・アメリカ(BOA)は 年末の利下げ見通しを修正し、来年半ばの利上げを予想。ロイヤル・バンク・ オブ・スコットランド(RBS)は、今年第3四半期と予想していたECBの 利下げ時期を来年の第2四半期に後ずれさせている。

RBSのヘッド・オブ・FXストラテジー・ジャパンの山本雅文氏は、ド イツの経済指標で景気の抵抗力が予想外に強いことが示されたほか、原油高な どを背景にユーロ圏のインフレ指標も上振れ傾向になっており、「ECBが少 なくとも夏場まではタカ派スタンスを維持する可能性が高い」として、政策見 通し変更の背景を説明している。

そうしたなか、今週はドイツで5月の消費者物価指数(CPI)が発表さ れるほか、ユーロ圏のCPIも発表される。一方、米国では27日に4月の新築 住宅販売件数や全米20都市部を対象にした3月の米スタンダード・アンド・プ アーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数など住宅関連や5月の消費者 信頼感指数などが発表される。

米国側の材料では、弱気の内容が見込まれており、欧州の物価関連指標が 上振れた場合は、「1.60ドル台乗せも十分あり得よう」(山本氏)とみられて いる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE